前回からのアレルギーつながりで、今回はアトピー性皮膚炎と喘息の意外な関係性について、東洋医学の視点からできるだけわかりやすく解説してみたいと思います。

 

アトピーも喘息も症状に違いはありますが、患っている方にとってはどちらも非常に辛い病気です。この二つの病気、東洋医学的には密接なつながりがあるということをご存知でしたか?

 

言うまでもなく、アトピーは皮膚の病気で喘息は呼吸器の病気です。一見すると症状は明らかに違いますし、炎症をおこしている部位も全く別です。実際に、病院でも同じ診療科で扱われるものではありません。

 

ところが、東洋医学的には別の病気とも言いきれないのです。

 

西洋医学的にも喘息とアトピーをアレルギーという枠でひとくくりにすることはできますが、西洋医学と別の視点から病気を診ることで、また違った捉え方ができてくるのですね。

 

アトピーや喘息を患っている方は、実際に経験されたことがあるかもしれませんが、喘息による呼吸器の症状が落ち着いてくると、それと同時に皮膚に痒みや湿疹がでてきたり、アトピーによる皮膚の炎症がきれいになってきたと思ったら、時期を同じくして咳や喘鳴等の呼吸器の症状がでてくるということがおこったりします。

 

東洋医学の理論では、皮膚や鼻、咽喉、気管支、肺、これらの器官が有する働きをひとつの機能単位として捉えて「肺」と呼称し、その中でも特に皮膚と呼吸器はちょうど紙の表と裏のように一体のものとして捉えます。

 

皮膚と鼻や咽が一体であるというとおかしな感じがするでしょうが、東洋医学ではこれらの働きは、分割することができないほど密接につながるものと捉えているのですね。

 

つまり、東洋医学の五臓六腑というものは、身体を実質の臓器や器官に分割して解剖単位で捉えたものではなく、いくつかの関連のある働きを、ひとつの機能単位として捉えたものなのです。

 

それは「木を見て森を見ず」の弊害をできるだけ避け、部分ではなく全体を診てトータルで無理なく病気を治すための東洋医学独自の基本的な身体の認識方法なのです。

 

それゆえに、東洋医学では皮膚の病気も呼吸器の病気も根っこは同じであって、どちらも「肺」の病であり、病の現れ方として皮膚にでるか呼吸器にでるかという違いがあるだけだということが言えるのですね。

 

それでは、東洋医学でいう病気の根っことはなんなのでしょうか。また、皮膚から呼吸器、呼吸器から皮膚に病気が移動するという現象には、いったいどういう意味があるのでしょうか。

                                                                        つづく

 


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