千晃side








「うわぁ、綺麗…………。」








今までのホテルは5、6人の部屋でみんなとワイワイしてたけど、今日のホテルは少人数部屋でしかも洋室しかもオートロック。



1人にひとベットあり、すごく景色が綺麗な部屋。




私たちは2人部屋を選択して宇野ちゃんと2人、 水入らずの空間。









「楽しかったね、今日も。」






そう言う宇野ちゃんは心から楽しそうだった。


宇野ちゃんがそうやって笑ってくれてることが私にとってどれだけ嬉しいか……。







「うん。どうなるかと思ったけど、ちゃんと目的地まで着けたしねぇ。」








私たちのグループのしっかり者組(宇野ちゃん、秀太)がどっちも方向音痴だから、少しだけ苦労した。


珍しく、だっちゃんと私が地図片手にみんなの先頭を歩いてた。







「日高くんと秀太が試食してる時に西村先生が来たのは焦ったけどね。笑」





「そうそう!!2人の方がおっきいから私たちで隠しきれないのにさ。ジェスチャーで伝えても全然伝わんないの。」







私たちは西村先生の意向でトラブルの避けるために、ものを食べることを禁止されていた。




今日だけだけどね。




明日は自主研修が1日あるから宇野ちゃんと色々食べようね!って言ってます。笑





自主研修……。





そういえば……。








「ねぇ、宇野ちゃん。明日の朝ってバス乗る時、リュックでいいのかな?」







空港での集合の時は学校の指定バッグだったから私たちは指定バッグとリュック、どっちも持参している。






自主研修のときはリュックOKだと思うんだけど……。








宇「確かに……。分かんないね。」




千「秀太たちに聞いても分かんないだろうね。」





宇「うん、だろうね。直也くんが話してる時、あの3人じゃれてたから。



あ、噂をすれば。にっしーだ。



やっぱり。明日の朝、リュックでいいの?だって。笑」









にっしーからきたLINEに苦笑いの宇野ちゃん。









「直也くんの部屋に電話かけてみる??」





「これって使っていいの……かな?」






「うーん……。さっきまでフロントいたから行ってみる?」






「そうだね。にっしーにもそう言っとく。」









ちゃんと鍵を持って、宇野ちゃんと2人、フロントに向かった。





















秀太side







西「宇野ちゃんも分かんないってー。」






明日の朝はリュックでいいのかという話題になり、1番信頼性が高い宇野ちゃんに聞いてみたものの、分からなかった。






日「宇野も分かんないってことは本当に言われてないんだな。」





いつも宇野ちゃんをいじってる日高もなんだかんだ宇野ちゃんを信頼してる。







秀「そうやな……。直也くんに聞いてみる?」





西「あ、直也くんに聞きにフロント行ってみるって。」






宇野ちゃんと千晃がフロントに行くだけなのに、何故か不安になってる自分がいた。







その原因はすぐに分かった。






さっき風呂上がり、飲み物を買いにフロントに降りてった時、すれ違いで直也くんが階段を上がっていくのが見えた。




つまり、今は部屋にいる可能性が高い。





きっと千晃のことだ。






フロントにいなかったら、直也くんの部屋に行こうと言うはず。







西村を避けるために宇野ちゃんがそれを止めたとしても。






もし、西村が部屋にいたら、なにを言われるか分からない。







カンニング疑惑事件で千晃がシロと分かったとき、1番恥をかいたのは西村だったから。









秀「俺もフロント行く。」





西「え?ちょっ!秀太?!」





日「…………俺らも行くか。」






西「え?日高も?!っていうか俺らって俺も?!」







なんだかんだ結局3人でフロントに向かった。




3人とも手ぶらということに気づかずに、扉はゆっくりと閉まった────。