IN OUT 不参加なのでポチッは不要です
PVアクセスランキング にほんブログ村

ドンドン!

ノックの音で目が覚めた。

ああ、夢だったのか…。

悪夢だ。

警官に撃ち殺されるなんて…。

ドンドン!ドンドン!

「五月蝿いなぁ、… ちょっと待ってくれ。」

「なぁに?」

愛人の瑠璃が、甘えた声で、俺の胸元に顔を埋める。

瑠璃の身体をそっと横にズラし俺はドアへと歩いていった。

その間も、ノックの音はひっきりなしに鳴り響いていた。

「分かって言ってるだろう。ちょっと待ってって!」

ドアのノブに手をかけながら、…

「誰だ!こんな朝っぱら…」

ドアを開けた刹那に俺は、言葉を失った。
目の前に妻が、鬼の形相で仁王門立ちしていたのだ。

「お、お前…、何故!?…」

余りに狼狽し、言葉が続かない。

「どいて!」

妻の剣幕に、私は抗しきれず中に招き入れる形になってしまった。

マズい!

しかし、時、既に遅し。

「キー!」

妻の怒りは、一身、瑠璃へと向かう。

「キャー、キャー、止めて!」

妻が、瑠璃を引きずり回している。

私はなす術がなかった。いや、恐怖で足が竦んでいたのだ。

「止めて~」

瑠璃の声が響きわたった。

何事か…?

妻が包丁を手にしているのだ。

「いかん!」

私は咄嗟に妻の前に立ちはだかった。

ズブッ!!

激痛が全身を駆け巡った。
刺されたのだ。

「うっ…」

そのまま、私は倒れ込んだ。
どうやら、刺され所が悪かった様だ。
すぐに、目の前が暗くなった…。

「キャーキャー」

妻のものとも瑠璃のものともつかぬ悲鳴が、微かに聴こえた。



ガンガン!

ノックの音で目が覚めた。

ああ…、良かった…。夢だったのだ。

悪夢だった…。

「1192番、出ろ」

戦慄が、身体を突き刺した。

そうだった…。
今日、俺は処刑されるのだ。

目隠しをされ、死刑台の階段を上った。


お願いだ!さっ さっ覚めてくれ!


【ガッターン】

休題