「魔人逆リク祭り」でpiko5さんに捧げさせていただいた「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌ー」。

その全18話を読みきってくださった我慢強い方々に、感謝をこめて。

おまけ編を捧げます。(長~いおまけ)
ダウン




「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌 おまけー」


「蓮さん!!私のスカート捨てましたね?むかっ

「ああ。だってアレは短かすぎるから」

「そんなことありません!それに、あれは共演中のカールさんが紹介してくださったお店で買ったものなんですよ?今度着ていく約束をしてたのに!」


だから気にくわないんだよ!どうして他の男オススメのお店で服を買うんだ?それを身につけようとするんだ?

「スカートがほしいのなら俺が買ってあげるよ」

「そんなこと言ってるんじゃありません!あれが必要なんです!気に入ってたんです!新品なのにどうして捨てたんですか!勿体ないじゃないですか!」


俺の気持ちをちっとも理解してくれないキョーコに不満をぶつける。


「他の男が選んだものなんて必要ないし、勿体なくもないよ!」


「他の男って・・・・・・・・・・・カールさんはご結婚されてるし、もう還暦を迎えてらっしゃいますよ?それに、娘さんのお友達のお店で、私が自分で選んで買ったんですよ?」


「男は男だろ!俺は絶対許さない!」


俺を睨みつけるキョーコの瞳が揺れた。よし!もう一押し!
今回のこれは禁止事項に接触しない筈なんだ。
だから、今度こそ俺の言い分を通させてもらう!


キョーコを取り戻してから3ヶ月。例の誓約書に縛られまくっている俺は、かなりストレスが堪っていた。

あれから俺がキョーコを愛する心のままに行動しようとする度に、巻物状に加工されたあの誓約書が俺の前に現れるようになった。


こう、顔の前で、ハラリと巻物が開き、あの憎らしい内容の禁止事項が俺の視界を覆うあの悔しさ!


あの30個もの禁止事項を考えだしたキョーコとその仲間達は、俺の気持ちなんてちっとも理解してくれていない!仕事絡みのものが半分以上だったけど・・・・・・・・・・・女優としてのキョーコを尊重するにしたって、あんなに!!!

憎らしい禁止事項を思い出したら気分が悪くなった。
キョーコが悪いんだから、責任を取ってもらってもいいよね。

明日はオフだし、食事の支度も終わってるようだし、完璧!←なにが!?


「キョーコ、そんなことで怒ってないで、こっちへおいで?」


腕を広げ、キョーコを待つ。
早く、来て!そして抱きしめさせて?

ん?何故ため息?

それにどうして、俺の腕のなかに来てくれないの?


「蓮さん」

「はい?」


「ワタクシ、実家に帰らせていただきます!」



そう言って、キョーコは出て行ってしまった。
小さなハンドバッグひとつで。



キョーコには帰れる実家などない・・・・・・・・・・・はず。



さ、散歩かな?



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



「ただいま~!モー子さん、千織さん!」←親しくなったのでちおりんも名前呼びに。

「あら、おかえりなさい」
「キョーコさん、おかえりなさい!久し振りですね!」
「うん、なかなか帰れなくて、寂しかったわぁ!」


大好きな親友たちに、おかえりと迎えてもらえるこの幸せ!堪んないわぁ!
キョーコがウットリしてると、その親友たちから現実的な質問が投げかけられた。


「あの男、家にいるんでしょ?よく出られたわね」
「明日は二人揃ってのオフでしたよね?」

「そぉ~れぇ~がぁ~ねぇぇ!!聞いて頂戴、ふたりとも!」


先ほどのやり取りを二人に報告する。


「なるほど、また図に乗りだしてきてますね」
「反省する気ゼロだったものねぇ。キョーコに捨てられるのが怖いから、アレにサインしただけなんでしょ?」


「そう!そうなのよ!」

「「で、作戦通り帰ってきたと?」」


「そうなの!」


先程まで蓮とのやりとりを思い出し、プリプリ怒っていたキョーコがにんまりと笑った。


「も~気持ちよかったわぁ!一回言ってみたかったの、あの台詞!」



「「「ワタクシ、実家に帰らせていただきます!」」」



3人娘は同時に叫び、そのまま笑い転げた。






「まぁ、実家というか、こっちが本宅なんですけどね」


千織がにんまりと笑いながら言えば、奏江もまた悪そうな笑顔で言う。


「あの男はキョーコが元通り帰ってきたと思ってるのよねぇ。ただ彼氏の家に泊まりに行ってるだけなのに」


「「「荷物もそのままなのにねぇ」」」




「別に戻さなくても生活できちゃうってのもあるけど、大事なものはココに置いておきたいし」

「そうよ、ここに置いときゃいいのよ。ここはあんたの実家で、私たちだけの基地で、砦なんだから!」
「そうですよ!」

「モー子さん、千織さん、ありがとぉ!二人とも大好きよ!」


ここでキョーコのキューティーハニースマイルが炸裂し、それを見た二人は顔を赤らめながら話を変えた。



「や、やっぱり、いろいろ準備してるのは無駄にならないようですね」


「ま、この先の分も誓約書が用意されてるって知らないのは、あの男にとっては幸せなことかもね」

「千織さんが調査してくれてるのよね。有り難う!」


「はい、任せてください!今回のように被害を受けてからでは遅いですからね。女優が結婚して困った事や、妊娠して困った事など、あらゆる場所でサーチしてますよ」

「頼りにしてます!」


うーん。それにしてもと、奏江がぼやく。


「今回の誓約書は、ちょっと内容が甘すぎたわよね」


「そうですね。京子さんの仕事の内容に口だしするべからず、仕事関係のコミュニケーションの邪魔をするべからず、仕事で身につけるものに文句を言うべからず、公の場で身体に触れるべからず、同じくキスをするべからず・・・・・・・」


千織が眉間に皺を寄せながら誓約書の禁止事項を口にすれば、途中から奏江が、その内容を引き継ぐ。美しい顔を顰めながら。


「仕事現場に押し掛けるな、楽屋に押し掛けるな、スケジュールを調べようとするな、仕事の内容を調べるな、他の男に威嚇するな、キョーコに嫉妬でやつあたりするな・・・・・・・あとは、あの男の夜の暴走への禁止事項も・・・・・・山ほどあったわね」


最後のところで少し赤面しながらキョーコを見つめれば、キョーコも同じく顔を赤らめ、視線を千織の方に逸らす。同じく頬を赤らめた千織が咳払いをし、「今回の」報告会をしめた。


「ま、今回もあの作戦は変更なしってことでいいですね」
「「うん」」


「キョーコさん、冷蔵庫に頂き物の伊勢エビが入ってるんですけど」
「ほんと?見せて見せて!二人ともご飯まだよね?」

「まだよ」「まだです」

「今日は寒いし、ブイヤベースにしましょ!で、朝ご飯はそのリゾット!美味しいコンニャクライス買ってきたから!!」



何も知らず、今この時間も自宅で呆然としたままの蓮のことなど、すっかり忘れ去り、3人娘の本宅兼基地ではその夜、豪華で楽しい宴が繰り広げられたのだった。



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



「ねぇ、キョーコ、俺来週から2週間ロケでいないんだ・・・・(寂しくて泣いちゃうかな?)」

「え?そうなんですか!!」o(〃^▽^〃)o


どうしてそんなに嬉しそうなの?
2週間も俺と離ればなれになっちゃうんだよ?
俺は寂しいよ。キョーコも寂しいでしょ?


「ああ、嬉しい!」


え?う、嬉しいの?俺がいないのが?



「こーしてはいられないわ!モー子さんと千織さんに連絡しなくっちゃ!」




哀しそうな顔をしてみせる蓮を寝室に置き去りにし、リビングへと移動したキョーコの顔には笑みが浮かんでいた。







「蓮さん、私はあなだだけには意地悪でいようって決めたんです」


心の中でだけの蓮への告白を終えると、キョーコは携帯電話へと手を伸ばした。





*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆




蓮へ振るわれる鉄槌。



それは。



3人娘の愛と友情からできた蓮への戒め。




いつかの夜に決められた「元ラブミー部により愛のムチ作戦」の作戦期間。




それが3人全員一致により無期限と定められたことは




きっと知らない方が幸せ。










一生涯振い続けられる愛のムチがあれば






きっとどんな猛獣とだって・・・・










fin




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




楽しんでいただけましたでしょうか。


これで、「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌ー」はおしまいです。


長い間おつきあいいただいた皆様、本当にありがとうございました!




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