真司郎side







どうしても直也くんに聞きたいことがあって、実彩子たちには先に帰ってもらった。






でも、直也くんも帰ろうとしてたとこだったみたいで、荷物を取りに行った直也くんを職員玄関で待つ。















「ごめん、ごめん。先生に飲みに誘われちゃって。断るのに苦労してた。笑」










そう言って靴を履き替えてる直也くん。








いや、それは別にいいんやけど……。













「なんでそんな防寒してるん?」













まだ11月頭。




寒くなってきているといっても直也くんはモコモコすぎる。








「ん?寒いじゃん。」





「いや、そこまでする必要ないやろ。」






「あのね、與くん。君はまだ若いからね。」






「もー、それ聞き飽きた。はよ、行こ。」







「ちょっと!!一番重要なところ!!」
























「あ、それで聞きたいことって?」







いつも実彩子たちと歩いてる道のりを直也君と歩く。








「あのなぁ…………変なこと、聞いてもええ?」







「変なこと?」





「北坂さんのこと……なんやけど。」







「……お前もしかして。」






「ん?」













「北坂さんの引き抜きの話受けんのか?!」














「……は?」








そういえば夏祭りのときそんなこと言っとったような……。









「いや、ちゃうし。忘れとったわ。」







「はぁ。なら、良かった。笑」






とりあえず仕切り直し。




「俺が言いたいんはそんなことじゃなくて。」






「うん。」







「北坂さんって……子供おる?」






「………………どうしたの、急に。」








なぜなら……









「おるの?おらんの?」






「いるけど。」











こないだ実彩子のうちまで来とった探偵社の名前が─────


















────”北坂探偵社”やったから。










「それ……女?男?」






「男。一人息子だよ。…………その息子ももう亡くなったけどね。」






「……そうなんか。」









女じゃなかったことにひと安心やけど、既に亡くなった、という言葉に複雑気持ちになった。





それにいくら俺でも、その息子さんと直也くんの間に仲があったことは直也くんの表情で分かる。









「なんで真司郎がそんなこと……?」






「いや、別に大したことないんけど。」




直也くんに少し申し訳ない気持ちもして、俺はこないだの出来事を直也くんに話した。








「もちろん北坂っていう名前があの北坂さんしかおらん訳やない。
それは分かってる。
でも、何か掴めるなら聞けることは聞いておこうと思って。」







もう俺はあの時の何も出来ない子供やない。








「そっか。そんなことが。そういえば、今日職員室で話に出たな。最近、この辺不審者が多いって。」







「は?!なんでそれを早く言わんの?!」






「いや、宇野ちゃんはいつも與とか西島とかと帰ってるから大丈夫かなって。」







「はぁ、それでもちゃんと教えてや。」







「すいません……。」






「もう、どっちが教師か分からんやん!!」