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対局が終わって対局場から廊下に出ると向こう側に枡鍵名人の姿があった。

【あ・・・枡鍵6冠だ・・・。挨拶しなくちゃ。】

【はぁ?何を言っているんだ。俺には朝の挨拶もしないくせに。】

【そ、それは・・・だって、枡鍵6冠がとてもおすぎと同人物とは未だに思えないんだもん。】

【ふん!俺ほどの天才は存在しない。則ち、それが俺と枡鍵が同一人物だと言う証明だ。】

【そんな事言ったって・・・あの紳士な枡鍵6冠が・・・おすぎと同人物とは・・・・】

【ふん!失礼なやつだ!まあ良い。じゃあ、少し話してみろ。絶対わかるから。】

【えっ?どういう事?】

【ふん、話してみればわかるさ。あ、それと間違っても枡鍵6冠とは呼ぶなよ。俺はその呼ばれ方が多分大嫌いなはずだ。】

【えっ?どうして?】

【・・・・俺は1番じゃなくちゃ嫌なんだ。だから6冠なんて・・・藪さんに負けてる事を認める事になるじゃないか。

しかもあっちは全て永世資格なんだぞ・・・・。せめて現在の8冠全部制覇するまでは・・・呼称は名人で良いはずだ。】

【ぷぷぷ・・・負けず嫌いもそこまで行けば病気だわ。】

【ふん!あ、ほら来たぞ。】

【あ、うん。】

「あ・・・こんにちは。枡鍵・・・名人。晴耕師泰葉です。・・・覚えてますか?」

枡鍵はにこやかに答える。

「ええ・・・奨励会時代に何度かお目に掛かりましたね。・・・それにユニークなお名前なので良く覚えてます。」

「えっ?ユニークな名前って・・・」

【そりゃ、始めに俺が言ったじゃ無いか。「性交したいわ」くん!】

【やめて!その変な読み方!】

「ああ・・・すいません。いや・・・ちょっと、何となくそう思ったんです。お気になさらないで下さい。」

【わっはっは!そうだな。そりゃあ人前じゃ口に出せんわ。】

【う・・・うるさい!】

「あ、いえ・・・。」

「あ、それと最近のご活躍も良く知ってますよ。」

【あ・・・その活躍というのは・・・あの歴史に残る「待った!」の事だな。】

【そ、そんな・・・】

「いえ・・・。まだまだ修行が足りませんで・・・・。」

「いやいや、誰にでもああいう事はありますから。気にしないで今後もご活躍期待しておりますよ。」

【ぐわっはっはっはっは!!!】

「う・・・・が、頑張ります・・・・。」

「あ、すいません。これから会長と会う約束がありますので、これで失礼します。」

「あ・・・すいません!あの・・・名人にご相談があるんです。とても重要な事なので・・・。出来ればお時間を作って頂けますか?」

【ん?おい、お前、何を言い出しているんだ?まさか!】

「えっ?あ、はぁ・・・分かりました・・・え~っと、今週はちょっと対局が立て込んでいるんで、来週でよろしいですか?」

「ええ。それで構いません。お願いします。」

「じゃあ、連絡先を教えて頂けますか?」

「あ、はい!」

泰葉は携帯を取り出し、枡鍵に自分の連絡先を伝えた。

「じゃ、これで失礼しますね・・・。」

「はい、ありがとうございます。ご連絡お待ちしてます。」

お辞儀をする泰葉に軽く手を振って枡鍵は会長室の方へ立ち去った。

【おい!お前、何を勝手な事をやっているんだ。】

【・・・だって、今の事態を解決するには本人に聞いてもらわないと、どうしようもないと思わない?】

【・・・思わんな。俺は馬鹿じゃないし、こんな常識では信じられない事を「なるほど!そういう事ですか!」なんて言うほどお人好しでもない。お前の頭がどうにかしてるとしか思わんな。】

【・・・私の頭がどうにかしてるですって!ぜ・・・全部おすぎのせいじゃない!!!】

【ありゃ?はぶてちゃった・・・。】

【はぶてとらんもん!】


続く

※追記※
会社が潰れました!(笑)
と、言っても倒産ではなく(これ以上続けるとヤバいので)廃業なので、御心配無く|😅
然しながらしばらく、残務整理でログイン出来ません。
ゴメンナサイm(_ _)m