「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌10ー」


「社さん、今日の7クエストにキョーコが出るみたいなんです!これ、生ですよね?この局なら割と近いし少しだけ会いに行っちゃ駄目ですか?」


ラブミー部の作戦通り、キョーコちゃんのスケジュールを蓮に漏らすものが誰もいなくなってしまった為、孤立無援の蓮は毎日テレビ欄のチェックをしては、キョーコちゃんに会うチャンスを窺っていた。


「今は無理だ、諦めろ。次の現場は遠いし、道も混んでそうだから、この現場もなるべく早く出たい位なんだよ」
「・・・・・・そうですか」


シュンと肩を落とす大男が情けなさすぎて、つい情け心を出してしまいそうになるが、無理なもんは無理だ。それに、今甘やかすのはマズイ。しかし。


「昼飯を食う間に番組を観れるよう、テレビの置いてある楽屋に替えてもらってやるよ」
「ありがとうございます!」


俺も甘いなと思いつつ、凹み過ぎた男のうっとおしさに負けてちょっとしたサービスを提案してしまった。後で死ぬ程後悔することも知らず。ついつい。


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「録画の古い映像じゃなくて、今現在のキョーコを見るのは久し振りな気がしますけど・・・・・・・・やっぱり可愛いですね!」

久し振りに観た新鮮なキョーコちゃん映像に興奮気味の蓮。だんだんお手軽になってきてないか?この男の幸福レベル。最近はキョーコちゃんにセクハラ紛いなことをしでかすまで満足しなくなってきてたのに。


「ねぇ、社さん。好きな人がいるというかいないというか、微妙ですってどういう意味でしょう?」
「さ、さぁ?」


「社さん、人間的に尊敬って、キョーコが俺に昔よく言ってた、尊敬してます、崇拝してます!で、いいんですよね?モデルってのも、俺のことですよね!」
「そ、そうだな」


「京子が苦手なのは、子供っぽい、俺様タイプ?これは不破のことですね!」
「た、多分な」


7クエストのキョーコちゃんへの質問にいちいち反応する蓮。
どーでもいいけど、段々雲行きが怪しくなってきてないか?



「京子が嫌いなタイプ?・・・・・・・・・・・・嫌いになっちゃう?

「最近あった嫌なこと・・・・・・・・・仕事内容を否定・・・・・・・・・許せない?


蓮がなにかブツブツ言い出したぞ!蓮の上がりかけていたテンションが下降に転じだしたとき、キョーコちゃんに6つ目の質問がなされた。



司会者「京子さんにとって今一番大事な人は?」

京子 「勿論親友です!もう大好きなんです!」


京子「2人とも私の自慢の友人で、一番大事な人です!


そう言い切って、目をキラキラとさせながら可愛らしい笑顔で、親友2人のことを語りまくるキョーコちゃん。・・・・・・・・・・・・蓮の名前はまったく出てこなかったな。


お兄ちゃんとしては、最近嬉しかったことの内容も気になるんだけど・・・・・・・・あの二人の提案ってのが嫌な予感がしないこともないというか。




ああ、それより。


今はコイツが問題だな。まだ今日の仕事は半分も終わってないのに。



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それからも度々観る機会があった画面の中の京子ちゃんは、いつもとびきりの笑顔で、凄く幸せそうで。


「キョーコは俺と会えなくても寂しくないんですかね?」


「キョーコは俺と一緒じゃなくても幸せそうですね?」



暴走行為を繰り返したあげく、自分の幸せに逃げられてしまった蓮。でも、今、こいつを甘やかすことだけはできない。こいつが自分で変わらない限り、現状を変える方法などないのだから。蓮の為に、キョーコちゃんの為にも、成長してほしいと思った。


続く



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