「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌13ー」
ほんの数日前までこの世の終わりを迎えたかのように絶賛大凹み中だった俺の担当俳優敦賀蓮は、キョーコちゃんからの写メールと差し入れにより、実にあっさり、簡単にその気分を浮上させ、たった今までその浮上した気分というか、ご機嫌を継続させてくれていた。
そう。5分前までの蓮くんは確かにご機嫌だった。
ご機嫌で、テレビ画面に食いついていた。正確には、チャリティ番組に出演しているキョーコちゃんに、だが。
そして、5分後の今。蓮は相変わらず画面に食いついてはいたが、先ほどとは違いその表情はかなり陰っていた。
その蓮が見つめる画面に映っていたもの。それは、番組で行うチャリティーオークションに出品されるというキョーコちゃんの私物であり。これまた正確にいえば、蓮がキョーコちゃんに贈ったプレゼントであり。もっと正確に言えば、蓮の家からキョーコちゃんが持ち出してくれたんだろうと喜んでいた、蓮からのプレゼントであった。
「俺はやっぱり、いらないんでしょうか・・・・・・・・・・・・」
不安げな瞳で俺を見つめる蓮。うーん。こんな時にも無駄なフェロモンが出ちゃうんだな、お前。良かった、ココが楽屋で。良かった、誰にもみられなくて。
「そ、そんなことは・・・・・ないと思うぞ?本当にいらないなら、もっといろいろ出すだろ?お前の家にはもっと凄いものがイッパイ残ってたじゃないか!」
「!!そうですよね。・・・・・・・・・・・・よく見たら、今紹介されたものは、随分前にプレゼントしたものばかりなような気がします。最近は使ってない・・・・・・・・・・・・ような?」
「それなら気にすることないじゃないか。キョーコちゃんだって芸能人としてはそれなりのものを出さないと恥ずかしいだろうし、お前からのプレゼントなら物は確かだしな。ま、家にあった他のものは大事においてくれてるってことだろ」
俺が自信ありげにそう告げると、蓮の陰りはササッと晴れた。
本当に簡単になってきたな、この男。ずっとこうなら楽なんだけど。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
それから後、数週間は蓮にとって、山あり谷ありな試練の時となった。
「社さん、このキョーコが出てる缶珈琲のCM新しいやつですよね!この服、キョーコに凄く似合ってますよね!どこの物でしょうか!?」
「社さん、今日の写メールのキョーコを見てください!可愛いですよね、こんな頬っぺた膨らまして。////メッセージは3食ちゃんと食べないと許しませんよ、です////」
と、ご機嫌なこともあれば。
「社さん、これ、こないだの缶珈琲のCMのロングバージョンみたいですよ!キョーコが長く観れて・・・・・・・・・・・何故、男の膝に乗る必要が?」
暗雲を漂わせ始めちゃうこともあり。
が、しかし。
「社さん、このルージュのCM。俺が潰した筈の台本になってます・・・・・・・・・・・どうして?男とキスしなくても、ルージュの宣伝はできるだろ!」
「社さん、このドラマ。俺が出るのを反対してたやつです。やたら水着のシーンが多いし、村雨が相手役なんです!断らせた筈なのに、どうして?」
「社さん、このエステのCM。露出が激しすぎるから、演出を変更してもらった筈なのに、どうして、キョーコはこんなに背中をさらしてるんですか?足もほとんど全部でてるし・・・・・・・・・・・ああ、どうして、お腹まで!!」
次第にその機嫌は大魔王オンリーとなって行き。
「社さん、このドラマのオファーは俺が握りつぶした筈なんです!なのに、どうしてキョーコは貴島と抱き合って・・・・・・・・・・こんな深いキスをしてるんですか!?ああ、貴島の手がキョーコの足を触ってる!!くそ!!どうしてなんだ、キョーコ!」
テレビ画面に映る相手役の男を睨み殺さんばかりの視線を大連発するようになり。
キョーコちゃんを見つめる目は怒りを孕ませながらも、餓えた獣のようなギラギラとしたものに変わっていった。
只、毎日一方的にキョーコちゃんに送りつけているメールはそんな気配を微塵も感じさせないものばかりだったようで。
暴走間近な気配を漂わせつつある蓮も、ここでキョーコちゃんに対してキレたら、どーなるかは理解していた様子だった。
この頃には、「元ラブミー部による愛のムチ作戦」の最終段階実行部隊に加えられた俺にも多少の情報が入ってくるようになってきていた。
彼女たちから蓮に与えられている愛のムチ。
作戦上は「愛のムチ」と呼ばれていても、怒り心頭の彼女たちからすれば、復讐であり、それに懲りて更生しなければ、たとえキョーコちゃん自身が蓮を許そうとしても、それは確実に阻止されるであろうことを・・・・・・・・・俺は理解してしまっていた。
蓮。早く真っ当な思考回路を取り戻してくれよ?
でないと、お前。
大事なもんを失くすぞ?
続く
ほんの数日前までこの世の終わりを迎えたかのように絶賛大凹み中だった俺の担当俳優敦賀蓮は、キョーコちゃんからの写メールと差し入れにより、実にあっさり、簡単にその気分を浮上させ、たった今までその浮上した気分というか、ご機嫌を継続させてくれていた。
そう。5分前までの蓮くんは確かにご機嫌だった。
ご機嫌で、テレビ画面に食いついていた。正確には、チャリティ番組に出演しているキョーコちゃんに、だが。
そして、5分後の今。蓮は相変わらず画面に食いついてはいたが、先ほどとは違いその表情はかなり陰っていた。
その蓮が見つめる画面に映っていたもの。それは、番組で行うチャリティーオークションに出品されるというキョーコちゃんの私物であり。これまた正確にいえば、蓮がキョーコちゃんに贈ったプレゼントであり。もっと正確に言えば、蓮の家からキョーコちゃんが持ち出してくれたんだろうと喜んでいた、蓮からのプレゼントであった。
「俺はやっぱり、いらないんでしょうか・・・・・・・・・・・・」
不安げな瞳で俺を見つめる蓮。うーん。こんな時にも無駄なフェロモンが出ちゃうんだな、お前。良かった、ココが楽屋で。良かった、誰にもみられなくて。
「そ、そんなことは・・・・・ないと思うぞ?本当にいらないなら、もっといろいろ出すだろ?お前の家にはもっと凄いものがイッパイ残ってたじゃないか!」
「!!そうですよね。・・・・・・・・・・・・よく見たら、今紹介されたものは、随分前にプレゼントしたものばかりなような気がします。最近は使ってない・・・・・・・・・・・・ような?」
「それなら気にすることないじゃないか。キョーコちゃんだって芸能人としてはそれなりのものを出さないと恥ずかしいだろうし、お前からのプレゼントなら物は確かだしな。ま、家にあった他のものは大事においてくれてるってことだろ」
俺が自信ありげにそう告げると、蓮の陰りはササッと晴れた。
本当に簡単になってきたな、この男。ずっとこうなら楽なんだけど。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
それから後、数週間は蓮にとって、山あり谷ありな試練の時となった。
「社さん、このキョーコが出てる缶珈琲のCM新しいやつですよね!この服、キョーコに凄く似合ってますよね!どこの物でしょうか!?」
「社さん、今日の写メールのキョーコを見てください!可愛いですよね、こんな頬っぺた膨らまして。////メッセージは3食ちゃんと食べないと許しませんよ、です////」
と、ご機嫌なこともあれば。
「社さん、これ、こないだの缶珈琲のCMのロングバージョンみたいですよ!キョーコが長く観れて・・・・・・・・・・・何故、男の膝に乗る必要が?」
暗雲を漂わせ始めちゃうこともあり。
が、しかし。
「社さん、このルージュのCM。俺が潰した筈の台本になってます・・・・・・・・・・・どうして?男とキスしなくても、ルージュの宣伝はできるだろ!」
「社さん、このドラマ。俺が出るのを反対してたやつです。やたら水着のシーンが多いし、村雨が相手役なんです!断らせた筈なのに、どうして?」
「社さん、このエステのCM。露出が激しすぎるから、演出を変更してもらった筈なのに、どうして、キョーコはこんなに背中をさらしてるんですか?足もほとんど全部でてるし・・・・・・・・・・・ああ、どうして、お腹まで!!」
次第にその機嫌は大魔王オンリーとなって行き。
「社さん、このドラマのオファーは俺が握りつぶした筈なんです!なのに、どうしてキョーコは貴島と抱き合って・・・・・・・・・・こんな深いキスをしてるんですか!?ああ、貴島の手がキョーコの足を触ってる!!くそ!!どうしてなんだ、キョーコ!」
テレビ画面に映る相手役の男を睨み殺さんばかりの視線を大連発するようになり。
キョーコちゃんを見つめる目は怒りを孕ませながらも、餓えた獣のようなギラギラとしたものに変わっていった。
只、毎日一方的にキョーコちゃんに送りつけているメールはそんな気配を微塵も感じさせないものばかりだったようで。
暴走間近な気配を漂わせつつある蓮も、ここでキョーコちゃんに対してキレたら、どーなるかは理解していた様子だった。
この頃には、「元ラブミー部による愛のムチ作戦」の最終段階実行部隊に加えられた俺にも多少の情報が入ってくるようになってきていた。
彼女たちから蓮に与えられている愛のムチ。
作戦上は「愛のムチ」と呼ばれていても、怒り心頭の彼女たちからすれば、復讐であり、それに懲りて更生しなければ、たとえキョーコちゃん自身が蓮を許そうとしても、それは確実に阻止されるであろうことを・・・・・・・・・俺は理解してしまっていた。
蓮。早く真っ当な思考回路を取り戻してくれよ?
でないと、お前。
大事なもんを失くすぞ?
続く