呪い方、教えます
という本が売られている。

アマゾンをみると「インターネットで話題沸騰。前代未聞、史上初。陰陽道、修験道、丑の刻参りなど、日本古来よりの呪いの秘術を、その実践法とともに詳説した、ハウツー「人を呪い殺す方法」。

とある。

確かに、呪いはあらゆるところに存在する。
いや、存在していた。


それは、個人が人を殺すという行為以外は、
つまりすべて自然なり、神なり精霊なり、動物なりに殺されるという
考えから来ていると思う。
(古代の戦争は部族の先祖同士の戦いという側面があり、呪術合戦があった)

つまり、生かされているという、生きることで
何かの力に拠っているという発想から、呪いは成立する。

だから、生かされているという発想がない人には、
呪いは効かないし、その人にとっては呪いなど存在しないに等しい。

そして呪いの元になるのは、人間以外の力であって、
人が人を呪うことは、原理的にできない。(死人の肉を食べ人間でなくなり呪うなどの過激な儀式もあったようだ)

にくい奴ほど、エゴイストだから、生かされているとは思っていない。
また呪う方も、エゴから呪う訳だから心のどこかで効くわけが無いと思って行う訳だ。
つまり、呪いは効かない。

すべては自己責任という風潮で、共同体のルールが壊れた今の日本で呪いが成立するわけがない。



呪い本や、ネットでのミニブームには、ちょっとした事で責任を転化する自分本位の肥大と、いじめなどに見られる自分の正当性を主張して認められないう袋小路な今の社会と関係がある。

また、呪いを容易に信じてしまう素地として、スピリチュアルブームにも責任の一端はあると思う。

現在では、呪いはフィクションであり、迷妄だ。
だが、一度そちらの世界にはまると、それは実態のあるもののように感じる。
人は見たいものしか見ないからだ。

NHKの番組によると、スピリチュアル産業は1000億円市場だという。
幅広い層にその顧客は存在しており、スピリチュアル的なあいまいな思想の影響は看過できなくなっていると思う。

いずれ、呪いという行為を発端とした、殺傷事件も発生すると思う。
そうなれば、中世以前の暗黒時代に逆戻りだ。

そういったことになってもらいたくないと、思う。