IN OUT 不参加なのでポチッは不要です
翌朝ナオが目覚めると、そこは公邸応接室のソファーであった。
しかも隣にはナオを抱く格好で裸の有人が眠っている。
瞬時に事の次第を理解したナオは起き上がる事を止めた。
有人が起きてから素知らぬ顔をする事にしたのだ。
この状況で自分から起きて、有人を問い詰める展開は多分奈緒の思うつぼだと判断した。
この時点で奈緒との有人獲得レースで、一歩遅れを取っているのはナオの自尊心を著しく傷つけていた。
あの研究以外に取り柄のない奈緒に自分が負けているなど、絶対に認めたく無い事態なのだ。
「う~ん・・・あっ!・・・・」
有人が慌てて取り敢えず自分の着衣を持ってトイレへ駆け込むのを確認してから、ナオは起き上がり自室のシャワー室へと向かった。
シャワーを浴びた後、何時ものように煎れたコーヒーを飲みながら嫉妬で膨れ上がった感情を何とか抑制する事に集中した。
何とか奈緒から有人を奪う手段を考える事に集中しようと感情を抑える事に時間を費やす。
しばらくして少し落ち着きを取り戻したナオは階下へと降りて有人を探した。
有人はナオに気付かれなかったと思い込み、ナオの朝食の準備をしていた。
「あら?有人さん、何をしているの?」
普段の声色にホッとした有人は安心してナオに答えを返す。
「ああ・・・少し早めに付いたので朝食を用意してました。」
「あらま!そんな事迄しなくても良いのに。ありがとう有人さん。」
「いえ、すぐに出来ますからダイニングで待っていて下さい。」
いけしゃあしゃあと言い放つ有人を、後ろから蹴飛ばしたい感情を抑えてナオはそのままダイニングへと向かった。
ダイニングに付いた時に奈緒からのビデオを見ていなかった事に気が付き、急いで自室へ戻り奈緒からのビデオを見る。
「ふん!また・・・有人さんの事は・・・あ、そうか、ビデオを撮った後になのか・・・・チッ、ムカつく。それで、何をさせようと言うの・・・・?」
独り言で気分を紛らわしながら、奈緒からの指示を聞いている。
「・・・・くっ・・・これじゃあ、どっちが主導権を持っているのか分かんなくなって来てるわ。何とかしないと何もかも奈緒に奪われてしまいそうだわ・・・・。」
ビデオを見終わって再びダイニングへ降りて行くと、有人が朝食の準備を終えて待っていた。
「どうしたんですか?」
平然と聞く有人に再び怒りを覚えたが、それを何とか押し殺して平静を装い答える。」
「あ、うん、奈緒からの連絡を見ていたのよ。」
「ああ・・・そう言えば、奈緒ちゃんから今日は財界のお歴々と会談して欲しいと言われていました。
どうせ外務省は日程の調整に2~3日はかかる筈だからと。」
「ええ・・・そうね、ボンクラだもんね。財界に根回しもしておかないと、後で面倒くさい事にもなるわね。」
悔しいかなそれは奈緒の言う事に一理ある。
脱「ちゃう国」脱「傾国」となると、今までパンダハガーである二階堂と共に進めていた投資などが無に帰す事になりかねない。
その前に投資の引き上げや「脱」対策を要請して置かなければ、財界から総反発を後日受けかねない。
朝食を摂り終えた二人はその日の予定を相談して官邸へと向かった。
各省庁から出向してきている執務室前に居据わる秘書官達が、既に席に付きナオ達の到着を待ち受けていた。
もちろん、各省庁の指示に従い新米総理を籠絡させる密命を帯びているのである。
「おはよう御座います、総理。これから少しお時間を頂いてブリーフィングを行いたいのですがよろしいですか?」
冗談じゃない。
そんな無駄な時間を割くつもりはナオには無い。
「申し訳ないけど、今日は予定が立て込んでいて時間がないわ。
後日にしてもらえるかしら。ごめんなさいね。」
そう言い放つと振り向きもせず執務室に入るナオには取り付く島もない。
唖然とする秘書官達を見ながら有人がナオに続く。
一人の秘書官から有人に声が掛かった。
「樫村秘書、お願いします。総理にブリーフィングの時間を取ってもらえる様に調整して頂けませんか?」
有人は少し困った風を装い申し訳無さそうに答えた。
「う~ん・・・申し訳けありませんが総理の意向でかなりの予定があるので、
しばらくは時間的に難しいかも知れません。努力しますので暫くお待ち頂けますか?」
真っ赤な嘘であるが秘書官達にはその嘘が分からないので言った者勝ちだ。
「そうですか・・・では、是非出来るだけ早くお願いします。」
「ええ、解りました。努力します。」
そんな無駄な努力をするわけ無い。
少々の同情を覚えながら執務室に入る有人だった。
ブリーフィングより、出先元の省庁改廃が先に為る事を秘書官達は知らない。
それは有人も同じであった。
続く
翌朝ナオが目覚めると、そこは公邸応接室のソファーであった。
しかも隣にはナオを抱く格好で裸の有人が眠っている。
瞬時に事の次第を理解したナオは起き上がる事を止めた。
有人が起きてから素知らぬ顔をする事にしたのだ。
この状況で自分から起きて、有人を問い詰める展開は多分奈緒の思うつぼだと判断した。
この時点で奈緒との有人獲得レースで、一歩遅れを取っているのはナオの自尊心を著しく傷つけていた。
あの研究以外に取り柄のない奈緒に自分が負けているなど、絶対に認めたく無い事態なのだ。
「う~ん・・・あっ!・・・・」
有人が慌てて取り敢えず自分の着衣を持ってトイレへ駆け込むのを確認してから、ナオは起き上がり自室のシャワー室へと向かった。
シャワーを浴びた後、何時ものように煎れたコーヒーを飲みながら嫉妬で膨れ上がった感情を何とか抑制する事に集中した。
何とか奈緒から有人を奪う手段を考える事に集中しようと感情を抑える事に時間を費やす。
しばらくして少し落ち着きを取り戻したナオは階下へと降りて有人を探した。
有人はナオに気付かれなかったと思い込み、ナオの朝食の準備をしていた。
「あら?有人さん、何をしているの?」
普段の声色にホッとした有人は安心してナオに答えを返す。
「ああ・・・少し早めに付いたので朝食を用意してました。」
「あらま!そんな事迄しなくても良いのに。ありがとう有人さん。」
「いえ、すぐに出来ますからダイニングで待っていて下さい。」
いけしゃあしゃあと言い放つ有人を、後ろから蹴飛ばしたい感情を抑えてナオはそのままダイニングへと向かった。
ダイニングに付いた時に奈緒からのビデオを見ていなかった事に気が付き、急いで自室へ戻り奈緒からのビデオを見る。
「ふん!また・・・有人さんの事は・・・あ、そうか、ビデオを撮った後になのか・・・・チッ、ムカつく。それで、何をさせようと言うの・・・・?」
独り言で気分を紛らわしながら、奈緒からの指示を聞いている。
「・・・・くっ・・・これじゃあ、どっちが主導権を持っているのか分かんなくなって来てるわ。何とかしないと何もかも奈緒に奪われてしまいそうだわ・・・・。」
ビデオを見終わって再びダイニングへ降りて行くと、有人が朝食の準備を終えて待っていた。
「どうしたんですか?」
平然と聞く有人に再び怒りを覚えたが、それを何とか押し殺して平静を装い答える。」
「あ、うん、奈緒からの連絡を見ていたのよ。」
「ああ・・・そう言えば、奈緒ちゃんから今日は財界のお歴々と会談して欲しいと言われていました。
どうせ外務省は日程の調整に2~3日はかかる筈だからと。」
「ええ・・・そうね、ボンクラだもんね。財界に根回しもしておかないと、後で面倒くさい事にもなるわね。」
悔しいかなそれは奈緒の言う事に一理ある。
脱「ちゃう国」脱「傾国」となると、今までパンダハガーである二階堂と共に進めていた投資などが無に帰す事になりかねない。
その前に投資の引き上げや「脱」対策を要請して置かなければ、財界から総反発を後日受けかねない。
朝食を摂り終えた二人はその日の予定を相談して官邸へと向かった。
各省庁から出向してきている執務室前に居据わる秘書官達が、既に席に付きナオ達の到着を待ち受けていた。
もちろん、各省庁の指示に従い新米総理を籠絡させる密命を帯びているのである。
「おはよう御座います、総理。これから少しお時間を頂いてブリーフィングを行いたいのですがよろしいですか?」
冗談じゃない。
そんな無駄な時間を割くつもりはナオには無い。
「申し訳ないけど、今日は予定が立て込んでいて時間がないわ。
後日にしてもらえるかしら。ごめんなさいね。」
そう言い放つと振り向きもせず執務室に入るナオには取り付く島もない。
唖然とする秘書官達を見ながら有人がナオに続く。
一人の秘書官から有人に声が掛かった。
「樫村秘書、お願いします。総理にブリーフィングの時間を取ってもらえる様に調整して頂けませんか?」
有人は少し困った風を装い申し訳無さそうに答えた。
「う~ん・・・申し訳けありませんが総理の意向でかなりの予定があるので、
しばらくは時間的に難しいかも知れません。努力しますので暫くお待ち頂けますか?」
真っ赤な嘘であるが秘書官達にはその嘘が分からないので言った者勝ちだ。
「そうですか・・・では、是非出来るだけ早くお願いします。」
「ええ、解りました。努力します。」
そんな無駄な努力をするわけ無い。
少々の同情を覚えながら執務室に入る有人だった。
ブリーフィングより、出先元の省庁改廃が先に為る事を秘書官達は知らない。
それは有人も同じであった。
続く