※相櫻
※BL
自己責任でお願いします🙇🏻♀️
--------------------
「翔ちゃんなら、できると思ってたのに…」
最後に見た母は、俺を心底落胆した顔で見ていた。
中高一貫の名門私立五ノ宮(いつのみや)学校中等部の受験に失敗した俺は、
プレッシャーに負けた自分の弱さを母さんのせいにしたんだ。
弱い人だって分かっていたのに。
それなのに、俺は母さんに向かって初めて反抗して言った。
「落ちたのは母さんのせいだ!…それにあんな学校行きたいとか言ってない!俺は母さんの操り人形じゃないんだよっ!」
清々しいほど威圧的に怒鳴って、スッキリしたのも束の間。
見たことのないような母の表情に後悔した。
喉の奥がヒュッとなった。
「…ごめんね。翔ちゃん…そうだよね、お母さんがいけなかったんだよね…」
「か、母さん…?」
「翔ちゃん。まーくんと和くんをよろしくね?お母さん、ちょっと買い物に行ってくるから。」
「…う、うん。」
どうしてあの時、追いかけなかったんだろうか。
いつもシャンッと伸びていた背中は、丸まっていてひとまわり小さく見えていたのに。
その日の夕方。
父に連れられて行った病院で会った母は帰らぬ人となっていた。
「うぅっ、お兄ちゃん。お母さんがぁ〜。」
「…ぉかあさん…グスッ」
顔をぐちゃぐちゃにして泣いている2人の弟を抱きしめてやることすら出来なかった。
だって、弟たちからお母さんを奪ったのは俺だ。
罪を償う人生が始まり、俺の恋は終わった。