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シズ婆との別れを済ませてしばらくの間、ポン太は近場の山で暮らしていた。
一般に猫の縄張りの範囲は60~100メートルほどしか無いと言われる。
大体が1日16時間も寝て暮らしているので、それほど移動出来るわけでは無いと考えられているのが普通だ。
しかし実は行動自体は1日4キロほどは出来るものなのだ。
やらないだけなのだ猫という生き物は。
ポン太もしばらくはその様な生活範囲で暮らしていた。
しかし冬場が近づいてくると目に見えて獲物の数が減り始めた。
これはシズ婆にも教えてもらえていなかった。
そう、冬場が近づくとシズ婆も山へ入るのがつらそうで、寒くなると家の中でのんびりと暮らしていたのだった。
ところが今はそんな事を言っている場合では無い。
ポン太は山を降りる決心をした。
長野と人間たちが呼ぶ街を後にして、ポン太の放浪の旅が始まった。
しかし、そこはやはり猫の行動距離の限界がある。
1日4キロちょっとほどの放浪の旅である。
その土地、その土地にはボス猫が縄張りを持っている。
餌場をあさるポン太にボス猫たちは立ち向かってくる。
だが、ポン太はシズ婆からみっちり鍛えられているのだ。
ボス猫たちの攻撃を簡単に躱しながら、お得意の猫パンチを1発お見舞いするれば殆どのボス猫たちはKOされてしまう。
ボスがコテンとやられたらそれを見ていた周りの猫たちの逃げ足は早い。
まあ・・・ポン太にはそいつらを追い回す気は全く無い。
食事を終えるとどこかゆったり出来るところを探してひたすら眠る。
そうやって毎日4キロほど移動しながら数年が過ぎた。
ポン太はいつの間にか長野と呼ばれる土地から、コンクリートが敷き詰められた東京と呼ばれる街へと流れついた。
その東京の中でもポン太は放浪を続けた。
どうにも気に入る場所が見つからなかったのだ。
その年は特に寒さが厳しく路上で寝るには無理がある年だった。
ある日ポン太は少し狭い広場に土管が打ち捨てられた場所を見つけた。
その中に草を少々運べば、この寒さを凌げそうな感じだった。
早速土管に入り込み、近くの雑草を後ろ足で掻き出して集め敷き詰めて寝転んでみた。
久々の寝心地の良さであった。
ポン太が気持ちよく寝ていると、何やら周りがうるさくなってきた。
目を覚まして外へ出てみると、そこら中に猫が集まっている。
そう俗に言う猫の集会である。
ポン太が見つけたその場所は、この地区の猫たちの集会所だったのだ。
集まった猫たちの何頭かが威嚇の唸り声を上げていた。
「フゥ~~~!!!!」
「しゃぁ~~~~~!!!」
ポン太はため息を付いた。
「はぁ~・・・」
それを見たその場所の猫たちはポン太を甘く見た。
弱っちいと勘違いしてしまった。
中の1頭がポン太の前に進み出てきた。
ポン太は何となくその中の中堅あたりの馬鹿者だろうと当たりを付けた。
「フゥ~~~!!!!」
その猫がポン太を威嚇する。
ポン太は全く相手にせず、いきなりの猫パンチを浴びせた。
「ギャニャー・・・・」
1発でKOだ。
当然だ。
シズ婆に仕込まれ、放浪の旅でさらに磨きを付けたポン太の攻撃を、東京あたりの野良や家猫あたりがどうこうしようと思うのが間違いだ。
だがその集会所の猫たちにポン太がそういう猫だという想像力は働くはずもない。
その次に前に進み出てきたのは恐らくこの集会場のボス猫ぽかった。
「しゃぁ~~~~~!!!!」
飛びかからんばかりの勢いで地面を蹴っている。
ポン太は知らん顔で自分の顔を洗っていた。
「ウンギャ~~~!!!!しゃぁ~~~~~!!」
ボスが飛びかかって来た。
それを横目にポン太は後ろ蹴り一発をお見舞いする。
「ホンギャァ~~~!!!!」
ボス猫の悲鳴が集会所に響き渡った。
ポン太はまた自分の顔を洗い出した。
続く
(日曜日 短期連載)
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☆ショート・ショート
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☆長編・連載
はぶてとらんもん! 連載
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(有)AKB探偵社・不動産(シリーズ)
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メイド喫茶
悪夢
☆寓話
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☆官能小説
官能小説 読み切り
☆幻想小説
幻想小説
★★★★ ★★★ ★ ★★★★ ★★★★
シズ婆との別れを済ませてしばらくの間、ポン太は近場の山で暮らしていた。
一般に猫の縄張りの範囲は60~100メートルほどしか無いと言われる。
大体が1日16時間も寝て暮らしているので、それほど移動出来るわけでは無いと考えられているのが普通だ。
しかし実は行動自体は1日4キロほどは出来るものなのだ。
やらないだけなのだ猫という生き物は。
ポン太もしばらくはその様な生活範囲で暮らしていた。
しかし冬場が近づいてくると目に見えて獲物の数が減り始めた。
これはシズ婆にも教えてもらえていなかった。
そう、冬場が近づくとシズ婆も山へ入るのがつらそうで、寒くなると家の中でのんびりと暮らしていたのだった。
ところが今はそんな事を言っている場合では無い。
ポン太は山を降りる決心をした。
長野と人間たちが呼ぶ街を後にして、ポン太の放浪の旅が始まった。
しかし、そこはやはり猫の行動距離の限界がある。
1日4キロちょっとほどの放浪の旅である。
その土地、その土地にはボス猫が縄張りを持っている。
餌場をあさるポン太にボス猫たちは立ち向かってくる。
だが、ポン太はシズ婆からみっちり鍛えられているのだ。
ボス猫たちの攻撃を簡単に躱しながら、お得意の猫パンチを1発お見舞いするれば殆どのボス猫たちはKOされてしまう。
ボスがコテンとやられたらそれを見ていた周りの猫たちの逃げ足は早い。
まあ・・・ポン太にはそいつらを追い回す気は全く無い。
食事を終えるとどこかゆったり出来るところを探してひたすら眠る。
そうやって毎日4キロほど移動しながら数年が過ぎた。
ポン太はいつの間にか長野と呼ばれる土地から、コンクリートが敷き詰められた東京と呼ばれる街へと流れついた。
その東京の中でもポン太は放浪を続けた。
どうにも気に入る場所が見つからなかったのだ。
その年は特に寒さが厳しく路上で寝るには無理がある年だった。
ある日ポン太は少し狭い広場に土管が打ち捨てられた場所を見つけた。
その中に草を少々運べば、この寒さを凌げそうな感じだった。
早速土管に入り込み、近くの雑草を後ろ足で掻き出して集め敷き詰めて寝転んでみた。
久々の寝心地の良さであった。
ポン太が気持ちよく寝ていると、何やら周りがうるさくなってきた。
目を覚まして外へ出てみると、そこら中に猫が集まっている。
そう俗に言う猫の集会である。
ポン太が見つけたその場所は、この地区の猫たちの集会所だったのだ。
集まった猫たちの何頭かが威嚇の唸り声を上げていた。
「フゥ~~~!!!!」
「しゃぁ~~~~~!!!」
ポン太はため息を付いた。
「はぁ~・・・」
それを見たその場所の猫たちはポン太を甘く見た。
弱っちいと勘違いしてしまった。
中の1頭がポン太の前に進み出てきた。
ポン太は何となくその中の中堅あたりの馬鹿者だろうと当たりを付けた。
「フゥ~~~!!!!」
その猫がポン太を威嚇する。
ポン太は全く相手にせず、いきなりの猫パンチを浴びせた。
「ギャニャー・・・・」
1発でKOだ。
当然だ。
シズ婆に仕込まれ、放浪の旅でさらに磨きを付けたポン太の攻撃を、東京あたりの野良や家猫あたりがどうこうしようと思うのが間違いだ。
だがその集会所の猫たちにポン太がそういう猫だという想像力は働くはずもない。
その次に前に進み出てきたのは恐らくこの集会場のボス猫ぽかった。
「しゃぁ~~~~~!!!!」
飛びかからんばかりの勢いで地面を蹴っている。
ポン太は知らん顔で自分の顔を洗っていた。
「ウンギャ~~~!!!!しゃぁ~~~~~!!」
ボスが飛びかかって来た。
それを横目にポン太は後ろ蹴り一発をお見舞いする。
「ホンギャァ~~~!!!!」
ボス猫の悲鳴が集会所に響き渡った。
ポン太はまた自分の顔を洗い出した。
続く
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