続きです!

 

※相櫻

※BL

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

 

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ネクタイで縛られた手首。

父の絶頂を迎える顔で催す吐き気をいつものように必死に堪える。

 

 

「ハァ…お前、その顔、母さんにそっくりだな…」

 

「……ッ…。」

 

「雅紀の寮費、確か納金は来週だったな。そんなんじゃ、金はやらねぇぞ?」

 

「ッ!…。」

 

 

喜ばせ方なんて分からないけど、とにかく動くしかなくて…。

父のモノを咥えながら死にたくなったのは今日で何度目かわからない。

 

 

雅紀…。

 

 

『翔ちゃんっ!』

 

 

脳に響く幼い雅紀の声。

 

雅紀が大好きな綺麗な瞳を真っ直ぐに俺に向けた満天の笑みを、最後に見せてくれたのはいつだっただろうか。

 

 

『お兄ちゃんっ!』

 

 

和が最後に思いっきり甘えてくれたのはいつだっただろうか。

 

 

幸せになる権利なんて俺にはない。

母を殺した罪は…、あの2人から母を奪った罪は一生背負うつもりなのに。

 

 

どうしても、こんな時に想像してしまう。

 

 

3人で思いっきり笑って、幸せに暮らして、

 

 

雅紀が、俺を

 

愛おしそうに抱きしめてくれるのを。

 

 

「ッツ…!」

 

「…珍しいな、お前がイクなんて。」

 

 

 

はぁ、最低だ。

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、おはよう。」

 

「おう、和。おはよ。あ、ネクタイ曲がってる。」

 

 

部屋を出てすぐ出会った和の曲がったネクタイを直してやってると昨日の自分は夢だったと思えた。

 

 

「ありがと、翔兄ちゃん。」

 

「フフ、どういたしまして。和、今日も学校頑張ろうな。」

 

「うん!」

 

 

いいお兄ちゃんでいられる。

和の前でなら嘘をつける。

 

 

こんな広い家で和を一人ぼっちにするわけにはいかない。

俺が守るんだ。

お兄ちゃんなんだから…

 

 

 

 

 

 

 

「しょおくん、最近クマひどいよ?」

 

「そ、そうかな…」

 

 

移動教室の途中で智くんに言われた。

 

 

「ねぇ、智くん。智くんはさ、なんで俺と仲良くしてくれんの?」

 

 

素朴な疑問だった。

智くんの家族はみんな有名な芸術家だから俺と友達でいるメリットなんてない。

 

 

「んー。逆にしょおくんはなんで俺と友達なの?」

 

「え?そ、それは智くん優しいし、一緒にいて楽だし…」

 

「クフッ、俺もそうだよ。しょおくんといると落ち着くし楽しい。それが理由じゃダメ?」

 

「…ダメじゃ、ない。」

 

 

俺が何者かとそんなの関係なしに友達でいてくれる智くんが眩しく見えてしまう。

 

 

智くんと2人の世界なら俺はきっとこんなに悩まなくて済むんだろうな…。

 

 

ただ一緒にいたいと思えるから。

それだけの理由で成り立つのだから楽に決まってる。

 

少しだけ弟たちのことを忘れたくなってしまった。

 

 

「翔くん!早くきて!和也くんが!」

 

 

そんな俺を戒めるように松潤が慌てた様子で俺を呼んだ。