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「キャイ」
奈緒は総理執務室の総理席で気が付く。
いつもは有人が必ず側にいたがその日は誰も居ない。
ふと、自分の体に違和感を感じる。
「・・・・なるほど、そう云う事ね。だからナオも気がついて対抗意識を顕にする訳なのね・・・。」
奈緒はおそらく有人とナオが関係を持ったと言う事実より、これからナオへの対策をどうするのかを考える。
考え込んでいると有人が執務室へ入って来た。
「・・・あ、奈緒ちゃ、いや、総理・・・あ、時間を・・・すいません。」
俯きながら奈緒の顔色を窺う有人に、奈緒は素っ気なく何事も無かったように装う。
「良いのよ、何も無かったし。」
ほっとした顔で有人がその日の残った予定を告げる。
「あ、有人さん、最後に樫村先生への面会・・・診療を予約してもらえる?」
突然の申し出に有人は驚いた様子で問い返した。
「えっ、父の診療を受けるんですか?今まであんなに嫌がっていたのに・・・。」
「うん・・・まあ、好きで受けるわけでも無いけど、このままじゃダメな気がしてきたの・・・。」
有人は奈緒の心情を窺えない。
「はあ・・・解りました。手配しておきます。」
その日の国会は審議が止まっていた為、その後スムーズに全ての予定を熟した奈緒はそのまま樫村医師の元へ向かった。
有人はそこでお役御免となる。
「奈緒ちゃん、いや、総理と呼ばねば失礼になるかな?」
「ふふふ・・・。先生、そんなお気遣いは必要ありませんわ。今までのように奈緒で結構ですよ。」
「そうかい?・・・じゃあ、奈緒ちゃん、急にどうしたのかな?今まであれほど催促しても中々診察に応じてくれなかったのに。」
「ええ・・・最近、このままじゃダメな気がして来たんです。総理なんて普通でも大変なお仕事なのに、私達の場合は不都合が多すぎる気がして・・・。」
「確かにそうだろうね。途中で入れ替わるキツさは他人じゃ分からんだろう・・・。そう云う私でも本当のところは解っていないのかも知れんが・・・。」
「う~ん・・・先生は少しくらいは解って貰えていると思っていますけど、こればっかりは・・ですね。」
「うむ、それで今日はどういう要件での診察なのかな?私の研究に付き合うつもりは奈緒ちゃんには無いだろう。」
「うふ、まあ、先生には悪いけどモルモットになる気は無いですね。」
「そうだろうな。で、何か相談事かな?」
「ええ、さっきも言った様にこのままじゃダメだと思って・・・。先生、人格の統合を試してもらえませんか?」
「えっ?・・・・まさか奈緒ちゃんからそう云う言葉が出るとは思わなかったな。しかし・・・ナオは同意しているのかい?」
「・・・いえ、今回は私の一存です。」
「う~む・・・・それは困ったな・・・いや、奈緒ちゃんが主人格だと言う事であればナオの同意は必要ないが・・・
君たちの場合、申し訳ないが私にもどちらが主人格なのか見分けがついていないんだよ。」
「先生、それは大丈夫です。・・・・これまで隠していてごめんなさい。私が主人格なの。ナオは私の陰を背負ってくれたの。」
「う・・・・う~む・・・しかし、奈緒ちゃん・・・いきなりそう言われてもな。それをどう証明するというんだい?」
「あら?先生、それは簡単でしょ?どちらが本当の記憶を持っているか調べればすぐわかるでしょ?」
「あ、うん、それはそうだが・・・君たちの記憶には違いが今まで無いんだ。そこがネックで診断が出来ずに来たんだ。」
「そうでしょ・・・。それは私が仕組んだ事なんです。」
「えっ!それはどういう事なんだい?」
「それは・・・とても嫌な事があったの・・・その時ナオが出てきて助けてくれたの。それで・・・調べたら治療すると交代人格は消えてしまうって・・・。」
「うむ・・・確かにその通りだが・・・。」
「だから・・・助けてくれたナオを消えさせちゃうのは申し訳なくて・・・それで、ナオに私の記憶を伝えていたの。」
「・・・・そうだったのか・・・。いや・・・しかし・・申し訳ないが奈緒ちゃん、それを証明出来るかな?」
奈緒はちょっと困った顔になり考え込んだ。
続く
「キャイ」
奈緒は総理執務室の総理席で気が付く。
いつもは有人が必ず側にいたがその日は誰も居ない。
ふと、自分の体に違和感を感じる。
「・・・・なるほど、そう云う事ね。だからナオも気がついて対抗意識を顕にする訳なのね・・・。」
奈緒はおそらく有人とナオが関係を持ったと言う事実より、これからナオへの対策をどうするのかを考える。
考え込んでいると有人が執務室へ入って来た。
「・・・あ、奈緒ちゃ、いや、総理・・・あ、時間を・・・すいません。」
俯きながら奈緒の顔色を窺う有人に、奈緒は素っ気なく何事も無かったように装う。
「良いのよ、何も無かったし。」
ほっとした顔で有人がその日の残った予定を告げる。
「あ、有人さん、最後に樫村先生への面会・・・診療を予約してもらえる?」
突然の申し出に有人は驚いた様子で問い返した。
「えっ、父の診療を受けるんですか?今まであんなに嫌がっていたのに・・・。」
「うん・・・まあ、好きで受けるわけでも無いけど、このままじゃダメな気がしてきたの・・・。」
有人は奈緒の心情を窺えない。
「はあ・・・解りました。手配しておきます。」
その日の国会は審議が止まっていた為、その後スムーズに全ての予定を熟した奈緒はそのまま樫村医師の元へ向かった。
有人はそこでお役御免となる。
「奈緒ちゃん、いや、総理と呼ばねば失礼になるかな?」
「ふふふ・・・。先生、そんなお気遣いは必要ありませんわ。今までのように奈緒で結構ですよ。」
「そうかい?・・・じゃあ、奈緒ちゃん、急にどうしたのかな?今まであれほど催促しても中々診察に応じてくれなかったのに。」
「ええ・・・最近、このままじゃダメな気がして来たんです。総理なんて普通でも大変なお仕事なのに、私達の場合は不都合が多すぎる気がして・・・。」
「確かにそうだろうね。途中で入れ替わるキツさは他人じゃ分からんだろう・・・。そう云う私でも本当のところは解っていないのかも知れんが・・・。」
「う~ん・・・先生は少しくらいは解って貰えていると思っていますけど、こればっかりは・・ですね。」
「うむ、それで今日はどういう要件での診察なのかな?私の研究に付き合うつもりは奈緒ちゃんには無いだろう。」
「うふ、まあ、先生には悪いけどモルモットになる気は無いですね。」
「そうだろうな。で、何か相談事かな?」
「ええ、さっきも言った様にこのままじゃダメだと思って・・・。先生、人格の統合を試してもらえませんか?」
「えっ?・・・・まさか奈緒ちゃんからそう云う言葉が出るとは思わなかったな。しかし・・・ナオは同意しているのかい?」
「・・・いえ、今回は私の一存です。」
「う~む・・・・それは困ったな・・・いや、奈緒ちゃんが主人格だと言う事であればナオの同意は必要ないが・・・
君たちの場合、申し訳ないが私にもどちらが主人格なのか見分けがついていないんだよ。」
「先生、それは大丈夫です。・・・・これまで隠していてごめんなさい。私が主人格なの。ナオは私の陰を背負ってくれたの。」
「う・・・・う~む・・・しかし、奈緒ちゃん・・・いきなりそう言われてもな。それをどう証明するというんだい?」
「あら?先生、それは簡単でしょ?どちらが本当の記憶を持っているか調べればすぐわかるでしょ?」
「あ、うん、それはそうだが・・・君たちの記憶には違いが今まで無いんだ。そこがネックで診断が出来ずに来たんだ。」
「そうでしょ・・・。それは私が仕組んだ事なんです。」
「えっ!それはどういう事なんだい?」
「それは・・・とても嫌な事があったの・・・その時ナオが出てきて助けてくれたの。それで・・・調べたら治療すると交代人格は消えてしまうって・・・。」
「うむ・・・確かにその通りだが・・・。」
「だから・・・助けてくれたナオを消えさせちゃうのは申し訳なくて・・・それで、ナオに私の記憶を伝えていたの。」
「・・・・そうだったのか・・・。いや・・・しかし・・申し訳ないが奈緒ちゃん、それを証明出来るかな?」
奈緒はちょっと困った顔になり考え込んだ。
続く