日高side









「ゔ〜、寒い。」








「いや、寒いけどそれは防寒しすぎでしょ。」







「日高もそう思うやろ?しかもこないだよりモコモコやん。」









ある日の日曜日、俺と真司郎と直也くんは学校の校門前に集合していた。






制服ではなく、私服で。








真「ほんまに見つかるんかなぁー?」






日「一番、目こらしてないといけないの真司郎だからな。顔、見たの真司郎しかいないんだから。」





直「しかし、市内に探偵事務所ってこんなにあるんもんなんだな。」







探偵が宇野のことを尋ねてきたこと、


その探偵が北坂という名前だったこと、


そして、北坂校長に娘さんがいたこと、


その娘さんが市内に住んでること、






全てをあの日に聞いた。






もちろん朋也さんのことも。






そして、俺達は市内の探偵事務所をしらみつぶしに当たって、手がかりを得ようとしている。









直「俺もなんか依頼してみようかなー。」






日「なんの依頼?」







直「運命の人探してくださいっ!って。」



 


日「……。」






真「イタいからやめとき。」







俺が言うのを躊躇した言葉をさらっといいのける真司郎。






さすが……。

















北坂さんも成長した娘さんの顔を見てない為、実際、顔を見たのが真司郎だけ。







似顔絵を描かせようともしたが……。






ある意味画伯なんでね、真司郎くんは。















「すいません……北坂涼さん、という方ご存知ないですか?」












この質問を至ることろで何度も繰り返す。









──────










真「なぁ、お腹空かへん??ご飯食べようや〜。」







朝から回っているもののなかなか収穫は得られなかった。








日「そうだな、真司郎の機嫌が悪くなる前に。」








直「真司郎お腹空くと機嫌悪くなるんだー。笑」






日「もう話しかけるなオーラ全開。」






直「あー!だから、こないだ4時間目終わりに頼み事したら秒殺で断られたんだ……。」







真「しょうがないやろ!あ、ここ美味しそう、直也くんの奢りな。」










そう言って真司郎はさっさと中に入っていく。




今だ。







「直也くん!!」


 




「どうした、日高?」








俺はどうしても聞いておきたいことがあった。







「いち教師がこんなに特定の生徒に尽くしてて大丈夫?」








直也くんが協力してくれるのはすごい嬉しい。




心強いし、いざってとき頼りになる。






でも、そのせいで直也くんが責められたり、責任を問われるのは嫌だった。







それは宇野も西島も同じはず。










「宇野ちゃんや、にっしーのためっていうのはもちろんある。でもな、日高。これは俺の為でもある。会いたいんだ、朋也の姉貴に。」








直也くんは少し笑いながらそう言った。








「……そっか、分かった。ありがとう。直也くん。」







「ちょっと、何しとるん?!早く行くで!!」







「ほら、真司郎が待てなくなっちゃうから。」







「今行く!!」









こうやって子供のようにワガママを言ってるように見える真司郎だけど、ちゃんと分かってる。





俺らの話が終わるまで待っててくれたことも、空気を元に戻すためにそう言ってくれたことも。







與真司郎はそういう男、だから。



























日「あー!お腹いっぱい。直也くんごちそうさま〜!!」






直「しょうがねぇから払ってやったよ。笑」







真「ほんま美味かった……?」







日「真司郎?」






直「日が暮れる前にもう少し行くぞ!」






日「ちょ、直也くん待って。」







直「真司郎?」






 

真司郎はある1点を見つめたまま動かない。






その先にはある1人の女性。








直「真司郎も女の人に見とれるなんてことあるんだな。」

 





真「ちゃ、ちゃうわ!!あの人!!」








直「運命の人?」








真「ちゃうって!俺に声掛けてきた人!!」









直「……え?!」









その人は俺達がいる方とは別の方に行こうとしている。










「北坂涼さん!!!!」









思わず俺は大声を出した。






周りの人が俺を不審そうに見るけど、構っていられない。








その人は俺の声に立ち止まって、ゆっくり振り返った。












真「やっぱりあの人や……。」













やっと、見つけた。