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その後すぐに連盟から対局の予定が知らされてきた。
「・・・初戦・・・犬塚信乃・・・六段って・・・・嘘でしょ・・・・。」
【・・・ふん、やっぱりな。古河副会長の奴め、裏から何かしやっがな。】
「やっぱり?・・・そうよね・・・。いきなり公式戦初戦が六段となんてあり得ないわよね?」
【まあ・・・そうは言っても連盟がそう決めたんだ。どうもこうも無いだろ。勝つしか無いさ。】
「そんな・・・簡単に・・・・。」
【あのなぁ~、確かに三段時代のお前の棋力じゃ相手にもならんだろう。しかし、俺様がみっちり教え込んだんだぞ。そこら辺の六段や七段くらいの棋力にはなっているはずだ。】
「・・・たった2ヶ月くらいで・・・そんなに強くなってるかなぁ~・・・・」
【あのな、この前の藪さんとの対局だって、まあ、藪さんの悪い癖が出たにしろ終盤近くまでお前が優勢だったんだぞ。普通有り得んだろ?昇段したばかりのペーペーが藪さんと互角に勝負するって。】
「あ、うん。それは・・・そう思う。」
【今回はそれに加えて俺様オリジナルの勉強まで叩き込んだんだ。六段くらいあっさり負かしちまえ!】
「・・・うん・・・普段の事は別にして、将棋に関しては信頼してるから・・・解った、自信持って頑張る!」
【ふん・・・一言余計だが、まあ、良い。その意気だ。棋士としての気合は持ち合わせているから、後はこの前みたいに「待った」とかするなよ!アハハハ・・・・】
「うぐぅ~・・・もう、忘れてよぉ~!」
【冗談だろ?こんな面白いこと忘れるわけないじゃないかい!一生覚えておいてやるよ。わっはっは!】
「うぅ~~~~。泣くぞぉ~!泣いちゃうぞぉ~!」
【あ?家だから構わんぞ。泣け泣け。わっはっは!】
「うわ~~~~~ん!!!おすぎの意地悪ぅ~~~~!」
【あ、また、おすぎって・・・この、どさくさに紛れて。】
「知らないわよ。うわ~~~~~ん!!!」
【チッ。・・・ほら、もう泣き止め。対局の準備をするぞ。】
「うぅ~~~~。・・・準備?グスン・・・・。」
【当たり前だろ?対戦相手の棋譜だよ・・・また勉強するんだよ。】
「うぅ~~~~。また・・・あの棋譜覚え・・・・。」
【そうだ、ほら、始めるぞ。副会長の思い通りになんてさせてたまるか。絶対勝つんだ。】
「・・・解った・・・やる・・・本当の棋士の始まりだよね。」
【そういう事だな。まあ、俺はデビューから負けなしで30くらい勝ったけどな・・・。】
「ううぅ・・・知ってるわよ・・・それまでの天才と言われた人達が作った記録を全部塗り替えたのは。」
【ふん・・・天才は俺だけってことさ。その直弟子なんだ。情けない将棋を指すんじゃねぇぞ。】
「あ・・・・うん・・・。で、私っておすぎの直弟子なんだ・・・。」
【だから!おすぎじゃねぇ!天才名人升鍵だっつ~の!】
「あら?今日はおすぎがはぶてちゃった。アハ♪」
【うぅ!は、はぶてとらん・・・・はぶてとらんぞ・・・。】
それから数日後、泰葉は棋士として初の対局の場へ向かった。
対局場で向かい合って座った瞬間に対戦相手の犬塚六段から、侮蔑にも思える視線を感じ泰葉はその持ち前の勝ち気に火が付いた。
【絶対勝ってやるぅ。】
【おお!珍しくやる気だな。その意気だ。頑張れ。ただし・・・おれは対局に口は挟まんぞ。】
【解ってる。これは私の棋士人生なのよね。私が切り開いて行くしか無いのよね。】
【そういう事だ。】
記録係が時間を告げる。
上位者の犬塚が駒を盤上に取り出して、二人がそれぞれ駒を並べていく。
対局室は緊張に包まれる。
駒を並べ終わるとどちらともなく礼をする。
「お願いします。」
続く
その後すぐに連盟から対局の予定が知らされてきた。
「・・・初戦・・・犬塚信乃・・・六段って・・・・嘘でしょ・・・・。」
【・・・ふん、やっぱりな。古河副会長の奴め、裏から何かしやっがな。】
「やっぱり?・・・そうよね・・・。いきなり公式戦初戦が六段となんてあり得ないわよね?」
【まあ・・・そうは言っても連盟がそう決めたんだ。どうもこうも無いだろ。勝つしか無いさ。】
「そんな・・・簡単に・・・・。」
【あのなぁ~、確かに三段時代のお前の棋力じゃ相手にもならんだろう。しかし、俺様がみっちり教え込んだんだぞ。そこら辺の六段や七段くらいの棋力にはなっているはずだ。】
「・・・たった2ヶ月くらいで・・・そんなに強くなってるかなぁ~・・・・」
【あのな、この前の藪さんとの対局だって、まあ、藪さんの悪い癖が出たにしろ終盤近くまでお前が優勢だったんだぞ。普通有り得んだろ?昇段したばかりのペーペーが藪さんと互角に勝負するって。】
「あ、うん。それは・・・そう思う。」
【今回はそれに加えて俺様オリジナルの勉強まで叩き込んだんだ。六段くらいあっさり負かしちまえ!】
「・・・うん・・・普段の事は別にして、将棋に関しては信頼してるから・・・解った、自信持って頑張る!」
【ふん・・・一言余計だが、まあ、良い。その意気だ。棋士としての気合は持ち合わせているから、後はこの前みたいに「待った」とかするなよ!アハハハ・・・・】
「うぐぅ~・・・もう、忘れてよぉ~!」
【冗談だろ?こんな面白いこと忘れるわけないじゃないかい!一生覚えておいてやるよ。わっはっは!】
「うぅ~~~~。泣くぞぉ~!泣いちゃうぞぉ~!」
【あ?家だから構わんぞ。泣け泣け。わっはっは!】
「うわ~~~~~ん!!!おすぎの意地悪ぅ~~~~!」
【あ、また、おすぎって・・・この、どさくさに紛れて。】
「知らないわよ。うわ~~~~~ん!!!」
【チッ。・・・ほら、もう泣き止め。対局の準備をするぞ。】
「うぅ~~~~。・・・準備?グスン・・・・。」
【当たり前だろ?対戦相手の棋譜だよ・・・また勉強するんだよ。】
「うぅ~~~~。また・・・あの棋譜覚え・・・・。」
【そうだ、ほら、始めるぞ。副会長の思い通りになんてさせてたまるか。絶対勝つんだ。】
「・・・解った・・・やる・・・本当の棋士の始まりだよね。」
【そういう事だな。まあ、俺はデビューから負けなしで30くらい勝ったけどな・・・。】
「ううぅ・・・知ってるわよ・・・それまでの天才と言われた人達が作った記録を全部塗り替えたのは。」
【ふん・・・天才は俺だけってことさ。その直弟子なんだ。情けない将棋を指すんじゃねぇぞ。】
「あ・・・・うん・・・。で、私っておすぎの直弟子なんだ・・・。」
【だから!おすぎじゃねぇ!天才名人升鍵だっつ~の!】
「あら?今日はおすぎがはぶてちゃった。アハ♪」
【うぅ!は、はぶてとらん・・・・はぶてとらんぞ・・・。】
それから数日後、泰葉は棋士として初の対局の場へ向かった。
対局場で向かい合って座った瞬間に対戦相手の犬塚六段から、侮蔑にも思える視線を感じ泰葉はその持ち前の勝ち気に火が付いた。
【絶対勝ってやるぅ。】
【おお!珍しくやる気だな。その意気だ。頑張れ。ただし・・・おれは対局に口は挟まんぞ。】
【解ってる。これは私の棋士人生なのよね。私が切り開いて行くしか無いのよね。】
【そういう事だ。】
記録係が時間を告げる。
上位者の犬塚が駒を盤上に取り出して、二人がそれぞれ駒を並べていく。
対局室は緊張に包まれる。
駒を並べ終わるとどちらともなく礼をする。
「お願いします。」
続く