続きです!   

 

※相櫻 

※BL 

※学パロ   

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️ 

 

  ---------------------------

 

 

 

🟣「やっぱ車は楽だな〜」

 

 

隣に座る潤が窓の外を見ながら楽しそうに呟く。

 

 

🔴「おばさん、ほんとにすみません。」

 

 

幸い骨は折れていなかったが、変なところを捻挫してしまったため、全治3週間でしばらくは松葉杖生活になった。

バスと徒歩での通学はしんどいということで、潤のお母さんが毎朝送ってくれることになった。

 

 

「気にしないでよ〜翔くん。いつも潤の勉強みてくれてるお礼だから。それより迎えは行ってあげられなくてごめんね〜。」

 

🔴「いえいえ!行きだけで十分です!」

 

「潤〜。帰り道ちゃんと翔くんのこと介護してあげるのよ?」

 

🟣「分かってるよ!てか、翔くん移動教室とか大丈夫?」

 

🔴「まあ、なんとかなるでしょ」

 

 

 

 

 

 

松葉杖での生活は予想をはるかに超える大変さだった。

1日目の午前中にして諦めてしまいそうだ。

今日は移動教室もないからと思っていたら、トイレに行くためだったり廊下にある個人ロッカーに資料集を取りに行くためだったりと、案外日頃から動き回っているらしい。

 

痛み止めを飲んでるとはいえ、立ち上がる時に少し力を入れれば鈍い痛みがある。

松葉杖も平坦な道以外は転ばないように神経を使う。

 

 

🔴「疲れた…」

 

 

昼休みの始まりを告げるチャイムがなると同時に思わず口からこぼれた。

今日はもう潤と中庭で食べる気にならず、《教室で食べる。》と連絡した。

潤からは《お疲れ。了解!》とすぐに返ってきた。

 

 

🟢「あ!良かった!いた!」

 

 

相葉くんの声がして廊下の方を見ると、

窓際の席の俺に向かって大きく手を振っている。

 

 

🔴「相葉くん!?」

 

 

昨日、自分が相葉くんに対して恋心を抱き始めているのではないかと思ってから、

それ以上はわざと考えないようにしていてから突然目の前に現れたその人に驚きを隠せない。

 

 

🟢「足大丈夫??昨日連絡して聞こうか迷ったんだけど、ゆっくり休みたいかな?と思って結局連絡できなくてさ〜。やっぱり捻挫だった?」

 

 

ペラペラと饒舌に話しながら教室に入ってきた。

 

 

🔴「う、うん。捻挫だった。」

 

🟢「痛むよね〜。あ、痛み止め飲んだ?松葉杖って疲れるよね〜。次の授業の教科書とかある?ロッカーから取ってこようか?」

 

🔴「だ、大丈夫!」

 

 

相葉くんは俺の机に掴まり、しゃがんで足の様子を伺ってくれている。

 

 

🟢「結構、腫れてそう…。行きは?お母さんとかに送ってもらえた?」

 

🔴「えっと、潤のお母さんに…。」

 

🟢「そっか!帰りも?」

 

🔴「いや、帰りは普通に…」

 

🟢「えぇ!それ大丈夫?片道どれくらい?」

 

🔴「30分くらい…かな?あ、ねぇ、相葉くん。」

 

🟢「ん?」

 

 

素直な瞳でコテンと首を傾げて見上げる相葉くんにどきっとしてしまう。

 

 

🔴「えっと、用事があるとか?」

 

🟢「何の?」

 

🔴「いや、その…。何しに来たのかな?って…」

 

🟢「え!翔ちゃんに会いに来たんだけど!」

 

🔴「え?!俺に?」

 

🟢「うん!足も心配だったし。」

 

🔴「…あ、りがとう。」

 

 

真っ直ぐに目を見ながら、俺に会いに来たなんて言われたら嬉しくてたまらない。

二宮くんはいないみたいだし、お昼を一緒に食べないかと思い切って聞いてみることにした。

 

 

🔴「あのさ、」

 

「あれ?まさきじゃんっ!」

 

 

勇気を出したところでクラスメイトの一人が相葉くんを見つけて話しながら近づいてきた。

相葉くんは立ち上がって嬉しそうに手を振った。

 

 

🟢「おぉ!久しぶり!そっか2年から特進だったんだ!」

 

「そうそう!まさきは?バスケ頑張ってる?」

 

🟢「頑張らないといけないのは勉強だな〜」

 

 

そのクラスメイトは2年から特進にきた人で俺は話したことがなかったが、相葉くんとの距離感から1年生の時同じクラスだったのかな?と思った。

 

 

「1年の時から留年ギリギリだったもんな〜。あ!勉強教えてやろうか?」

 

 

ドキッとした。俺が相葉くんに勉強を教えると約束したが口約束にすぎないし、俺以外からも教えてもらったって別に悪いことなんて何もないのに、モヤモヤと居心地の悪さを感じてしまう。

相葉くんの答えが怖い。

 

 

🟢「いや!それは大丈夫!俺は櫻井くんに教えてもらうから!」

 

 

満面の笑みで俺を見ながらそう言って、ね?と同意を求められた。

なんだか拍子抜けてしまった。

 

 

🔴「お、おぉ。」

 

 

クラスメイトは俺に視線を移すと、ペコっと軽く会釈をした。クラスメイトとの気まずい距離感を友達の多そうな相葉くんに見られて恥ずかしくなった。

 

 

「そっか、じゃあ頑張れよ!まさき!」

 

🟢「うん!ありがとう!」

 

 

クラスメイトが行ってしまうと相葉くんはまた視線を俺に近づけるようにしゃがんだ。

 

 

🟢「で?」

 

🔴「ん?」

 

🟢「先、何か言いかけてなかった?」

 

 

改めて勇気を振り絞るのはなかなか難しく、えっと…と言葉を濁してしまう。

 

 

🟢「ま、いいや。ご飯食べよっか。」

 

🔴「えっ!?」

 

🟢「なに??!食べないの?」

 

🔴「いや、…食べる。」

 

 

相葉くんは持っていた小さいバックからお弁当を取り出して、前の席の椅子を俺の机に向かう合うように移動させて座った。

その様子をポカンと見てしまう。

 

 

🟢「翔ちゃん、お弁当ある??」

 

🔴「あ、あるある!」

 

 

机の横にかけていたリュックからお弁当を取り出す。

 

 

🟢「少なっ!そんなんで足りるの?」

 

🔴「いつもこれくらいだけど…相葉くんは逆に多いね。」

 

🟢「そう?これでも足りなくて部活前と後におにぎりも食べるよ?」

 

🔴「へぇ〜、なのにそんな細いってことは運動量ハンパじゃないんだね。」

 

 

相葉くんは二段の大きめのお弁当とは別におかずの入ったタッパーを開けて、いただきまーっすと言って勢いよく食べ始めた。

 

俺は相葉くんの弁当箱より一回り小さい二段のものを並べて、いただきますと小さく言った。

 

 

🟢「足、どれくらいで治りそう?3週間とか?」

 

🔴「うん、それくらい、かな?」

 

🟢「そっかぁ〜。じゃあ、次の試験は間に合わないね。」

 

🔴「…そう、だね。」

 

 

相葉くんは俺の怪我を心配して会いに来てくれたんだと自惚れていたから、勉強を教える約束のことで会いに来たのだと分かり少し傷ついている自分がいた。

たしかに足を怪我している人に教えてもらうのは気を使うだろう。

 

 

🟢「うーん、難しいな…。」

 

 

難しい顔をして考え込み始めた相葉くん。

 

 

🔴「ごめん。でも!せ、せめて!参考書だけでも何かオススメするよ!1番苦手な教科なに?」

 

🟢「謝らないでよ!参考書ね!教えて!えっと、1番苦手なのは…数学かな…?」

 

🔴「わかった!あとでおすすめのやつメールするよ!」

 

🟢「ありがとう!助かる!…で、なんだけど。」

 

 

俺の顔色を伺うように上目遣いで見られる。

 

 

🔴「ん?なに?」

 

🟢「翔ちゃんってさ、塾とか行ってる?」

 

🔴「いや、今は行ってないよ。」

 

 

参考書の次はおすすめの塾が聞きたいのかな?

相葉くんが通うなら俺も通おうかな…。

 

 

🟢「あのさ、俺今日から部活短縮期間なんだよね!試験前だから。だから…もし翔ちゃんが良ければなんだけど…待っててくれたりしない、かな?」

 

🔴「…えっと。」

 

🟢「家までちゃんと送り届けるので!俺と一緒に帰ってくれませんか!?」

 

🔴「……。」

 

 

相葉くんの言葉は聞こえているはずなのに、内容が理解できなくなり、フリーズしてしまう。

 

 

🟢「おーい!翔ちゃん?」

 

 

相葉くんが俺の顔の前でひらひらと手を振る。

 

 

🔴「あ!…えっと、」

 

🟢「松本くん、だっけ?あの子と帰る…よね。」

 

 

分かりやすくシュンと落ち込んだ相葉くんを見て、脳が追いつき潤のことは置いといて相葉くんと下校できるチャンスを掴みにかかった。

 

 

🔴「待ってる!!」

 

🟢「ん?!」

 

🔴「教室で待ってるから!終わるまで!だから一緒に、帰ろう…。」

 

🟢「うん!!終わったらダッシュで迎えに行くから!」

 

 

相葉くんは目をキラキラさせてすごく嬉しそうに卵焼きを頬張る。

 

相葉くんが嬉しそうだとこっちまで嬉しくなる。

もっと笑って欲しいと思う。

ちょっとした仕草でもドキドキしてしまうし、目が合うと顔が熱くなる。

 

 

 

俺は完全に恋に落ちてしまっているのだろう。

 

 

 

 

初めて会ったあの日の相葉くんの笑顔は今でも思い出せる。

一際目立つスタイルの良さと整った顔。

一点の曇りもなく眩しいほどの笑顔からは悪意など全くない。

運動が得意で人懐っこく優しい性格。

 

相葉くんは少し知れば誰でも好きになってしまいそうな漫画の主人公のような人だ。

 

そんなすごい人にあんな風に助けてもらったんだから好きにならない方がおかしい。そう、俺が男でなければ惚れてしまっても仕方ないってみんなが言ってくれるだろう。

 

 

🔴「モテるだろうな…」

 

 

教室で1人、相葉くんの迎えを待つ。

潤には先に帰ってとだけ伝えが、特に心配する様子もなく了解とだけ返ってきた。

普通はこんなもんだ。

相葉くんが必要以上に気にかけてくれるから余計に期待してしまう。

 

あんなに魅力的な人なんだ。

相葉くんのことが好きな人なんて数え切れないほどいるだろう。

いつ誰と付き合っても不思議じゃない。

 

モヤモヤと心臓がざわつく。

 

 

ガラガラッ

 

 

🟢「翔ちゃんっ!ごめん!お待たせ!」

 

 

勢いよく扉を開けて相葉くんが教室に現れる。

 

 

🔴「大丈夫。お疲れ様!」

 

🟢「お疲れ様。よし、帰ろっか!」

 

🔴「うん!」

 

 

相葉くんが小走りに駆け寄って、机の上に置いていたリュックを持つ。

 

 

🔴「あ、いいよ!自分で持てるから!」

 

🟢「負荷は少ない方がいいの〜。ほら、掴まって?」

 

 

相葉くんが右手を差し出してくれる。

俺はあまり体重をかけないように掴んで立ち上がる。

 

 

🟢「翔ちゃん、抱っこされたくなかったらちゃんと掴まってくださいよ?」

 

 

相葉くんにはお見通しだったようで、ニヤッと笑いかけられた。

 

 

🔴「あはは、バレてたか。」

 

 

お言葉に甘えて、相葉くんの腕に頼りながら廊下まで歩いてみると1日の疲れが出てるのか昼に飲んだ痛み止めが切れたのか痛みを感じる。

相葉くんの方に身体を傾けて足に負荷をかけないように歩く。

 

 

🟢「あぁっ!」

 

🔴「っ!?なに?」

 

🟢「俺、汗臭くない??」

 

 

相葉くんが申し訳なさそうな顔で聞く。

 

 

🔴「全然!」

 

🟢「急いでたからスプレーしかできなかったんだよね。ごめんね!明日からは気をつけるから!」

 

🔴「全然汗臭くないよ!…明日?」

 

🟢「うん、テスト1週間前まではこの時間に終わるし、そこからテスト終わるまでは自主練だからもっと早いよ!」

 

🔴「そう、なんだ…」

 

🟢「だから、1週間だけこの時間まで待たせることになるけど、大丈夫??」

 

 

相葉くんがケロッとした顔で尋ねる。

俺は今日限定のことだと思っていたから驚きと嬉しさでどんな顔をしていいのかわからない。

 

 

🔴「テスト終わるまで一緒に帰ってくれるってこと?」

 

🟢「もちろん!え?そういう話じゃなかった?」

 

🔴「俺は、今日限定のものだと…」

 

🟢「あ、もしかして迷惑だったりした?全然断ってくれても大丈夫だよ!待つのも大変だろうし、松本くんと帰る方がはやく」

 

 

必死に話し始めた相葉くんが面白くて、クスッと笑ってしまった。

 

 

🔴「待ってるよ。一緒に帰りたい、相葉くんと。」

 

🟢「ほんと?!」

 

 

嬉しそうに笑う相葉くんは廊下に差し込んだ夕日に照らされて、本当に綺麗だと思った。

 

 

俺は昔から頭でっかちだと言われていた。

脳内で何度もシミュレーションを繰り返し、ありとあらゆるパターンを考え実行するタイプだ。

だが、たまに後先考えていても仕方ないと本能が叫び。当たって砕けろの精神が暴れ回り、予想外の決断をくだすときがある。

最近では、幼い頃から続けていたサッカーを辞めた時。誰にも相談せず、練習が終わった後にそのままコーチにやめると告げ、次の日から練習に行くのをやめた。

 

後々考えると自分の思い切りの良さと衝動に駆られることの怖さを感じる。

 

 

 

そして今も本能が叫んだ。

 

 

🔴「相葉くん、俺、相葉くんが好きです。」

 

 

昇降口まで向かう階段の踊り場で、立ち止まり横に並ぶ相葉くんに向き直り、俺の口は勝手に吐き出していた。

 

 

🟢「え!?」

 

 

勢いよく俺を見た相葉くんは目を大きく見開いている。

 

 

🔴「急に、ごめん。」

 

🟢「そ、それは…友達として?」

 

🔴「恋人になりたい、の、好き、です…」

 

 

だんだん冷静になる脳とは裏腹に自分の発した言葉に顔がみるみる熱くなっていく。

 

 

🟢「…本気で言ってる?」

 

🔴「嘘に見える?」

 

 

自分でわかる。今きっと俺は耳まで真っ赤だ。

心臓がバクバクとうるさくて、掴まっている相葉くんの右手からすべてが伝わってしまいそうだ。

 

 

🟢「見えない…。」

 

🔴「…うん。」

 

🟢「どうしよう、翔ちゃん。」

 

🔴「…え?」

 

🟢「嬉しすぎて、俺、意味わかんな〜い!」

 

 

相葉くんは頭を左右にブンブンと振りながら、叫ぶ。

 

 

🔴「嬉しいの!?」

 

🟢「嬉しいよ!俺も翔ちゃんのこと好きだもん!」

 

 

相葉くんが真っ直ぐに目を見て伝えてくれる。

 

 

🔴「え!?俺のことが!?」

 

🟢「他に誰がいるんだよ〜!」

 

🔴「それって、友達として?」

 

🟢「違うよ〜!付き合いたいの好きだよ〜!!」

 

🔴「ほ、ほんとに!?」

 

🟢「ほんとだよ!俺、このテスト期間でたくさん一緒にいて距離詰めて好きになったもらおうと思ってたのに〜!」

 

🔴「え!そうなの?!」

 

 

何で翔ちゃんに告白させちゃうの〜俺のバカ〜と謎の後悔をぶつぶつとこぼしている。

 

 

🔴「相葉くん…。」

 

🟢「なにっ!?」

 

🔴「とりあえず、帰ろっか。」

 

🟢「そ、そうだねっ!」

 

 

俺はまた相葉くんの右腕を掴んで、足に負荷がかからないように体制を整えた。

 

学校の敷地出て、歩道を歩きバス停に向かう。

 

 

🔴「相葉くんの家ってどの辺?」

 

🟢「〇〇駅から二駅いったところ!」

 

🔴「え、じゃあ反対方向じゃん!」

 

🟢「大丈夫!走って帰ればすぐだし!翔ちゃんを家まで送ることが今の俺には1番大事だから!」

 

 

本来なら大丈夫だからと断りたいところだが、足の痛みが思ったよりも強くてとても1人で帰れる自信はなく、大人しくお言葉に甘えることにする。

 

家につくまでの間、二宮くんの話や潤の話をした。なんとなくお互いのことや交際については気まずくて話せなかった。