真司郎side




「会わせたい人??」






花火が終わったあと、直也くんに会わせたい人がいるって言われて、とりあえず直也くんの後ろをついていくけど、どこに行くんか全く分からん。






「ねぇねぇ、北坂さんどこにいるか知らない?」








お祭りの本部にいるおじさんたちに聞く直也くんはその人と知り合いみたいだった。








「おー、直也!!あ?べっぴんさん2人も連れてる〜。」




「お、ほんとや〜。美男美女やな。笑」




「今はイケメンや。笑」







そう言って勝手に盛り上がっちゃうおじさん達に俺らはなんも出来ない。笑








「変なこと言わないの。みんな俺の可愛い教え子なんだから。」





「おー!!教え子か。そういやーお前、教師になったんだもんな。」




「お前も成長したな〜!」





「もう、俺の話はいいから北坂さんは?」





「あー、組長ならとれちゃった提灯を新しいのに変えるって地下の物置に行ったと思うけどな。」





「そうそう!そう言っとった!!」









組長?!

俺はびっくりして隣にした秀太の顔を見ると秀太もびっくりしたみたいで顔を見合わせた。





「ありがと。みんなも飲みすぎないでよ。」






「分かってるよ〜!!」










そのまま直也くんはおじさんたちを上手くあしらってその物置とやらに俺らを連れていくみたい。







直「地下に行かないといけないから階段下ることになるんだけど、宇野ちゃんと千晃、どうする?」




真「ってかそもそも組長って、大丈夫なん?」




直「え?あー。組合長、略して組長だから。まぁ色んな伝説もあって組長だっていうのもあるけどね。」




秀「伝説??」




直「ほら、ここ数年前に合併話があったろ?」




日「あー確かに。」




西「そうなの?」



宇「うん。小さいし、人口も少ないしね。でも、地元の人は反対する人かなりいたみたい。」




千「でも、結局その話はなくなったよね?」




直「そう。その話で上を説得したのが北坂さん。まぁ詳しくは知らないけど、結果的にここの名前を守ることになった。」




真「それで組長……。」




直「数あるうちのひとつでしかないんだけどね。」




秀「そんなに伝説あんのかよ……。」




直「で、どうする?残る?」




千「私は会ってみたいかも。組長さん!」




宇「私も。階段とかは大丈夫でしょ。」




直「分かった。あ、でもいかつかったりするわけじゃないよ?普通の人だからね。」




真「分かったから、早く行こうや。」







直也くんはなるべく人が混んでない道を選んで進んだ。




















「お、ここ、ここ。」





神輿置き場になってる倉庫の扉を開ければ地下に続く階段があった。


べつにそんなに段数もなく、暗くもない。


なんにんかのおじさんたちが行き交っている。



にっしーが宇野ちゃんの、秀太が千晃の手をとって階段を下る。



(俺が日高と手を取り合った事は言わないでおく。)





地下室は十畳くらいの広さで色んなものが置かれてる。








「北坂さん!」






その一番奥で作業をしているおじさんに直也くんは声をかけた。


その声に振りかえったおじさんを見たとき…………。





驚きのあまり声が出なかった。




だって、それは……







「…………校長先生やん!!!」






そう、なくなってしまった試合の相手校の校長呼ばれたおじさんだった。





北「おー!直也くん。それに與くんも。皆さんはお友達かな。」




間違いなく、あのとき話したおじさんやった。


ってかホンマに校長なんやな。








直「北坂さんが会いたいって言ってたから連れてきちゃいました。」




北「また会えて嬉しいよ。あのときはどうしてもあの後出張に行かなきゃならなくてね。」




真「はぁ…………。」




直「王子と直接話して、もう一回話してみたいって思ったから会わせてほしいってわざわざ電話きて。びっくりしましたよ。」




北「いやー、どうしても会いたくてね。あんだけの勇気がある若者は珍しいよ。良かったらうちに来ないかい?」




真「……は?」




直「ちょっと引き抜きは許しませんよー。」



北「まぁ直也くんの教え子だから心苦しい所もあるけど、いい原石だとおもうんだよね。與くん。」




真「いや、俺は今の場所やないといくら原石が良くても輝けへんから。」



















千「ちょっとだけ真ちゃんがカッコよく見える……!!」



秀「俺も。笑」




真「ちょっとだけってなんやねん!!」




北「さすがだね。君の教え子なだけあるよ。直也くん。」




真「あの、ずっと聞きたかったことがあるんですけど。」




北「ん?なんだい?」




真「校長と直也くんってどんな関係なんですか?」




直「あー、言ってなかったか。


俺の親友のお父さん、なんだ。」

















日高side






すぐに分かった。


さっき話してた人のお父さんなんだ。




直也くんが北坂校長を気にするように、北坂校長も直也くんのこと気にしてる。



2人とも笑顔で話してるけど、きっとここまでくるのには色んなこと乗り越えてきたんだろう。



親友の死と息子の死。



大きさなんて変わらない。

どちらにとっても大切な存在だから。




そんなことに耽って真司郎と北坂校長と直也くんの話を聞いていたから気づかなかったんだ。




いつの間にか宇野と西島がいない事に。