いつから放置してるんだかもう記憶にない、ブログ開設3日目に仕掛けた罠への自爆ドボン作。読み直すだけでは書けない気がしてきたので、修正しながら1話から順にアップしていきます。
素敵な獲物さん作でなくて、ほんと申し訳ないです。(´・ω・`)
魔人の駄作なんて、興味ないし!という99パーの方はバックプリーズ。
暇つぶしのために読んでやるぜ!という勇者さんのみ読んでくださいね。(;´▽`A``
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逃げる彼女をつかまえろ!<1>
逃げる彼女をつかまえろ!第2話
最上キョーコが1ヶ月もの間、ため息を付き続けたワケ。それは1ヶ月と少し前に起こったある出来事が発端だった。
「京子ちゃん、お疲れ様。今日はもう終わりでしょ?こんな時間に女の子ひとりなんて心配だし、送っていってあげるよ」
キョーコが18歳になった頃から急激に増えだしたもの。それは、共演者などからの「送ってあげる」という申し出だった。しかし、キョーコの認識では、それは社交辞令のひとつであり、只御礼を言って辞退すればいいだけのものではあった。
勿論、社交辞令などではなく、本当に心配して声をかけてくれる者がいることも承知していた。
18歳になってからは、26時終わりなんていう仕事も普通にこなす様になってきていたから、そんな日に自転車で帰ろうとしているのがバレれば、親切なヒトは「夜中に女の子が一人で、しかも自転車で帰るなんてとんでもない!」と怒りもするし、車への同乗も勧めてくれる。
それらはとても嬉しいことではあったが、他人に迷惑をかけたくないのと、そんな申し出を受けてしまうと、必ずあの先輩からのお叱りを受けてしまうだろうとの確信により、そういう親切な人にも、お礼はいいつつ、「自転車はやめてタクシーで帰りますね」と行動を改めてみせたり、自転車の件がバレていないときには「事務所から迎えが来ますので」と遠慮させてもらっていた。
しかし、断りたくても、自称ペーペー女優である京子が、そうは出来ない大御所様もいる。
「ほら、京子、車に乗っていきなさい」
最初は70を過ぎた大御所俳優Tだった。
キョーコにはわからないだろうがその俳優には下心などなにもなく、ただ若手女優にしては礼儀正しく、よく気も付く京子が気に入っていたために、声をかけてくれたのだった。
その大御所俳優様からの申し出は、業界人にとっては、すべて「ハッハァ~~~!」とひれ伏しながら「有り難き幸せ!」と、受け取るべきもので、遠慮からといえど、申し出を断る発言などは決してしてはいけないことであった。
そして、そのことを知っていた京子もまた「ハッハァ~~~!」とひれ伏しながら、有り難く送っていただいたのだった。
次は大物女優N。同じLME所属で、ラブミー部への依頼ということだった。
「共演者が3人同時に降板しちゃって、芝居のお稽古が進まないのよ。京子さん、次の現場まで送ってあげるから移動中に台本の読み合わせに付き合ってちょうだい。貴女なら3役ぐらいできるでしょ?」
ラブミー部への依頼は、キョーコにとっては仕事の一部であり、断るという選択肢はなかった。
その次は、他事務所の売れっ子俳優K。普通に考えれば断るべき相手だが、そうも行かない事情があった。
共演しているドラマの現場で、翌日に収録予定の台詞部分が大幅に変更され、おまけにアドリブシーンまで増えた台本を渡されてしまったのだ。
結果、キョーコには自覚がなくとも、売れっ子同士である俳優Kと京子は、お互い唯一時間が取れる移動中に「打ち合わせとアドリブシーンの稽古」をせざるを得なくなってしまった。
このときは、ドラマの脚本家も同乗してくれていたこともあり、動いてはいたが、キョーコの中では会議室での打ち合わせと同じ位置づけだった。
そして遅筆だが凝り性で知られる脚本家の性質もあり、その後も2回程、同様の状況に陥った際に取られた処置でもあった。
ここまでは、若手女優京子としては、車に同乗せざるを得ない相手と状況であり、危険もなく、誰かに責められたりする理由もなかった。
「京子はマネージャーがいないしさ、帰りが狙い目だと思うんだよ。いつも断られちゃうけどさ、大御所の申し出や、仕事絡みだと断れないみたいなんだよね。俺らでも、仕事絡みにしてさ?マネージャーだけじゃ無理みたいだから、あともう1人、2人、共演者とかスタッフ巻き込んで飯食いながら打ち合わせっぽいことして……帰りの足がない店を選んでおいたら、100パー送れるよな?」
などと悪知恵を働かせる者が出だすまでは。
「女としての危機管理能力はゼロ」でも、そんなことばかりに闘志を燃やしている馬鹿男のはみ出まくりな「悪巧み」オーラには敏感なキョーコが、そういった誘い乗ることは決してなかったが、弊害はあった。
共演者達からの誘いが益々増えるようになってきたため、自転車通勤は諦め嫌々ながらタクシーに乗るようになった。
それだけなら事務所や周囲の人間は歓迎したであろう。
だがそれも安全な方法ではなくなってきていた。あまりにしつこい誘いが多くなってきたため、人目のあるところではタクシーに乗りづらくなってしまったのだ。
徐々にキョーコは局から少し離れたところでタクシーを捕まえるようになっていった。
そんな、ある日。
その日も同乗の誘いから逃げるようにして、局から少し離れたところのタクシーを捕まえたところ、その運転手は自分の熱心なファンで……。
「京子さんですよね。俺ファンなんです!いつも観てます!」(〃∇〃)
ここまではよくあること。いつものように女優京子として、営業スマイルででお礼を言えばいいだけ。
「そうなんですか?ありがとうございます。嬉しいです」
「可愛いなぁ~。今から俺んちに連れて帰っちゃいたいなぁ」(///∇//)
まあ、これも、冗談として言われなれているので更に輝きを増した営業スマイルで流すだけ。
ちょっとしつこい相手のときには、某先輩を見習い、キュラキュラと笑顔の似非度を上げていくという技を駆使すれば、大抵の相手は口を閉じる。
が。残念ながらこのときの運転手はそんな対処でどうにかなる相手ではなかった。
「行き先はご自宅で?一人暮らしですよね?どんな部屋でしょうね。楽しみだなー」(///∇//)
「嬉しいなぁ、今から俺、京子さんの自宅に行けるんですよね!場所はもう絶対に忘れないですからね!そうだ!京子さん、今日の記念に部屋で写真撮りましょうよ!」(///∇//)
この発言あたりで、このヒトは「常識をもったファン」ではないかもしれない、と、流石のキョーコも少し怖くなりだした。
「俺、今日から通っちゃおうかな~!」(〃∇〃)
「今日はこれで終わりですか?明日は何時から?明日から毎日俺が送り迎えしてあげちゃおっかなーー!京子さんのことは24時間俺に任せろ!的な感じで!!あ、もう、会社辞めちゃいましょうか!公私共に専任なら会社なんていらないですよね!」
そして、ここで完全にアウト!
女性としての危機管理能力がゼロでも、あまりに不気味な申し出の数々に、流石のキョーコも「この男は私でも危険!」という判断を下した。
しかし、タクシーはすでにゆっくりと走り出していたし、今となっては動く監獄としか思えないその車のドアキーはロックされていた。
勿論、この危険な男に自宅の住所など告げるわけにはいかない。
取るべき道はひとつしかなかった。
「いえ。まだLMEのビルで仕事があるんです。それも、実は遅刻しそうなんです・・・あと10分しかないんですけど・・・運転手さん、なんとか間に合うようにつけていただけませんか?」
と、内心だいぶ怯えながらも、女優魂で困ったような微笑みを浮かべながら、こっそり変更した行き先を告げたのだった。
実力派女優の本気の芝居に、コロッと騙された運転手は、頼られた嬉しさからか、運転に集中し、キッチリ10分でLMEのビルに到着させた。到着後、キョーコは急いでいる風を装いながらも、芸能人らしくキッチリ領収書をもらい、間に合ったことに御礼をいって運転手を喜ばせた上で、ビル内に駆け込んだのだった。
緊急避難的になんとか会社へとたどり着いたキョーコは、そのまま自力で帰ることだけでなく、自宅へ帰ることすら怖くなっていた。
しかし、翌日も早朝から仕事があり、なんの準備もなく会社に寝泊りするのには支障がある。
仕方なく、帰りの足の手配を頼もうとタレント部主任の椹のところに向かう事にしたのだが・・・
<3>に続く
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最上キョーコが1ヶ月もの間、ため息を付き続けたワケ。それは1ヶ月と少し前に起こったある出来事が発端だった。
「京子ちゃん、お疲れ様。今日はもう終わりでしょ?こんな時間に女の子ひとりなんて心配だし、送っていってあげるよ」
キョーコが18歳になった頃から急激に増えだしたもの。それは、共演者などからの「送ってあげる」という申し出だった。しかし、キョーコの認識では、それは社交辞令のひとつであり、只御礼を言って辞退すればいいだけのものではあった。
勿論、社交辞令などではなく、本当に心配して声をかけてくれる者がいることも承知していた。
18歳になってからは、26時終わりなんていう仕事も普通にこなす様になってきていたから、そんな日に自転車で帰ろうとしているのがバレれば、親切なヒトは「夜中に女の子が一人で、しかも自転車で帰るなんてとんでもない!」と怒りもするし、車への同乗も勧めてくれる。
それらはとても嬉しいことではあったが、他人に迷惑をかけたくないのと、そんな申し出を受けてしまうと、必ずあの先輩からのお叱りを受けてしまうだろうとの確信により、そういう親切な人にも、お礼はいいつつ、「自転車はやめてタクシーで帰りますね」と行動を改めてみせたり、自転車の件がバレていないときには「事務所から迎えが来ますので」と遠慮させてもらっていた。
しかし、断りたくても、自称ペーペー女優である京子が、そうは出来ない大御所様もいる。
「ほら、京子、車に乗っていきなさい」
最初は70を過ぎた大御所俳優Tだった。
キョーコにはわからないだろうがその俳優には下心などなにもなく、ただ若手女優にしては礼儀正しく、よく気も付く京子が気に入っていたために、声をかけてくれたのだった。
その大御所俳優様からの申し出は、業界人にとっては、すべて「ハッハァ~~~!」とひれ伏しながら「有り難き幸せ!」と、受け取るべきもので、遠慮からといえど、申し出を断る発言などは決してしてはいけないことであった。
そして、そのことを知っていた京子もまた「ハッハァ~~~!」とひれ伏しながら、有り難く送っていただいたのだった。
次は大物女優N。同じLME所属で、ラブミー部への依頼ということだった。
「共演者が3人同時に降板しちゃって、芝居のお稽古が進まないのよ。京子さん、次の現場まで送ってあげるから移動中に台本の読み合わせに付き合ってちょうだい。貴女なら3役ぐらいできるでしょ?」
ラブミー部への依頼は、キョーコにとっては仕事の一部であり、断るという選択肢はなかった。
その次は、他事務所の売れっ子俳優K。普通に考えれば断るべき相手だが、そうも行かない事情があった。
共演しているドラマの現場で、翌日に収録予定の台詞部分が大幅に変更され、おまけにアドリブシーンまで増えた台本を渡されてしまったのだ。
結果、キョーコには自覚がなくとも、売れっ子同士である俳優Kと京子は、お互い唯一時間が取れる移動中に「打ち合わせとアドリブシーンの稽古」をせざるを得なくなってしまった。
このときは、ドラマの脚本家も同乗してくれていたこともあり、動いてはいたが、キョーコの中では会議室での打ち合わせと同じ位置づけだった。
そして遅筆だが凝り性で知られる脚本家の性質もあり、その後も2回程、同様の状況に陥った際に取られた処置でもあった。
ここまでは、若手女優京子としては、車に同乗せざるを得ない相手と状況であり、危険もなく、誰かに責められたりする理由もなかった。
「京子はマネージャーがいないしさ、帰りが狙い目だと思うんだよ。いつも断られちゃうけどさ、大御所の申し出や、仕事絡みだと断れないみたいなんだよね。俺らでも、仕事絡みにしてさ?マネージャーだけじゃ無理みたいだから、あともう1人、2人、共演者とかスタッフ巻き込んで飯食いながら打ち合わせっぽいことして……帰りの足がない店を選んでおいたら、100パー送れるよな?」
などと悪知恵を働かせる者が出だすまでは。
「女としての危機管理能力はゼロ」でも、そんなことばかりに闘志を燃やしている馬鹿男のはみ出まくりな「悪巧み」オーラには敏感なキョーコが、そういった誘い乗ることは決してなかったが、弊害はあった。
共演者達からの誘いが益々増えるようになってきたため、自転車通勤は諦め嫌々ながらタクシーに乗るようになった。
それだけなら事務所や周囲の人間は歓迎したであろう。
だがそれも安全な方法ではなくなってきていた。あまりにしつこい誘いが多くなってきたため、人目のあるところではタクシーに乗りづらくなってしまったのだ。
徐々にキョーコは局から少し離れたところでタクシーを捕まえるようになっていった。
そんな、ある日。
その日も同乗の誘いから逃げるようにして、局から少し離れたところのタクシーを捕まえたところ、その運転手は自分の熱心なファンで……。
「京子さんですよね。俺ファンなんです!いつも観てます!」(〃∇〃)
ここまではよくあること。いつものように女優京子として、営業スマイルででお礼を言えばいいだけ。
「そうなんですか?ありがとうございます。嬉しいです」
「可愛いなぁ~。今から俺んちに連れて帰っちゃいたいなぁ」(///∇//)
まあ、これも、冗談として言われなれているので更に輝きを増した営業スマイルで流すだけ。
ちょっとしつこい相手のときには、某先輩を見習い、キュラキュラと笑顔の似非度を上げていくという技を駆使すれば、大抵の相手は口を閉じる。
が。残念ながらこのときの運転手はそんな対処でどうにかなる相手ではなかった。
「行き先はご自宅で?一人暮らしですよね?どんな部屋でしょうね。楽しみだなー」(///∇//)
「嬉しいなぁ、今から俺、京子さんの自宅に行けるんですよね!場所はもう絶対に忘れないですからね!そうだ!京子さん、今日の記念に部屋で写真撮りましょうよ!」(///∇//)
この発言あたりで、このヒトは「常識をもったファン」ではないかもしれない、と、流石のキョーコも少し怖くなりだした。
「俺、今日から通っちゃおうかな~!」(〃∇〃)
「今日はこれで終わりですか?明日は何時から?明日から毎日俺が送り迎えしてあげちゃおっかなーー!京子さんのことは24時間俺に任せろ!的な感じで!!あ、もう、会社辞めちゃいましょうか!公私共に専任なら会社なんていらないですよね!」
そして、ここで完全にアウト!
女性としての危機管理能力がゼロでも、あまりに不気味な申し出の数々に、流石のキョーコも「この男は私でも危険!」という判断を下した。
しかし、タクシーはすでにゆっくりと走り出していたし、今となっては動く監獄としか思えないその車のドアキーはロックされていた。
勿論、この危険な男に自宅の住所など告げるわけにはいかない。
取るべき道はひとつしかなかった。
「いえ。まだLMEのビルで仕事があるんです。それも、実は遅刻しそうなんです・・・あと10分しかないんですけど・・・運転手さん、なんとか間に合うようにつけていただけませんか?」
と、内心だいぶ怯えながらも、女優魂で困ったような微笑みを浮かべながら、こっそり変更した行き先を告げたのだった。
実力派女優の本気の芝居に、コロッと騙された運転手は、頼られた嬉しさからか、運転に集中し、キッチリ10分でLMEのビルに到着させた。到着後、キョーコは急いでいる風を装いながらも、芸能人らしくキッチリ領収書をもらい、間に合ったことに御礼をいって運転手を喜ばせた上で、ビル内に駆け込んだのだった。
緊急避難的になんとか会社へとたどり着いたキョーコは、そのまま自力で帰ることだけでなく、自宅へ帰ることすら怖くなっていた。
しかし、翌日も早朝から仕事があり、なんの準備もなく会社に寝泊りするのには支障がある。
仕方なく、帰りの足の手配を頼もうとタレント部主任の椹のところに向かう事にしたのだが・・・
<3>に続く
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