続き
 
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※ 学パロ
※相櫻
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自己責任でお願いしますっ!!!
 
 
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昼休みも残り15分。

潤と別れて1人、本の返却に図書室に寄る。

 

特進棟にある図書室は市内の高校でも1位、2位を誇る大きさと文庫数で、

父から年間100冊読めと小さい頃から言われてる俺はすっかりここの常連だ。

 

本を返却して次に借りようと思っていた本を探す。

基本は評論本やエッセイしか読まない。

読書自体は好きだし、図書室の雰囲気も好きで落ち着く。

 

 

「あれ?えっと、櫻井くん?」

 

 

名前を呼ばれてそちらを見ると、相葉さんが人の良さそうな笑顔でペコっとお辞儀をした。

驚きを隠せなくて下手な作り笑いでお辞儀を返した。

 

 

🟢「櫻井、翔くんだよね?」

 

🔴「えぇ、まあ。」

 

 

相葉さんは眉を下げて自信なさげに確認する。

 

 

🟢「俺は相葉雅紀!普通科2A組のバスケ部!よろしくね。」

 

🔴「櫻井翔、特進科2よろしく。」

 

 

差し出された右手を握って握手をする。

今日はニノさんは一緒じゃないのかな?と周囲をみるがそれらしき人はいない。

 

 

🔴1人、なんですか?」

 

🟢「同い年なんだし、タメで話してよ!」

 

 

あははと笑う顔はやはり見惚れてしまうほど魅力的で惹きつけられる。

 

 

🟢「ニノのことかな?いつも一緒にいるわけじゃないよ〜。あいつは基本1人が好きだし、教室で1日中座ってる時だってあるくらいだからね。」

 

🔴「そう、なんだ。」

 

🟢「わぁ、難しそうな本読むね〜」

 

 

俺の持っている本を見て悪意のない感想を素直に言う相葉くん。

 

 

🔴「そんなこと

 

🟢「翔ちゃん本読むの好きなの?」

 

🔴「しょ、翔ちゃん!?」

 

 

聞き慣れない呼称に動揺が隠せない。

思わず持っていた本を落としそうになった。

 

 

🟢「だって、翔でしょ?名前。」

 

🔴「そ、そうだけど。初めて呼ばれた。」

 

🟢「ん〜、なんか可愛いから翔ちゃんって感じ!」

 

 

可愛い!?俺が?

 

 

今までそんなこと言われたことなかったし、当然思ったこともなかったから褒められてるのかバカにされてるのか分からない。

だけど、素直で悪意とか嫉妬とか汚い感情を一切持っていなさそうな笑顔で見られると褒めてられているように聞こえてあまり悪い気はしなかった。

 

 

🟢「あ、翔ちゃんって呼ばれるの嫌だった?」

 

🔴「ううん、驚いただけ。」

 

🟢「よかった!俺のことも好きに呼んでいいよ!」

 

🔴「じゃあ、相葉くんで。」

 

🟢「うん!あ、今度おすすめの参考書教えてよ!中間テストほんとにやばそうなんだよね〜」

 

 

キーンコーン カーンコーン

 

 

昼休みの終わり3分前を告げる予鈴がなる。

ここから特進の教室まではすぐだが、普通科までは少し遠い。

 

 

🟢「あ、やば!またね!」

 

 

そういって慌ただしく相葉くんは行ってしまった。

 

 

返事できなかったな

 

 

 

 

 

同じマンションの階違いに住んでいる潤は朝が弱くて、いつも迎えに行く。

 

 

 「翔くん、いつもごめんね〜。潤〜!早くしなさ〜い!!」

 

 

潤のお姉さんが呼んでくれるが返事がない。

 

 

 「二度寝してやがるな〜。着替え終わってはいたんだけどな〜。」

 

🔴「いいですよ!俺起こして行くんで。」

 

 

大学生の潤のお姉さんは、そう?ごめんね。後よろしく。と言って玄関を後にした。

 

 

🔴「おーい、潤!遅刻するぞ〜。」

 

🟣「う〜ん。」

 

 

潤の部屋には、鞄を枕にし床に横になって寝ている姿が。

学年一モテる男がこれじゃ台無しだなとため息をついて、文字通り叩き起こす。

 

 

🟣「いってぇ!わかったよ〜起きるよ〜」

 

 

勢いよく叩いた背中をさすりながら、ゆっくりと立ち上がる。

鞄を持ち上げるときちんと閉まっていなかったのか、中身がポロポロと落ちた。

 

 

🔴「あ〜あ、ちゃんと閉めとけよ〜」

 

 

ヒラヒラと落ちたプリントと単語帳を拾ってやる。

 

 

🟣「ごめ〜ん。」

 

🔴「ったく、ん?」

 

 

拾ったプリントは学年便りで成績上位者の名前が20名載っていた。

 

 

🟣「ん?あ、それね。すごくない?新入生の校内学力テスト、俺18位だよ?」

 

🔴「なぁ、この1位って。」

 

🟣「あぁ、すごいよね。普通科なのに1位って。にのみや、かずや?だっけ?入試もその人が1位だったみたい。でも、普通科だから新入生代表挨拶には選ばれなかったんだって〜」

 

🔴「にのみや

 

 

相葉くんとよく一緒にいるニノと呼ばれていた人の顔が浮かんだ。

 

 

同い年かと思ってたけど、一個下だったのか?もしくは勘違い?

 

 

 

 

 

 

二時間目の授業が終わり、10分休憩で教室が少し賑わう。

俺は窓際の席から動くこともなく、なんとなく窓の外を眺めていた。

教室の窓からはちょうどグラウンドが見えて、体育の授業のために体操服を着た生徒がぞろぞろと現れた。

 

 

🔴「あ、」

 

 

その中で1人だけ目に飛び込んできたのは相葉くんだった。

やはり、ずば抜けてスタイルが良くかっこいい。上着のジャージを腕まくりして、友達とリフティングの練習をしているようだった。

 

 

球技大会、サッカーに出るのかな?

まあ、バスケ部って言ってたから必然的にそうなるよな。

 

 

うちの学校の球技大会は男子がサッカーかバスケ、女子はバレーかソフトボールと決まっていてどちらも所属している部活の競技には出られない決まりになっている。

 

俺は中学までやっていたからサッカーを選んだが、サッカー部であろう男子にリフティングを教えてもらっている相葉くんを見て、俺もバスケ選んだら相葉くんに教えてもらえたかな?なんて思っている自分に驚いた。

 

 

🔴なんで教えてもらいたいと思ってんだよ。」

 

 

独り言を呟く。

満面の笑顔でボールを蹴る相葉くんはキラキラして見えて、相葉くんのクラスの女子が黄色い歓声を近くであげていることになぜか複雑な気持ちになった。

 

 

なんだこれ

 

 

胸のざわつきが不思議で自分のことなのによくわからない感情になる。

 

相葉くんから目を離せない。

次の授業の先生が来てチャイムも鳴っているのに、俺は窓の外で一際目立っている相葉くんを見ていた。

 

1ゲーム終えて、相葉くんと友達何人かで水を飲むために

グラウンドからこちら側に歩いてくる。

今いる自分の教室は4階で、水飲み場が見えづらい。

少し身を乗り出すように窓に顔を近づけて相葉くんを目で追った。

 

上に着ていたジャージを脱いで半袖になると裾を掴んでパタパタと仰ぎながらこちらへ歩いてくる姿は青春映画のワンシーンのようだった。

相葉くんは手の甲で汗を拭うとなんなく視線を上げ、こちらを見た。

目があった気がした。

でも、下から4階の教室なんてはっきり見えないから気のせいだと思ったら、

相葉くんが大きくこちらに手を振る。

 

 

🔴「え

 

 

まさかと思ったが、相葉くんは両手をブンブン振っている。

冷暖房完備で防音に優れている特進棟は外の音がほとんど聞こえないため、

相葉くんが何かを言っているが聞き取れない。遠すぎて唇の動きを読むのも難しい。

 

相葉くんの周りの友達2人が相葉くんの頭をペシッと叩いて、

両手を引き歩いて行ってしまった。

水飲み場はちょうど死角で、無意識に少し立ち上がって覗き込もうとしたところ机に膝が当たってペンケースが床に落ちた。

 

 

カシャンという音に板書していた先生が振り返る。

 

 

 「櫻井?どうした?」

 

🔴「なんでもないです!」

 

 

慌ててペンケースを拾う。

まだ一文字も板書できていないどころか、いつから授業が始まっていたかも分からないくらい相葉くんを気にしていた自分がやけに恥ずかしくなった。

集中しようと切り替えてそこから窓の外を見るのをやめた。

 

 

 

授業が終わって先生に名前を呼ばれる。

教卓まで行く途中チラッと窓の外を見ると相葉くんがグラウンドから校舎へと歩いて行くのが見えた。

 

 

あんなに人がいるのに一瞬で見つけられるなんて。

俺、なんか気持ち悪いな。

 

 

 「櫻井、今日の授業集中できていなかったみたいだけど、大丈夫か?」

 

🔴「すみません。大丈夫です。」

 

 

この先生は1年の時の担任の先生で今でも俺らのクラスを気にかけてくれている。

今は1年の普通科の担任を持っている。

 

🔴「あ、先生!」

 

 「なんだ?」

 

🔴「今って、1年の普通科ですよね?」

 

 「そうだけど、どうした?」

 

🔴「にのみやって生徒わかりますか?」

 

 「あぁ、普通科なのに学年1位のあいつか?俺のクラスだぞ。」

 

🔴「どんな見た目の子ですか?」

 

 「普通な感じだけどな、色白で小柄で。少し変わってるかな?でも、どうした?気になるのか?一個下の1位が。」

 

🔴「いや、そんなんじゃ!知り合いの友達かもしれなくて。」

 

 「ふ〜ん、まぁ学校的にはぜひ特進に行ってもらいたいと思ってるからな。もし機会があったら特進に行けって誘っといてくれよ。」

 

 

そう言って先生は教室を後にした。