朝日新聞に紹介記事が掲載されたこともあり、遠方からのお問い合わせもいただき、新聞の反響に驚くばかりです。
無料の本屋さん「みちくさ本棚」は、2024年4月からスタートしました。
大切な本を古本屋さんに持っていって「値段がつきません」「価値がありません」と言われると心が折れる。
でも、燃えるゴミにするのは忍びない。
本を創るためには、木から紙を作る作業をする人に始まり、著者はもちろんのこと編集に関わるクリエイティブな人たち、製本や装丁、配本、書店など、多くの人々が関わっています。
そうしてできた本を捨てずに、循環することができないだろうか、と、「本のSDGs」を考えました。
私自身がたくさんの本を持っているし、父や母の貯め込んだ本もたくさんあります。
そのなかには「不要」ではなくて、誰かに知ってもらいたい、読んでもらいたいと思う本もたくさんあります。
近隣の方々にご寄贈いただいた本を、関心を持ってくださった方が無料でお持ち帰りいただくので、
古書店や古物商とは違い、個人情報を扱ったりしなくてよいし、
図書館のように返却期限があるわけではないので、そのまま持っていてもいいし、読み終わったらまた棚に戻してくれればよいといういたって気楽な本棚です。
集まった本は、高齢者の方々が関心がある病気や認知症などをテーマにした実用書もあれば、
お子さんやお孫さんが読んでいたという絵本もあります。
ハードカバーの小説や文庫本ももちろん並べています。
飴色になった古い古い岩波新書には、1949年という年号があったり、
サロウハチローの3冊セットの詩集が389刷であったりと、
驚くような発見もあります。
本屋さん担当のFさんは、元大手書店で書店員として働いていた方で、
「回覧本」「持ち出し禁止本」「おめかし本」「立ち読み本」などのコーナーも作って、
お手製のドライフラワーやしおりも販売しています。
5月の連休には、クラフト作家のアイランド良子さんが「ブックバック」を作って展示したところ。
あっという間に注文殺到。嬉しい悲鳴となっているようです。
つまり、無料の本屋さんでは無料の本のほかに、有料のものも販売しているというわけですが、
だからといってものすごく儲かるというわけではなく、
相変わらずの手弁当ではありますが、
「いい場所を作ってくださってありがとう」と、シニアの方々からお電話をいただくことも増えました。
本を持って、ふらりとやってきて、お茶を飲んでよもやま話をする場所です。
観光客の多い鎌倉ではなくて、静かな鎌倉でのんびりしていただけるといいなと思います。
「みちくさ本棚」は毎週水曜日13時から15時まで。
ご不要の本のご寄贈は、お持ち込みご持参でお願いしていますが、鎌倉周辺にお住まいの方はボラスタの方がバイクでうかがうこともできるようになりました。
毎月21日13時から15時は「鎌倉十二所みちくさ文藝の会」が始まります。
5月21日は、川端康成「山の音」をテーマのひとつにして、古きよき鎌倉のことや鎌倉文士のことなどを語り合いたいと考えています。(こちらは有料です)