じょんこさんと魔人の双方ウッカリコラボ!を、前中後編でお届けしています!


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「この溢れる愛を貴方だけに」

前編 5/25 0時15分 UP
中編 5/25 5時 UP
*後編 2-1 5/26 0時10分 UP
*後編 2-2 5/26 0時15分 UP


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「この溢れる愛を貴方だけに【中編】」



「久し振りだね、最上さん」

「そうですね、お久し振りです。あ、時間あまりないですよね。すぐ用意しますので、どうぞお掛けになってお待ちくださいね」


意外なことに、あのファンの素性は未だわかっていない。

住所は架空のものではなかったが、そこは空き家だった。

投函先が、テレビ局数局やこのLME芸能プロダクションに近い数カ所の郵便ポストであろうことはわかっていたが、それ以外はさっぱりだ。

LME内にあるポストだけは防犯カメラの映像でチェックできたそうだが、不自然な投函者はいなかったと聞いている。


なので。

最上さんと会うのにも、非常に気を遣っていた。



ラブミー部の部室前の廊下には防犯カメラを増設してもらったし、部屋にはモニター付きインターフォンもつけてもらった。

ドア影に潜んだ犯人に襲われでもしたら大変だから、部屋付近で立ち止まっている者がいれば。部屋の中にいても、わかるように、防犯カメラの映像を映すモニターも壁にかけられている。




他のラブミー部員達からは、俺が近づくのをやめてくれるほうがずっと安心できるとまで言われたが。




「はい、どうぞ。今日は自宅からここに直行できたので、手まり寿司にしてみたんですよ」

「美味しそうだね。それに、奇麗だ。これもお寿司なんだ?」


「はい、お野菜中心なとてもヘルシーなお寿司なんです。サーモンとまぐろ以外は、全部お野菜ですから。なんだか小さくて丸いとこが可愛いでしょ?お花見の際によく作ったりするんですけどね、夏場にもおススメなんです。まぁ、持ち歩くときには、お魚は使いませんけど」

「そうなんだ。美味しいよ、後味がさっぱりしてるし。・・・・・・・・・最上さんのご飯久し振りだし・・・・・・・・・・・ほんと、美味しい」


「あ、ありがとうございます。そ・・・・・・・・その後、どうですか?例のファンの方は」

「ああ、手がかりなしだよ。今も毎日何通もの手紙をもらってる」


「手紙ってそんなに酷い内容なんですか?」

「まぁ、後半はね。前半は熱烈なラブレターというか。あ、さっき、コピーをもらってきたんだ。ヒントが隠されてないか、確かめてみようと思って。読む?」


「あ、この束ですか?それじゃあ、見せていただきます。あ、敦賀さんは、食事に専念してくださいね」

俺は手紙のコピーの束を読み進める最上さんを眺めながら、久々の逢瀬での幸せを満喫していた。

彼女の美味しい手作り弁当を食べながら。



しかし、その心地良い沈黙は、彼女の口から漏れ出た音で、破られた。


「ぶ・・っ」

箸を置き、フルフルと肩を振るわせる最上さんに近づくと、我慢の限界に到達したらしい彼女は・・・・・・・・・・・


「ぷっふ~~~~!!」


盛大に吹き出してくれた。


「ど、どうしたの?」

「も、もう駄目ぇ~!!何ですか、この文章!!愛の告白にしたって、こ、こんな!敦賀さんを讃えた詩が毎回書いてありますよ!!」


「あ、ああ・・・・・・・・・・・」

何通かは俺も読んだので、熱烈すぎたその内容を思い出し、ちょっと居心地が悪くなった。


「宝石よりも美しい輝きをもった貴方に、私の目は・・・・・・・・・・・ぶふっ!!貴方のその声を聞いた瞬間、私の耳はその音以外を拒絶するのです・・・・・・・・・・・ああ、愛しい貴方、恋しい貴方、貴方さえ・・・・・・・・・・・いれば・・・・・・・・・・・ぶふふふ!」

「うん、凄いよね」

が、彼女の声は耳に心地よい。うん、内容を考えるのはやめて、この可愛い声だけを聞く事にしよう。もっと声を聞かせてもらえるように、適当に相槌を打っておく。


「は、はい、ぶふふふっ!世界中の誰を敵に回そうとも、敦賀蓮さま、貴方だけを愛しています。貴方のためなら、なんだってしてみせます!・・・・・・・・・・・ああ、このあたりから、危険な気配がしますね」


笑い転げながら、手紙の朗読をしていた彼女の声に、内容は排除するようにして聞き惚れていた俺だったが・・・・・・・・・・・


「ねぇ、最上さん、今のとこ、もう一度読んでみてくれる?」

「え?何かヒントでも?えーーと。世界中の誰を敵に回そうとも、敦賀蓮さま、貴方だけを愛しています。貴方のためなら」

「うん、もう一度!」


「?せ、世界中の誰を敵に回そうとも、敦賀蓮さま、貴方だけを愛しています?」

「疑問系ではなく!ほら、もう一度!」



「世界中の誰を敵に回そうとも、敦賀蓮さま、貴方だけを愛しています!」

「世界中はいらない、名前は蓮と呼び捨てで!」


「蓮、貴方だけを愛してます」

「今度は感情を込めて、さあ!」


「は?何いってるんですかぁ!さては、私をからかってますね?ヒントなんてないんでしょう!?」


「うん、最上さん、ごめんね?」


こっそり携帯での録音に成功し、俺は上機嫌で至福のランチタイムを終えた。



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「何、コレ・・・・・・・・・・・人の手紙を読んで笑うなんて、なんて酷い女!!蓮は、手紙を喜んでくれてることはわかったけど、この女は許しておけない!最上・・・・・・・・・・最上・・・・・・・・・・・あった!最上キョーコ!キョーコ?もしかして、蓮の後輩の京子?前にテレビで可愛がってる後輩だとかなんとか・・・・・・・・・聞いた事在るし。・・・・・・・・・・後輩面して、蓮になれなれしくしてる?・・・・・・・・こんな女、痛い目にあわしてやる!!」



敦賀蓮の楽屋に忍び込み、蓮の携帯からそのデータを盗み出した、熱すぎるファンは、攻撃の対象を最上キョーコへと定めた。




そして、悪意に満ちた、嫌がらせがキョーコを襲うこととなる。




続く


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