直也side
(久々ですね。笑)



学校から出てきた真司郎を出迎えて、お弁当を持った宇野ちゃんたちと合流して、近くの公園のベンチに座る。






宇「お疲れ、真司郎。」



真「俺なんもしてへんし。」




納得できてないのがあからさまに分かる。



そりゃそうだろう。
ずっと練習してきて当日急に試合出来なくなるんだから。




日「でも、グラウンドで頭さげてる真司郎、なんか自分と戦ってるみたいだった。」




さすが日高。




直「でもなんでそんなことになったんだ?」



ここで聞いちゃう俺は好奇心旺盛の子供か??笑




真「なんか監督の代理を騙ったやつが
キャンセルの電話を向こうの学校に入れたらしいねん。」




千「監督の代理??」




真「でも、監督はもちろんそんなこと誰にも頼んでへんって。」




秀「キャンセルする理由なんてないもんな。」




真「そいつが誰なのかも分からへんままやや。」




直「今日の試合を阻止して得するやつなんていないよな……。」




千「ま、真ちゃん。とりあえず元気だして!お弁当、食べよ?せっかく宇野ちゃんが朝から作ってくれたんだから。美味しく食べたいじゃん。」




真「…………ん。」




宇「よし、じゃあ、食べよ。あ、卵焼き、こっちが甘くない方でこっちが甘い方ね。」




西「さすが宇野ちゃん。」




みんなで宇野ちゃんの作ったご飯を食べる。


なんか生徒が作ったお弁当を教師が食べるっていけないことしてるみたいだけど、別にいけないことじゃないし!
いいでしょ!!





真「……やっぱ上手いわ。」



宇「良かった、笑」






真「あー!!!!」



直「おい、王子が爆発してる!!」



千「急に変な声出さないでよ。びっくりするじゃん。」




真「俺、やっぱ知りたい。」



西「にゃにを?」



宇「にっしー口の中に入れすぎ。」




日「で、何を??」




真「キャンセルの電話したやつのこと。」




秀「あてでもあんのかよ?」




真「…………ない。」




直「なら難しいだろ。」




真「でも、俺の中で納得いかないねん。」




與が納得いかないのも分かる。

でも現実的に学生が犯人を突き止めるのも難しい。








宇「…………私は。」




日「ん?」




宇「真司郎が信じた道をいけばいいと思うよ。もし、間違った方向に行きそうだったら、ここにいるみんなで全力で止めるから。」




真「実彩子。」




日「まぁなー。じゃないと真司郎じゃないしね。」




秀「後悔はしない方がいいけんね。」



千「うん!」




こいつら全員が出逢ったのは去年の春のはずなのに、1年でこんなに信頼関係が築けるものなのか。



でも、それはきっとこのメンバーだったからなんだよな。




真「だから、ええやろ?直也くん。この話、聞かなかったことにしてもええから。」




直「そんなことできない。」




千「直也くん、いいじゃん。真ちゃんにやらしてあげようよ。」




直「……突然行ったって向こうの監督が話を聞いてくれるとも限らない。」




真「…………??」




直「教師の俺がアポをとった方が話を聞いてもらえるかもしれないだろ。」




日「さすが直也くん。」




真「ええん?」




直「與のこと一番知ってる宇野ちゃんが言ってるんだから協力しないわけにいかないだろ?」




真「直也くん、ありがとう。」















西「よはっひゃな。」




秀「なぁずっと思ってたんだけど、お前さっきからひとりずーっと食べてるよな。」




西「みんなが喋ってるうちに食べちゃおうと思って。」




傍から見たら自己中に見えちゃうかもしれないけど、でもそれは西島自身の優しさで、空気を元に戻す役割を担ってくれてることはみんな分かってる。






直「お前、卵焼き食べすぎ!!」




西「早い者勝ちだもーん。」




甘くない卵焼きを大人気なく西島と取り合う。笑




日「直也くん子供かっ!!」




直「日高、なんか言った?」



日「なんでもないでーす。」




宇「もぉージャンケンすればいいじゃん。」





直「よし、絶対負けないからな。」




西「俺だって。」





「せーのっ、最初はグージャンケンポン!!」















見事に負けて落ち込んでる西島は置いといて…………。





日「あ!そういえば、俺らの浴衣は??」




千「買ったよ〜!!絶対似合うと思う。ね!宇野ちゃん。」




宇「うん、ちなみに秀太は千晃セレクト、日高くんは私セレクト。」




日「え、宇野が……。」




宇「何よ、私のセンス疑ってんの?」




日「いえいえ、そんなことありません、宇野様。」




女子ふたりが出した浴衣はホントに2人の雰囲気に合ってた。



メンズの浴衣なんて違いは色くらいだけど、それぞれちゃんと個性が入っててすごくいい。




直「俺らも楽しみだな。」




真「買ってもらうんやったら、女子の浴衣の買出し、一緒に行くで。」




宇「直也くんセンス良さそうだから楽しみ!!」




友情って儚いもの、とか言うけどそんなことないのかもしれない。


俺らもそんな関係だったよな?


空にむかってかつての親友を思いながら呟いた。