西島side
直也くんの運転する車に乗り込んだ俺らは宇野ちゃんのケータイを追って東京に向かった。
なぜ東京に向かってるのか、そのことに俺は身に覚えがあった。
千「その人がわざわざ東京に向かう理由ってなに……?」
秀「確か、事件ってもともと東京で起きたんだよな……な、西島。」
そう。
ことの発端は9年前の事件。
9年前、事件が起きたのは東京。
そして、現場となったのが……
西「あの時、俺らが監禁されていた建物は警察が調べた後、今でもそのままにされてる。
入ろうと思えば、誰でも入れる状況。」
日「じゃあ、そこに向かってる可能性が高いな……。」
千「あっ!!」
直「ちょっ、千晃大声出すなよ。ハンドルがブレる。」
突然に大声を出した千晃に直也くんだけじゃなくて、車内の誰もが驚く。
千「ごめん……。でも……これって。」
真「どうしたんや?」
秀太と千晃が持つケータイを見ると、画面には相手の存在位置を示すものは表示されていなかった。
秀「消えた。GPS。」
日「気づかれたか……。」
気づかれるのは時間の問題ではあった。
でも、予想より早いな……。
西「千晃。どこら辺で途切れた?」
千「えっとね、ここ。 」
西「実際の場所はもうちょっと先だな……。」
秀「変だな。」
真「変ってなにが?」
秀「移動してる中にプツって途絶えた。運転してる最中にケータイ見つけて電源消すなんてこと、するか?」
千「確かに……。運転しながらそんなこと出来ないよね……。っていうことはつまり
…………。」
西「9年前とは違って犯人が複数人いる可能性がある……。」
千「うそ……。」
直「途切れるところまでは向かうけど、そこからはどうするつもりだ?」
秀「日高と真司郎、住所知ってたりしないのか?」
日「俺らはあの頃子供だったし、さすがに場所までは……。」
真「あー!なんなん、もう。」
直「途中で図書館寄って調べるか。資料残ってんだろ。」
西「いや、待って直也くん。俺、覚えてるかもしれない。」
俺の記憶は9年前に遡っていった────
宇野side
──────
…………あれ……?
ぼーっとする頭を起こして、周りを見る。
──────私……?
「……ここどこ……?」
でも、頭がスッキリするにつれてこの場所に見覚えがある気がしてきた。
窓のない、殺風景な部屋。
壁はコンクリートで囲まれていて、天井からは裸電球……
「──────っ!?」
私の記憶が一気に9年遡った。
9年前、私がいた場所……
「なんで……どうして…………」
私が覚えてるのはおじさんと一緒に駐車場に行ったところまで……
「おじさん……は……?」
どこを見渡しても誰もいない。
おじさん、どこ……?
立ち上がろうとして思わず尻餅をついた。
異様な動きにくさに自分を見ると……
「──────っ。なにこれ……。」
私は真っ白なウェディングドレスを着ていた……