宇野side








「はぁー……。」





「千晃。」





「……あ、ごめん。なんだっけ?」





「はい、チケット。」





「ありがと。」






にっしーに掛けてもらった言葉に動かされて、みんなといる時はあのことは忘れられたし、今を楽しもうって思えるようになった。





もちろん不安で心配だけど、今の時間を無駄にしたくない。







大切な仲間と過ごしていたい──。








ということで、今、羽田空港でため息をついてるのは私では無い。








千晃だ。









秀「千晃にとっては永遠の宿敵やもんな。」




宇「宿敵って。笑」




日「大人しくしてれば大丈夫だろ。」




千「目立つようなことするのはいつも日高さんと西島さんなんですけど!!」




西「そんなことないよな?日高。」




日「うん、うん。」




宇「いや、千晃の言うことがあってる。」




秀「俺もそう思う。」




千「ね〜!ほら。」




日「はぁ?!宇野?!」




宇「何よ??」




日「こないだ負けたの誰だよ?」




宇「今、それ関係ない!!」







修学旅行前のテストで私はなんと一点差で日高くんに敗北していた。




意外と甘党の日高くんに奢るものはちゃんと奢った。





で、千晃がため息をついてる理由、っていうのが……。









千「今も見られてる気がするしぃ……。」





宇「千晃も気にしすぎ。なにもないんだから、堂々としてればいいの。」





千「そうだけど……。」








千晃が暗くなっている理由。

それは体調不良で行けなくなったほかのクラスの担任の先生の穴埋めに千晃が苦手とする古典の先生、西村先生が入ったから。






千晃はカンニング疑惑事件以来更に苦手意識を強くしていた。







秀「でも、全部のホテルで直也くんの隣の部屋って。なにか怨念を感じるしかなくね?」




日「怨念かよ。笑」







私たちの修学旅行は北九州に4泊5日。


そして、4泊全て違うホテルに泊まる。



その全てのホテルで直也くんの隣の部屋に西村先生の部屋があった。



そして、その階は男子部屋のある部屋で男子部屋に行くことを西村先生はキツく禁じていた。





千「直也くんの部屋、遊びに行けないね。」



宇「男子とは階が違うから、その階にいただけで怒られそう……。」








そんな話をしながら、飛行機に乗り込み、羽田空港から九州に向かった。















──────







あ、そういえば、今回の修学旅行に行けるのはもちろん高校2年生と教員のみ。





つまり、私、にっしー、日高くん、千晃、秀太、それに直也くんは九州へ旅立つ。






となると────。
















真司郎side





「あいつ、静かじゃない?」




「ほら、宇野先輩たち修学旅行行っちゃったから。」





「あー。なるほど。」







そんな会話をクラスメイトがしてるやなんて知らん俺はひたすら暇だった。



もちろんクラスメイトといる時間は楽しいんやけど、家に帰っても実彩子はおらんし、うるさいあいつらがおらんと暇や。








「俺も九州行こうかなぁ。」






「與!!!」








「……はい?」






こんなぼーっとしとるけど今は授業中。







「お前は脳内が九州行く前にこの問題解け。」







「I can't understand it.」







「いいから早く解け!!」







「はぁーい。」




















設定の変更をさせていただきます。

今まで名前を出していなかった千晃が苦手とする古典の先生の名前を”西村先生”とさせていただきます。


よろしくお願いします!!