3月31日。
僕は、神田川の側を歩いていた。
春風に吹かれ、頭に乗っかった桜の花びらを取り、それを眺める。
ふと顔を上げると、眼前には満開の桜が広がっていた。
昼でも夜でもひと際目立つその装いは、何か特別なものを感じさせる。
春。
別れと出会いの季節。
明日は、4月1日。
長くて短い学生生活を一緒に過ごしたトモダチが、社会に出て行くこの日。
東京にいるトモダチはまだ会えるにしても、地方へ旅立ったトモダチは当分会えそうもない。
「ソコニイタヒトガイナイ。」
まるで、恋人を失ったかのような気分である。
僕 「何をしてるのかね?」
トモダチ 「いや。別に。家にいる。」
僕 「じゃ、馬場の栗前に集合な。」
トモダチ 「リョウカーイ」
こんなやりとりも自然となくなっていく。
僕の中には、寂しさと焦りが混在していた。
皆が旅立って行く寂しさと社会へ出ることが一歩遅れた焦りが。
置いていかれるということが、これほどまでに寂しいものなのかと痛感した。
学生としての一年と社会人としての一年の差が想像つかない。
ヤバイ・・・。
彼らに置いていかれないためには、一分一秒を大切にして、やれることはすべてやるべきだと思った。
そういった決意を桜は、後押ししてくれるだろうか。
桜を前に僕は、新たな気持ちを手に入れた。
社会人になっていく皆。ガンバッテ。
僕も頑張るから。
仕事で愚痴があったら、わからんなりに聞くから。
ムカつくことがあるんやったら、僕が酒を一気するから。
なんかおもろいこと言うから。
だから、ガンバッテ。
じゃあ皆さん。準備はいいですか?
ヨーイ。スタート!
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