日高side
真「実彩子、大丈夫なん?」
日「高1のエースからしたら心配ですよねぇ。」
高2のリレーの前に高1のリレーがあり、そこで自分のクラスを逆転優勝させた真司郎。
真「エースっていうな。」
日「ほんと体育祭とかでガンガン目立つタイプだよねぇ。」
直「どんくらい練習してたか與が1番知ってんじゃないの?」
日「おー、直也くん。」
真「まぁな。
実彩子、俺が寝てるから、音立てないようにしてるみたいやねんけど、逆にいつもとちゃうことするからよくコケんねん。そんなことしてたら起きてまうわ。」
日「その練習のせいかを出せるか、どうか。」
直「なんかあってもあの4人ならフォローし合うだろ。」
日「っていうか、直也くんは大丈夫なの?」
直「…………それ聞く?」
これまた恒例で全学年のクラス対抗リレーが終わったあと、選抜された先生が学年対抗リレーをする。
その2年生代表に直也くんは選ばれてた。
直「もう俺も三十路だし、全然運動してないしさぁ。でも、50になる学年主任が走るのに、俺が走らないわけにいかないじゃん?」
真「直也くんコケたりしたら面白いねんな。」
日「でも、冗談じゃなく、毎年負傷者出てるんでしょ?去年は校長が気合入れまくって走ったんだけど、肉離れして車椅子で搬送されてたし。」
真「マジかよ。」
いつも生徒を厳しく指導したりしてる先生ほど怪我したり、コケたりすると年々語り継がれたりするもの。
日「直也くん、運動神経良さそうじゃん。大丈夫でしょ。」
真「あ、ヤバイとか言っといて、活躍するヤツやん。」
直「それお前だろ。
ほら、始まるよ。優勝したら、日高屋で打ち上げな。」
日「別に構わないけど、直也くんの奢りだよ?」
直「は?!何でそうなるんだよ!」
真「ええやん、やろやろ。」
直「與はそもそも学年が違うだろっ!」
日「日高屋は金にはうるさいの。笑」
直「しゅん。」
西島side
初めてでもないのに自分が緊張してるのが分かる。
「宇野ちゃんの緊張移ったな……。」
もうリレーは始まろうとしててそれぞれ位置に付いている。
男子1周、女子半周のため、第2走者以外はスタート位置が同じ。
つまり、宇野ちゃんだけスタート位置が違う。
秀「西島。頑張ろうな。」
西「うん。」
第1走者の千晃がスタートラインに立つ。
位置について…………
(頑張れ、千晃。)
よーい…………
バーンっ!!
「千晃!!ファイト!!」
いまのところ9クラス中3位。
2位との差もほとんど無い。
秀「すげーじゃん。千晃。あとは宇野ちゃんにパスが渡れば……。」
西「大丈夫、宇野ちゃんなら。」
宇野ちゃん、いつも通り、やればいいんだ。
千晃がコーナーをまわりきってバトンパスが近づく。
宇「千晃!!!」
千晃がバトンを持った手を差し出す。
ただバトンを渡そうとしてるだけなのに、想いも一緒に渡そうとしてるように見えた。
「宇野ちゃん…………。」
頼む。上手く渡れ。
バトンが千晃の手から宇野ちゃんの手に………………。