秀太side




真司郎の試合予定日から数日が過ぎて、俺ら男子メン(直也くんも含む)は女子メンの浴衣を買うために集まった。





千晃と宇野ちゃんから贈られた俺と日高の浴衣は自分でもビックリするくらい自分に合ってて、日高も宇野ちゃんの前ではあんな風に言ってたけど、俺の前では”やっぱあいつさすがだな”って言ってた。



もちろん俺はそれを宇野ちゃんに言うつもりはない。


だってそれがあの2人の関係だから。


2人ともちゃんとお互いのこと分かってる。








秀「で、真司郎はいつ行くことになったん?」




日「いざ、決戦の地へ!!」



真「別に決戦するわけやないし。1週間後。直也くんがアポ取ってくれてん。」




西「直也くんの話術ってすごいよな。」




直「今頃思い知ったか、少年。」




秀「1人で行くと?」




真「うん、俺が気になってるだけやし。」




秀「そっか。」




周りに流されずちゃんと自分の信じる道を行く勇気を持っている真司郎はすごいな、と思う。







西「ねぇ、お互いの浴衣選ぶとかやったことあんの?」




日「中学のときに1回やった記憶があるようなないような……?」



秀「中2のときにやったと思う。それ以来。」



直「第三者のイメージだと、宇野ちゃんが紺色系、千晃が白系だけどね。」



真「意外と中身は逆なんよ。めんどくさい。」




日「真司郎、めんどくさいって……笑。」




西「去年はどんなの着てたの?」





秀「去年は宇野ちゃんしか浴衣着てなくて……そんときは白地にピンクだった気がする。な?」



日「うん、宇野はそうだった。珍しく見た目と逆いったなって思ったから。」




西「じゃあ、今年は大人っぽくって感じかな〜。」




日「にっしま、妙にやる気だな。」




真「もしかしてそういう趣味なん?!」




直「與さん、そういう趣味って……あははっ!!笑」




秀「直也くんがツボった。。」





西「至って純粋です〜。でも、楽しくない?コーディネートするの好きなんだよね〜。」






そう言って物色し始める西島。



女性者の浴衣のところで若干俺らは浮いてる気がするけど、西島は全く気にしてないらしい。








千晃チームに俺と直也くん、宇野ちゃんチームに日高、西島、真司郎に別れて探す。







「與、気落ちしてなくてよかったな。」



千晃の白系の浴衣を見てると、唐突に直也くんが言った。





「うん……。でも、真司郎もきっと落ち込んだと思うけん。」




「見せないだけってこと?」




「宇野ちゃんから昨日の夜、連絡があって。」




「與は宇野ちゃんの家に居候してるんだったよな?」



「うん。そんで、”明日は普通に接してくれればいいから。変に気使って話題そらすとかしないでもらえるかな?”って。」




「従兄弟だからこそ分かるところもあるってことか。」




「真司郎は人前で絶対泣かないやつで。俺もそんなに泣くほうじゃないけど、俺よりもっと。だからきっと何回も1人で泣いてきたんやと思う。その度に気持ちリセットしとるんよ。」





今まで頑張ってきたことを誰かに奪われるほど悔しいことは無いし、今回はその相手が誰かすら分かんない。


見えない相手と悔しさと苦しさを真司郎はどうやって乗り越えようとしてるんだろう……。





「與、1人で行かして大丈夫と思うか?」




「うん、ってか1人で行かないと。」



「お前がそういうならやめる。」



「……ん?なにを?」



「心配だから後付いてこうかと思ってた。」




「えー…………。」




まぁそりゃあ先生だし、心配なのも分かるけど、尾行するって…………笑



















「秀太!!!」



俺を呼んだ日高たちはもう既に決まったみたいで片手に紺地の浴衣を持っていた。





「やばいよ、直也くん。早く決めんと。」





そっから結局5人で浴衣を選ぶことになり、やはり張り切ってる西島があーだ、こーだと言っとったけど、気にせん。



俺がこれがいいと思ったものを買った。