▷君は少しも…


処女作でして…とてもつたない文章で申し訳ない🥺

ちょっとこの曲好きすぎて大好きな推しカプで作って見ました!

自己責任で読んでいただきたい🙇🏻‍♀️💦


※bl

※相櫻


ご理解よろしくお願いします。



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白くて柔らかい肌、大きくて潤んだまん丸の瞳。赤く少し腫れぼったい唇。

俺の目に映る君の全てが愛おしい。


ソファに並んで座っている、ただそれだけで幸せを感じられるのはあなただから。


俺の家のソファで寛いでいる翔ちゃんが携帯を見ながら下唇を人差し指で構う。その癖は昔から変わらない。それを見ているだけで俺は癒される。


「翔ちゃん、可愛いよ」

「ん、ありがと」


こんな言葉ではもう照れてくれない。

当たり前のように受け流して携帯を見続ける。

誰からの連絡を待っているのかは聞かない。答えはなんとなくわかる。


「翔ちゃん、」

「ん?何?」

「したい。」

えぇ〜。それはちょっと


答えを濁して時計を見る。

あと30分で仕事が終わるあの人と会う約束があることなんてわかってる。でも、


「彼氏のお願いが聞けないんですか〜?櫻井くんは悪い子ですね〜。」

「だって、約束が」


約束を守りたいからなのか、あの人に早く会いたいからなのか


自分がこんなに黒く汚い人だったと知ったのはあなたのおかげだよ、櫻井くん。

その手を縛って足に鎖をつけてこの部屋に閉じ込めてしまえればと何度も考えた。

他の誰に笑顔を向けていたって腹が立つのに、特にあの人に向ける笑顔が許せない。

気を許して花が咲くように綺麗に笑う翔ちゃんを見ると、その顔を殴り飛ばしたくなる危険な自分が自分で怖い。


「まさき?ごめんね。結構前から大野さんと約束してたから断れない。だから今日はできない。あと30分もないし。」

「そっか、じゃあ別れる?」

「え?」

なんて、ね。」


眉を顰めて困った顔をする翔ちゃん。その表情さえ愛おしい。

結局俺はこの人を手放せないし、縛りつけられない。


「まさき、俺のこと好きじゃないの?」


目を逸らした俺の顔を覗き込んで上目遣いに困った顔で聞いてくる。

好きに決まってる。こんなに愛してるんだから。


「好きだよ。世界で一番愛してる。」


翔ちゃんは?俺のこと一番愛してる?

逆に聞きたい。だけど答えが怖くてその質問は飲み込んだ。


「良かった。ありがとう。今度時間作るよ、ご飯食べに行こ?奢るし。」

「うん。」


翔ちゃんの首の後ろに手を回せば自然と目を閉じてキスを待ってくれる。

その唇に自分のそれを重ねる。舌でこじ開け深く口付けていく。


「翔ちゃん


キスの隙間で名前を呼ぶと薄らと目を開けて潤んだ瞳で俺を見る。

どうかこの先翔ちゃんのこんな顔を見るのが俺だけでありますようにと願いを込めて、勢いよくまた唇にかぶりつく。


「ん、んぅ


翔ちゃんから漏れる声がその先の行為を期待させ、俺の体は反応する。

Tシャツの裾から手を忍ばせようとしたところで、翔ちゃんの携帯が着信を告げて大きく震えた。

翔ちゃんは迷うことなく俺の肩を押して遠ざけ携帯を手に取ると、躊躇いもなく電話に出る。


「もしもし?大野さん?」

『翔くんお待たせ〜、今から向かうからちょっと遅れちゃうかも〜』

「全然いいよ!お疲れ様。先に着いたら店入って待ってるよ。」

『りぉか〜い』


穏やかな笑顔で電話を切った翔ちゃんは、つい数十秒前まで俺とキスをしていたなんて考えられないくらいだ。


「大野さんってさ、了解が言えてないよね。りおかいってなってない?」


嬉しそうに笑ってそんなことを聞いてくる翔ちゃんが憎たらしい。


「そうかな?あんまり考えたことなかった。」

「そうなんだって〜。今度聞いてみて!」


りぉかいってなってんだよな〜と楽しそうに呟きながら、今いる俺の家から約束の店までの経路を調べている翔ちゃん。


「ねぇ、翔ちゃん」

「んー?」

「大野さんのこと好きなの?」

「えっ!?!?」


わかりやすく動揺する。俺が告白した時だってもっと冷静だったのに。


「好きって、そりゃ人としては好きだけど

「大野さんともキスできる?」

「キ、キスう〜ん」


苛立つ。俺だけだと思ってたのに。

答えに迷う翔ちゃんを許せない。俺はこんなに一途に思ってるのに。


「キスはできないな!」

「え?」

「大野さんとキスはできない。確かに人としても好きだし、他の人よりだいぶ特別だけど。キスしたいとかは思わないかな〜」

「恋愛としての好きじゃないってこと?」

「うーんてか、なんなの?(笑)今日めっちゃぐいぐい聞くじゃん。」


翔ちゃんが困り笑いで俺を見る。

こんなに可愛い翔ちゃんが俺以外の人となんて想像もしたくないのに、隙がありすぎる上に大野さんに対しての態度は圧倒的に特別でどうしても余裕がなくなる。


「翔ちゃんが浮気したら、俺どうしよう」

「浮気?!俺が?」

うん」

「しないよ!俺にはまさきだけじゃん。」


翔ちゃんが携帯を横に置いて真っ直ぐに俺を見つめる。

ね?っと首を傾げて優しい笑顔を向けてくる。

こんな言葉と行動一つで簡単に喜んでしまう自分の単純さが少し嫌になる。


「俺、だけ?」

「そう。まさきだけ。」


翔ちゃんが俺の唇に軽くチュッとキスをして、少し照れたように笑う。


「翔ちゃん


嬉しくて自分の顔が緩みきっていることなんて分かってる。

表情管理したくても自然と頬が緩んでにやけてしまう。身体もぽかぽかと火照っているようだ。

見つめ合うとさらに熱は上がるようで、俺はもう目の前にいる翔ちゃんを押し倒したい気持ちでいっぱい。


「あ、やべこんな時間。」


翔ちゃんは見つめあっていた視線を逸らして時計みるなり、ソファから立ち上がり出かける準備を始めた。

洗面台に消えていった翔ちゃんの後をとぼとぼとついていく。

鏡を見ながらワックスで髪を整え直している翔ちゃん。そんなにオシャレする必要ある?


「?まさき?」

「見てるだけ〜」

「後ろ変になってない?」

「大丈夫。可愛いよ。」

「可愛いってなんだよ〜、俺かっこいいがいいんだけどな〜。」




出会った時はかっこいい先輩だったけど、知ればあなたは強く見えるようで儚くて脆くて弱くて、すぐに限界まで無理をして守ってあげたいといつしか思うようになっていた。

真面目で努力家で才能もあってすごい人なのに、ちょっと褒めると照れた顔で恥ずかしそうにお礼を言う翔ちゃんが可愛くて愛しくて大切な人になっていた。


なのに、翔ちゃんは

俺の告白を断らなかったのはメンバーとして気まずくなるのを避けたんだろう。

たぶん、俺のことはメンバーとして好きくらいだったんだと思う。

むしろ、大野さんのことを特別に思ってて


「クソッ」


目の前にあったクッションを床に投げつける。

行ってくるね〜と楽しそうに出ていった翔ちゃんを思い出すだけでムカムカする。

まさきだけだよ?ってよく言ってくれるけど、頭のいい翔ちゃんは俺を喜ばせる言葉を知っているからだよね。

何度体を重ねても手に入った気がしない。


翔ちゃん、本当は誰に抱かれたいの?




ガタンッバタバタ


物音に目を覚ましてベッドサイドの時計を見ると深夜1時を示している。


翔ちゃん帰ってきたんだ。


寝室からリビングに様子を見に行くと、帰ってきたままの格好でソファで横になって寝息をたてている翔ちゃんがいた。

お酒には強い方で、いつもなら絶対にシャワーを浴びて着替えてから横になるから珍しい。


「翔ちゃん。」


いつもよりお酒が進んだのか。

楽しかったんだろうな。無防備に寝ている翔ちゃん。白い肌はほんのり赤く火照っていて妖艶だ。


まさか


嫌な想像が浮かんで翔ちゃんのシャツの襟元に手を伸ばした。

ボタンを外して、胸元をあらわにする。

首筋にも鎖骨にも当然胸にもそれらしい痕はなく、安堵のため息をつく。


「んまさき?」


身じろいで目を擦りながら翔ちゃんが少し開けた目で俺を見る。


「ごめん、起こした?あ、着替えさせてあげようと思って、パジャマに。」

「ん、ありがと。」


そう言って再び目を閉じる。俺は続きのボタンを外しベルトも緩めてあげる。

されるがままになっている翔ちゃんはすやすやと気持ちの良さそうな寝息を立てている。

翔ちゃんのパジャマをとりに一度クローゼットに行って、再びリビングに戻ると翔ちゃんは仰向けから横向きなっていた。

ソファの前に座って翔ちゃんに目線を近づける。


「翔ちゃん、ほらパジャマ持ってきたから着替えよ?」

「まさき。」

「ん?なに?」

「ぎゅーして」


翔ちゃんが両手を伸ばして、とろんとした瞳で俺を見つめる。

シャツが乱れ、ベルトも外れている状態でそんなお願いをされれば誰だって反応するものだろう。


「翔ちゃん。」


仰せのままに上から覆い被さるように抱きしめると翔ちゃんは俺の首に両手を回して首元に顔を埋める。


「やっぱり、まさきの匂いって安心する


翔ちゃんが寝起きの少し掠れた声で呟く。

大野くんとなんかあったらどうしようと不安で食欲もなく寝付けなくて、もやもやしていた気持ちがこんな何気ない一言で一気に吹き飛ぶ。

翔ちゃんの上体を起こすように背中に回した手を強めて自分の方に引き寄せる。


「翔ちゃん


ぎゅっと抱きしめて少し腕を緩めると、翔ちゃんがソファから足を下ろして俺を横に座るように促す。

俺が横に座る間も翔ちゃんは首に回した腕を離さない。それどころか座ったのを見るや否や、俺の上に向かい合うように座ってくる。


「まさき、抱いてくれる?」


翔ちゃんが上から器用に上目遣いをしてそんなことを言ってくるから断れるはずもない。


「もちろん。」


結局俺は何も聞けないし、言えない。

惚れたもん負け。振ることもできず振られるのも怖くてこの関係をずるずると続けていくことに必死になるんだろう。

翔ちゃんがあの人に行かないように、都合のいい俺でいることしかできないんだろう。


でも、翔ちゃんは少しも悪くない。