宇野side
千晃、秀太と一緒に日高くんの家に向かった。
いつもはお店だから自宅に入るのは久しぶり。
ドアを開けてくれたのは日高くんだった。
千晃と秀太がいることにビックリしてたけど、私が付いてきて欲しいと頼んだって言った分かってくれた。
御両親は用事で出掛けてるらしい。
そのことを聞きながら、廊下を通って日高くんがリビングのドアを開けて、中にいる人を見た時、
私はどうしたらいいか分からずにその場に止まってしまった。
「…………どうして、真司郎と…………にっしーがいるの?」
リビングにいたのは紛れもなく與真司郎と西島隆弘。
「俺が呼んだ。大丈夫。とりあえず座って。」
私達4人が出す重い空気に千晃と秀太が困惑してることは分かってたけど、それすらを気遣えないくらい、私はなにがなんだか分からなくなって、戸惑っていた。
日高くんに諭されて、みんなとりあえず座る。
「まず、宇野。」
「はい……。」
「軽い気持ちで何があったのか知りたいって言ったわけじゃないよな?
声聞けばどれくらい追い詰められてるのかは分かるけど……。」
「うん……。」
「千晃と秀太も急で悪いけど、大丈夫か?」
「俺らは大丈夫だから。進めて。」
「分かった。
宇野。
お前が昨日言ってたフラッシュバックとか……
地下室で具合悪くなったこととか……
綿アメが食べられないこととか……
今から話すことで…………
全ての説明がつく。」
「全部……?」
「これ……。」
日高くんが差し出してきたのは古い新聞のコピー。
日付は2007年7月16日。
9年前の8歳になる私の誕生日の日付。
そこには
東京都在住の宇野実彩子ちゃん(7)が本日午後3時頃無事保護された────
「…………ごめん。どういうこと……?」
日高side
宇野が混乱するのは当たり前だった。
それをちゃんと宇野が理解できるように話すのが俺の役目。
そう、昨日、両親に言われた。
俺の両親は全てを知ってる。
その上で今日、家をあけてくれた。
「順序立てて話すよ。
だから……
落ち着いて聞けよ?」
宇野の瞳が揺らいでるのがわかる。
知りたいのに知りたくない。
そう訴える目に一瞬怯んだけど……
自分に負けたらだめだ。
そう思って、俺は記憶を遡らせた。
2007年7月10日に。
あの日は夏休み直前でみんな浮かれてた。
当時、家が近くて、生まれてからずっと友達みたいな俺らはいつものように一緒に帰ってきていつものように一緒に公園にあそびにいった。
でも、そこでいつもと違うことが起きた。
宇野は昔から運動神経がなくて、2人でかけっこをするのは無理だった。
その日、同じクラスだった男友達が俺を鬼ごっこに誘ってくれた。
もちろん宇野のことも誘ったけど、宇野はここで遊んでるからいい、って断った。
そのままそこに宇野を置いて、俺は行ったんだ。
そこでその後、宇野が出会ったのが…………
西島だ。
西島と宇野は7歳のとき既に会ってんだよ。
西島。
こっからは俺よりお前の方が知ってるだろ?
────分かった。俺が話すよ。