「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌15ー」
「キョーコ!!行かないで!」
俺の目の前には半年振りの生のキョーコが、触れることのできるキョーコが、今日を逃せばいつ会えるのかわからない愛しい彼女がいた。
キョーコと離れて暮らしていた2ヶ月強の期間。限界を迎えつつあった俺に新たなる試練が与えられた。役者としては嬉しいことだが、個人的な事情で喜べなかった、4ヶ月もの海外映画ロケの仕事が。
キョーコに会えないまま、そんなに長い間海外に行くなんて考えられなかった俺だが、断れば今後キョーコとの交際は許可しないという社長からの脅しと、キョーコがくれた久々の電話での一言で泣く泣く仕事を引き受けることとなった。
「私の為に仕事を断るような人とはもうおつきあいできません。仕事受けられますよね?映画楽しみにしてますからね?」
なんて言われては断れる訳がない。そして、トータル半年のキョーコ断ちに追い込まれた俺。エネルギー不足で死にそうだった。
だから、帰国後初仕事である今回のドラマでキョーコと・・・・・・共演者として会えることを楽しみにしていた。残念ながら、京子の登場はこの1回きり。主人公の回想シーンのみの出演だった。
今日を逃せばいつ会えるかわからない。このチャンスを逃すまいと、早めにスタジオ入りし待ち構えていたというのに、何処の現場にも早めに到着している真面目なキョーコとは思えない程ギリギリのスタジオ入りをされたため、ゆっくり話す時間がなかった。
結局キョーコに会えたのは、撮影が始まってから。カメラの前でだった。そのせいで、撮影中に何度抱きしめてキスしてしまいそうになったか。
半年振りに感じることができた生身の彼女の気配に、その匂いに、俺の理性は崩壊寸前だった。行為に及ばずに撮影を終えることができたのは俺的には奇跡としかいいようがなかった。
そんな我慢ができたのも、撮影が終われば、彼女を捕まえることができると思っていたからだ。
まぁ、役に集中できなかった俺は、撮影続行中だけども。でも、強引に捥ぎ取った10分の休憩がある。
だから、積もり積もった俺の思いを伝え、彼女に触れようとした。
なのに、何故俺から逃げるんだ?
どうして、俺の前でドアを閉めるんだ?
「キョーコ!!会いたかった!!このドアを開けて!」
「敦賀さん、お久し振りです」
ドアの中からしかしてもらえない応えに苛立ちが募る。
「そんな他人行儀な呼び方をしないくれ!この半年、君に会いたくてたまらなかった!どうして、出て行っちゃったの?こんなに愛してるのに」
「・・・・・・どうしてかわからないんですか?」
俺の欲している答えをくれない彼女に、俺の気持ちを伝えるべく、ドアの向こうにむかって叫ぶ。
「早くこのドアを開けて!君を抱きしめさせて!さっきの撮影中我慢するのが大変だったんだよ?あの場で君を抱きしめて、キスして・・・・・・君の身体を他の奴に見せるわけにはいかないから、我慢してたけど、あの場で君を愛したくて堪らなかったんだよ?」
そう・・・・・・俺の愛を、俺の気持ちを伝えた瞬間。ドアが開いた。
「キョーコ!!」
彼女が出てきてくれた!!
姿をあらわしてくれたのが嬉しくて、抱きしめようと伸ばした腕は信じられないことに、彼女の手により叩き落とされた。
「え?キョーコ?」
俺の目の前には見た事がない位、冷たい顔をしたキョーコがいた。
「最低・・・・・」
「え?」
「貴方は、私なんて認めてくれてないんですね」
「何をいって・・・・・・」
「カメラの前で抱きしめる?行為に及びたかった?」
「うん、当たり前じゃないか!キョーコが俺の目の前にいるんだから」
当たり前のことを聞くキョーコの気持ちがわからなかった。
「カメラの前にはキョーコなんて人はいませんでした」
「え?」
「・・・・・・ふぅ」
俺を冷たい目で見つめて、ため息をつくキョーコ。
「来週・・・・・・私の新しい映画の試写会があります。まだまだ役者としては未熟な私ですが、全力で取り組ませていただきました」
「う、うん」
「これが・・・・・・チケットです・・・・・・」
そう言って、チケットを俺に渡すと、キョーコは去っていってしまった。
振り返ることもせずに。
予想外の事態に、俺は只、立ち尽くすだけだった。
キョーコを連れ戻すことも忘れ。
続く。
「キョーコ!!行かないで!」
俺の目の前には半年振りの生のキョーコが、触れることのできるキョーコが、今日を逃せばいつ会えるのかわからない愛しい彼女がいた。
キョーコと離れて暮らしていた2ヶ月強の期間。限界を迎えつつあった俺に新たなる試練が与えられた。役者としては嬉しいことだが、個人的な事情で喜べなかった、4ヶ月もの海外映画ロケの仕事が。
キョーコに会えないまま、そんなに長い間海外に行くなんて考えられなかった俺だが、断れば今後キョーコとの交際は許可しないという社長からの脅しと、キョーコがくれた久々の電話での一言で泣く泣く仕事を引き受けることとなった。
「私の為に仕事を断るような人とはもうおつきあいできません。仕事受けられますよね?映画楽しみにしてますからね?」
なんて言われては断れる訳がない。そして、トータル半年のキョーコ断ちに追い込まれた俺。エネルギー不足で死にそうだった。
だから、帰国後初仕事である今回のドラマでキョーコと・・・・・・共演者として会えることを楽しみにしていた。残念ながら、京子の登場はこの1回きり。主人公の回想シーンのみの出演だった。
今日を逃せばいつ会えるかわからない。このチャンスを逃すまいと、早めにスタジオ入りし待ち構えていたというのに、何処の現場にも早めに到着している真面目なキョーコとは思えない程ギリギリのスタジオ入りをされたため、ゆっくり話す時間がなかった。
結局キョーコに会えたのは、撮影が始まってから。カメラの前でだった。そのせいで、撮影中に何度抱きしめてキスしてしまいそうになったか。
半年振りに感じることができた生身の彼女の気配に、その匂いに、俺の理性は崩壊寸前だった。行為に及ばずに撮影を終えることができたのは俺的には奇跡としかいいようがなかった。
そんな我慢ができたのも、撮影が終われば、彼女を捕まえることができると思っていたからだ。
まぁ、役に集中できなかった俺は、撮影続行中だけども。でも、強引に捥ぎ取った10分の休憩がある。
だから、積もり積もった俺の思いを伝え、彼女に触れようとした。
なのに、何故俺から逃げるんだ?
どうして、俺の前でドアを閉めるんだ?
「キョーコ!!会いたかった!!このドアを開けて!」
「敦賀さん、お久し振りです」
ドアの中からしかしてもらえない応えに苛立ちが募る。
「そんな他人行儀な呼び方をしないくれ!この半年、君に会いたくてたまらなかった!どうして、出て行っちゃったの?こんなに愛してるのに」
「・・・・・・どうしてかわからないんですか?」
俺の欲している答えをくれない彼女に、俺の気持ちを伝えるべく、ドアの向こうにむかって叫ぶ。
「早くこのドアを開けて!君を抱きしめさせて!さっきの撮影中我慢するのが大変だったんだよ?あの場で君を抱きしめて、キスして・・・・・・君の身体を他の奴に見せるわけにはいかないから、我慢してたけど、あの場で君を愛したくて堪らなかったんだよ?」
そう・・・・・・俺の愛を、俺の気持ちを伝えた瞬間。ドアが開いた。
「キョーコ!!」
彼女が出てきてくれた!!
姿をあらわしてくれたのが嬉しくて、抱きしめようと伸ばした腕は信じられないことに、彼女の手により叩き落とされた。
「え?キョーコ?」
俺の目の前には見た事がない位、冷たい顔をしたキョーコがいた。
「最低・・・・・」
「え?」
「貴方は、私なんて認めてくれてないんですね」
「何をいって・・・・・・」
「カメラの前で抱きしめる?行為に及びたかった?」
「うん、当たり前じゃないか!キョーコが俺の目の前にいるんだから」
当たり前のことを聞くキョーコの気持ちがわからなかった。
「カメラの前にはキョーコなんて人はいませんでした」
「え?」
「・・・・・・ふぅ」
俺を冷たい目で見つめて、ため息をつくキョーコ。
「来週・・・・・・私の新しい映画の試写会があります。まだまだ役者としては未熟な私ですが、全力で取り組ませていただきました」
「う、うん」
「これが・・・・・・チケットです・・・・・・」
そう言って、チケットを俺に渡すと、キョーコは去っていってしまった。
振り返ることもせずに。
予想外の事態に、俺は只、立ち尽くすだけだった。
キョーコを連れ戻すことも忘れ。
続く。