数年前、とある田舎へ海水浴をしにいきました。知る人ぞ知る穴場です。きれいで人が少なくて最高のビーチです。
泳いでいると、近くにいた家族の歓声が聞こえて、思わずそちらの方を見ました。
よそ様のことを凝視するのは失礼かもしませんが、私は数舜、その家族の様子に見入ってしまいました。
子どもの一人は発達障害のお子様のように見えました(身近にそういう子供がいるのでそう考えました)。年の頃は、小学校高学年くらいでしょうか。
その少年はライフジャケットを着て、海のある一点からもう一点を目指して泳いでいました。
家族はその子に向かって「がんばれー○○君!がんばってー!」と声援を送っていました。その歓声が耳に入ったから、私はその家族に気づいたのです。
私はその家族の様子を見て、胸を打たれました。そこには少年を思う家族の愛があふれていたし、彼らの強い絆を感じました。
美しい浜。家族の声援。それを受けてがんばって泳ぐ少年。
……その夏、一番美しい光景でした。
文筆家の桜井識子さんが、障害のあるお子さんは特別な護りが付いて生まれてくるとおっしゃっていました。私もそうだろうなと思います。
私の知り合いのお子さんも発達障害ですが、ご両親は二人とも公務員で経済的には安定しています。もちろん人間的にも温かい人々です。ピアニストの辻井伸行氏も医師の家に生まれました。
ろくでなしのDQNの親の元に、そういった子が生まれたという話はあまり聞きません。きっとその少年も素晴らしい家族の元に生まれてきたのだろうかなと思います。
梅雨が明けたら、またその浜に行ってみようと思います。
それからあの家族が今も幸せに暮らしていることを切に願います。