「待てよ!」
「何?」
「お前が荷物を取りにきたら伝えたいことがあった。」
「そう。じゃ、荷物ちょうだい。」
「いや、今は持ってないけど…」
「じゃ、今日は話は聞けな…」
「翔が好き…
俺、あの時ちゃんと伝えればよかったってずっと後悔してた。
だからお前が荷物取りにくるのをずっと待ってたんだ。
でも全然取りにこなくて…
なのにずっと俺の頭の中から翔のことが消えることはなくて…
今でも俺はお前が好き…」
「それは俺がアイドルだからだろ?」
「違う!
アイドルだからじゃなくて俺は…」
「でも幸せなんだよね?
俺が望んでたとおりになってよかった…」
「なにが?」
「だって…指輪。」
「えっ…
あぁ…これ?
これはダミー。」
「ダミー?」
「うん。
誘われることが多くて断るのが面倒くさくて。
だから智が指輪しとけって言うから。」
「モテるんだな。」
「まあね。
でも俺はずっと翔が好きだったから…彼女はいない。」
潤をギュッと抱きしめた。
「俺も潤が好き。
あの日、俺は潤に一目惚れした。
あの僅かな時間で潤をもっと好きになって、どんどん好きになって…あれからもずっと好きで…忘れられなかった。」
「ならなんで…」
「潤は普通に女の子と幸せなったほうがいいと思って…
それが潤の幸せだからそれを俺が壊しちゃいけないと思って…」
「は?
んなの勝手に決めんなよ。」
「でも俺は潤だけを幸せにすることはできない…」
「それでもいい…
友達でもいい…翔と一緒にいたい…」
ぽろぽろと涙を流す潤にキスをした。
「愛してる…
もう…離さないから。
離れてた分俺が潤を幸せにするから。
覚悟しとけよ。」
「10年分幸せにしてもらわなきゃ許さないから。」
「絶対に幸せにする。
もう潤のこと泣かせない…」
潤の頬を伝う涙を指で拭い
長い長いキスをした…
【おわり】