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記者会見が終わると陛下の認証式、記念撮影など、大臣達にとって一世一代の行事が目白押しである。

深夜になってやっと全ての行事を熟して、奈緒と有人は公邸へと戻った。

「ふ~う・・・・。」

奈緒がリビングのソファーでグッタリしていると、有人がお茶を煎れて持ってきた。

「お疲れ様・・・・。」

「あ、ありがと、有人さん。」

ほっと一息入れて奈緒は有人に翌日の予定について話し始めた。

「有人さん、明日は経済界の重鎮さんたち、3団体のトップとの会談の予定を入れておいて下さい。」

「えっと・・・ナオ君が外務省に外遊の予定を入れるように指示していたけど・・・?」

「ああ・・・どうせ明日じゃ無理でしょ。それが出来るようなマトモな外務省だったら、今頃はこんなメチャクチャなエイジア関係になってはいませんよぉ。

ボンクラだからこんなにメチャクチャになっているのよ。だから、外遊の予定が決まる迄多分2~3日は掛かる筈だわ。」

「・・・・そうかも知れない・・・。」

「じゃあ、経済界の事はナオに任せるとして・・・・外遊が終わるまでは私は暇って事だわ。」

隣に座った有人の手を取り、そっと両手で包み込む。

「うん・・・そうだね・・・大変なひと月になったけど、以外な一面を見たよ。

奈緒ちゃんが政治に興味があるとは思わなかったから・・・。」

「う~ん・・・・別に政治に興味があったわけじゃなくて・・・・ちょっとね・・・。」

まただ、奥歯に物が挟まった様な言い方をする。

「あのさ、気にな・・・」

有人が言い終わる前に唇を塞がれる。

勿論有人もそれに応える。

ナオとの情熱的なキスとは違ったゆったりとしたキスである。

そのうち有人の理性が飛んで行くのを計算された様な・・・・

案の定有人の理性は何処かへ飛んでいく。

なのでコンドル?を用意しなくちゃとの意識・・・も飛んでいく・・・・。

愛し合った後、我に帰る有人だが既に遅い。

「あ・・・・ごめん・・・また・・・」

「ううん、良いの。だって婚約者じゃない。でしょ?」

「あ、うん。そうなんだけど・・・。」

「ふ~ん・・・ナオから何か言われるのが怖いんだ・・・。」

図星を突かれた有人だが辛うじて踏み止まる。

「いや、そうじゃない。ほら、ご両親とか・・やっぱり、結婚してからじゃ無いと・・・。」

「気にしなくて良いのに・・・。二股以外はね。」

言いながら奈緒が有人の胸をつねる。

「あい・・た・・・・。いや、もうしないって・・・あれは・・・いや、ごめんなさい・・・・。」

そう、学習したのだ。

言い訳は逆効果なのだと。

男だってそれくらいの知恵は付くのである。

「ねえ、有人さん・・・。」

「うん?何?」

「後悔しない?」

「えっ?何を?」

「だって・・・多重人格だよ、私たち・・・ナオと・・・・。」

「しないよ。絶対。」

そう言いながら奈緒を抱きしめる。

疲れからそのまま眠ってしまった二人である。

有人はその事がナオにとってスカボロー・フェアになる事を知らない。

スカボロー・フェアー S&G


続く