続きです!

 

※相櫻

※BL

 

自己責任でお願いします🙇🏻‍♀️

 

 

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慌てて駆けつけた保健室では先生に傷の手当てをされている和の姿があった。

 

 

「和、どうしたんだよ

 

「お兄ちゃん。ちょっと階段から滑り落ちちゃって。へへっ」

 

 

おどけて笑う和の顔は不自然で、心配かけないようにわざとそう言ってることなんてお見通しだった。

 

 

「和、今日は家政婦さんに迎えにきてもらって、もう帰ろう。」

 

「いやだ。」

 

「和?だって、その怪我」

 

「嫌だ!家に一人でいたって寂しいだけだもん。俺はお兄ちゃんと一緒にいたいから、この学校受けたんだよ?」

 

「和

 

「どうしても帰れって言うんなら、まーくん呼ぶ。」

 

「無理に決まってるだろ?雅紀は寮だし、」

 

 

言いかけてる途中で和の泣きそうな顔に気づいた。

 

 

「和そんな顔するなよ。」

 

「俺がここに受かれば全部解決すると思ったのに。

まーくんも帰ってきて、お兄ちゃんも前みたいに

お母さんが死んじゃう前みたいに笑ってくれると思ったのに!!」

 

 

ガタッと座っていたイスを倒して立ち上がった和が目にたくさんの涙を溜めながら、俺を押しのけて走り去ってしまった。

 

呼び止める保健室の先生に、

「大丈夫です。俺が行きます。すみません」と言って

追う気もなく保健室を出た。

 

 

和は昔から頭が良くて、周りが見える子だった。

わがままも言わないし、怒られるようなこともしないから、

まったく手がかからなかった印象が強い。

 

察しが良くて、空気が読める和に俺はいつも甘えていたんだ。

 

俺はたった一人の弟をずっと苦しめていた。

 

それは紛れもない事実。

 

 

「俺だって、戻れるんなら戻りたいよ

 

 

俺が母を追い詰めてしまうよりずっと前から

狂っていた歯車を修復する術はどこにもなかった。