「鍼をすると劇的によくなるのか?」という最初の質問に答えるとしたら、体質や病の原因によって、劇的に効果を得られやすいものとそうでないものがあるということなのです。

一般的には、病の軽いものであればすぐに効果を実感できますし、急性のもの、患っている期間の短いものの方が治りやすいという傾向性はあると言えます。

逆に、患っている期間が長ければ長いほど効果を感じるには時間がかかる傾向性はあるでしょう。

しかしながら、仮に短期的に劇的な変化がおこらなくても、かぜをひきやすかった人がかぜをひきにくくなったり、毎朝していたステロイド吸入をしなくなったり、梅雨時分の全身倦怠感が解消したり、胃の調子がよくなったり、便通がよくなってきたり、手が冷えなくなったり、胸痛の発作回数が軽減してきたりするというのは、短期的に劇的に何らかの症状を消失させることとはまた違った価値があるのではないでしょうか。

鍼は生命エネルギーの流れを調整することで五臓六腑、すなわち体の幹や根っこの状態を整えていきますので、長期的にみれば体調のよい状態をつくっていくということが付加価値としてあげられます。

つまり、マイナスの状態をゼロに戻すだけではなく、ゼロからプラスの状態を作っていくということでもあるのですね。

定期的に鍼灸治療を受けることで以前との体調の変化を感じている方のお話を聞いていると、長期的にみれば劇的に良くなっていることも珍しくはないのだなぁと感じられる今日この頃なのです。