宇野side






「最近、だっちゃんと真ちゃん仲良すぎない?」








そう言ったのは隣で宣伝ボートの色塗りをしている千晃。






文化祭2日前、準備もラストスパート。




なのに、真司郎の買出しに付き合うとかで日高くんはいなかった。









秀「それ言っちゃうと西島が拗ねるからやめとけ。笑」






宇「どっちにやきもち妬くの??笑」







秀「日高にも真司郎にも。なんで俺も連れてかないー!!って。笑 」








西「いいもん。別にー。」











にっしーの様子を見ると、秀太の発言もあながち間違ってないかもしれない。笑
















「おーい、Tシャツ届いたぞ〜!」














少し前に発注したクラスTシャツをクラスメイトが持ってきてくれた。











千「うわーすごい!!」








宇「ホントだ〜!!……あれ?この子は?」







見慣れたクラスメイトの隣には見慣れない子がダンボールを持っていた。











「あー、手が足りなかったから、たまたまいた後輩に手伝ってもらったんだよ。
與と同じクラスのやつ。」









そう紹介された子はぺこりと頭を下げた。











千「ねぇねぇ、真ちゃんまだ帰ってこない?」











その千晃の質問に、後輩はきょとんとした顔をしている。










「真司郎ですか?真司郎なら用があるって帰りましたけど………?」









宇「……へ?用がある……?じゃあ、日高くんは?」










用があるなんて真司郎から聞いてないし、だったら、日高くんは一体どこに……?






そのとき、にっしーと秀太の目が泳ぐのに気づいた。












宇「にっしー?秀太?」

























日「ごめん、ごめん。真司郎が離してくんなくて。」
















──────…………。

















日「………………ん?」








秀「お前、タイミング悪すぎ……。」





日「……なんだよ、グットタイミングだろー?」










きっと勘のいい日高くんは何がバレたのか分かったはず。











宇「にっしー、秀太。なに隠してんのかな……?」







秀「いや、日高に聞いた方が……!」







宇「日高くんすぐ嘘つくから。それに嫌になるほど頭の回転も速いから言い訳思いついちゃうでしょ。」






日「いや、俺褒められてんの?ディスられてんの?笑」






千「だっちゃん、宇野ちゃんが怒ってる……。」





日「ちょ、宇野、タンマ!!!」









このときの私は準備をサボってどっか行ってたとしか思ってなかった。








まさか自分に関することで、しかもあんなに大きなことだとは思ってもみなかったんだ……。























日高side









片付けを率先してやらされた後、今は保護者面談みたいに机を挟んで座っている。









左右には真司郎、西島、秀太。






向かい側には千晃と宇野。












宇「それで。なにしてたのかな?」













余計に不安を与えたくない。









だから話さなくて済むのなら話したくない。












それが俺らの出した精一杯の答え、だったんだ。











日「いやー、今日マンガの発売日でさー。早く行かないと売り切れちゃうんだよ。な、西島。」








西「そうそう。怒涛の展開の最新刊なの!!マジ楽しみだったもんな。」








日「それに真司郎を付き合わせただけ。秀太はそれを黙っててくれただけなんだよ。ごめん!な、宇野そんなに怒んなよ。」











日常の中に訪れる特別な2日間を楽しく過ごせればそれでいい。






その後に再び訪れる日常を今まで通り過ごせればいい。









宇野が俺に怒ることなんて今までも沢山あった。






そのうちの一つに過ぎないんだ。











宇「もー。明日は前日準備で1番忙しいんだから、ちゃんと働いてよ?」










小言を言いながらも、結局こうやって許しちゃうのも宇野と俺の関係。











宇「真司郎も日高くんの私用に付き合わなくていいのー。」








真「日高が奢ってくれるって言うからやん。」









日「ごめんなー、真司郎。」








宇「はいはい、もう帰るよ。」











男は東京に行った。







もう大丈夫だ。























真司郎side









「ねぇ、私、出しゃばりすぎかな……?」










実彩子がそう言い出したのは家に帰ってきてすぐのこと。










「なんで??実彩子、頑張ってるやん。」







「それがやりすぎかな……って。日高くんにもあんなことしなくても良かったのかなーなんて思って。」







「別に日高が悪いんやし、ええんやない?」








ごめんな、日高。








「うーん、そうだけど……。」







「俺はこっち来てから、実彩子と過ごすようになってからHappyやけどなー。ホームシックにならへんのも実彩子のお陰やし。」









色んなことがあったけど、結果的に俺は実彩子のこと、本当のお姉ちゃんやと思ってる。



家族くらい大切やし、いてもらわな困る。








「頑張ろな、明日。」







実彩子には笑顔でいてほしい。



隣にいるのが誰であろうと。









「真司郎、ありがと。」