「最上さん。今月の・・その、・・24日って・・・・予定・・入って・・「敦賀さん!私」」

いつものように、ラブミー部で短い休憩をとられていた敦賀さんの珍しく口籠りながらの台詞にピン!ときた私は、失礼ながらワザとらしく、その台詞を遮ってみせた。

優しい敦賀さんが私に大して告げにくいであろう言葉「24日は予定が入ってるから、去年や一昨年のように25日の君の誕生日を祝う事はできない」なんてことを言わせないために。


ちゃんとわかってますヨ。あれが当たり前なことじゃないって事くらい。大丈夫です。


そんな気持ちを込めて、


「今年のクリスマスはとっても楽しみなことがあるんですぅ!」


と笑ってみせた。



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19歳の誕生日を前にして、相変わらず無防備なまま、馬の骨の量産を加速させるばかりの彼女。

この1年。さりげなくアピールしてきたつもりだが、最近の彼女は赤面すらしてくれなくなり、何を言ってもサラリとかわされる。

他の男には無防備な癖に、俺に大してだけはある意味鉄壁のディフェンス。

無自覚なんだろうが、少しでも甘くなった俺の態度や台詞への対応は歴戦の勇者レベル。

日々敗れ去るばかりの俺は、アピールすればするほど、男としての立場がなくなってきている気さえする。

こんなことでは、俺の目の前で・・他の男が彼女を攫ってしまうのでないか・・という不安ばかりが募る日々。

彼女限定の臆病者に成り下がった俺は、彼女の誕生日の前夜であるイブの予定を聞くのにも躊躇してしまい、結局口に出せたのはその5日前だった。

普通ならもう予定が入ってしまってるであろう直前とも言える日に、恐る恐る質問を繰り出したのだが。


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「蓮ぇ~ん!れんクン!おぉ~い、聞こえてるかぁ!」


短い空き時間にキョーコちゃんの誕生日イブの予定を押さえに行ったハズの俺の担当俳優は、真っ白な姿で帰ってきた。そして、そのまま一言も発さない。


「おい。キョーコちゃんとちゃんと約束してこれたのか?」


蓮のこの姿を見れば、駄目だったであろうことは明白だが、仕事のスケジュール的にはキョーコちゃんはオフのはずで、琴南さんやマリアちゃんには別の予定がある。

俺的には「約束できないほうが不思議」なのである。

「はぁ~~」このヘタレめ!と内心悪態をつきながらも、可愛い弟分が悄然とする姿に、ついついフォローを入れたくなる自分がいて。


「俺、ちょっと出てくるけど、あと10分で移動だからな。ちゃんと立て直しとけよ」


そう担当俳優に言い放って、事情聴取をすべく、蓮とは違って真っ白になってはいないであろうキョーコちゃんの下へと向かう。



続く。


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