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PaPa / MAY'S


反抗期がやっと終わって久しぶりにパパとお出かけした。

パパが眼鏡が古くなって合わなくなって来たと言ったので、じゃあ眼鏡屋さんに行こうと言う話になった。

「あの~、これ古くなって合わなくなったので、新しい眼鏡が欲しいんですけど・・・・。」

「いらっしゃいませ~。どうぞお好きなものをお選び下さいませ。」

パパはちょっとだけ迷って手近にあったフレームを店員さんに渡した。

「これで新しく作ってもらえますか?」

「はい!すぐにお作りできますよ。え~っと、「むしょく」でよろしいですか?」

パパは何故か憮然とした顔になり、ちょっと怒った声で店員さんに言った。

「初めての人に、しかも客に対していきなり「むしょく」かとは失礼じゃないか?」

店員さんも私も始めはパパが何を怒っているのか解らなかった。

「私は無職ではない!銀行に勤めている。ちゃんと現金で払う!」

店員さんはポカーンとしていたが、私は思わず吹き出してしまった。

「アハハハ・・・パパ!そうじゃなくて・・・レンズの色だよぉ」

店員さんも釣られて笑ったのでパパは真っ赤になってしまった。

「あ・・・はい・・・「むしょく」でお願いします・・・。」

そんな事がありつつも久しぶりのパパとのお出かけは楽しかった。

帰りがけにパパがケーキを買って帰ろうと言い出したので、行きつけのケーキ屋さんに立ち寄った。

「パパは良く分からないので、お前が決めなさい。」

ニコニコしながら店員が待っていた。

「え~っとじゃあ・・・これと、これと。これも、あと、これも。」

「すいません、お客様。名前を言って下さい。」

「えっ?あ、はい。臼井幸です。」

店員さんとパパがポカーンとしていた。

「あ、お客様、あの・・・ケーキの名前をお願いします・・・。」

「あ・・・・。」

横でパパが眼鏡屋さんのお返しとばかり大笑いしていた。

次の日から私はまた反抗期になった。

オシマイ