「不安な夜1」
「不安な夜2」
「不安な夜3」


只今「不安な夜1」をリク罠にした魔人的お祭り開催中!
始まりはひとつ、終わりは幾通りも!!な
パラレルエンディング★リク罠 「不安な夜」
続編お披露目特設お祭り会場はこちらо(ж>▽<)y ☆





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「不安な夜4」


「え?キョーコちゃんの携帯が通じない?」


ここ数年毎日、余程のことがない限り俺の家まで迎えにきてくれている社さんは、今日も予定通りの時間に途中で仕入れた朝食を手にやってきた。

それを待ち構えていた俺は、玄関口でまだ靴を履いたままの彼に、最上さんの携帯が通じないことを告げた。

「そうなんです。多分・・・・・・・何か事情があって携帯を変えたんだと思うんですけど・・・・・・・」

「まあ、そうだろうな。キョーコちゃんの携帯は会社からの支給品だし、プライベートな理由でという可能性は少ないんじゃないか?」

社さんの顔を見た途端、昨日の夜から今の今まで抱いていた不安が薄れ、彼の最もな意見により昨日の夜の自分の行動を振り返って笑える程の余裕がでてきた。我ながら単純だ。

「はい、それで彼女には今直接連絡を取る事ができないので、椹さんにでもその理由と新しい番号を聞いてほしいんですけど」

「そうだな・・・・・・・キョーコちゃんも今じゃあ人気女優だし、マネージャーがついていないんだから、携帯電話事情がややこしくなっててもおかしくない。心配だし、今から聞きに行ってくるか・・・・・・・朝飯を車内で食えば、事務所に寄る時間くらいはできるしな?お前は俺が聞いてくる間に車で飯を済ませればいいし」

「はい!お願いします!」


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「・・・・・・・・・・・まあ、ヨカッタじゃないか?理由がハッキリして」
「そう・・・・・・ですね。でも、新しい番号は教えてもらえなかったんですよね?」

社さんは椹さんから、ちゃんと最上さんの携帯事情を聞いて来てくれた。
・・・・・・・・・事情だけ。
それが不満で、車に戻った社さんに向って、俺の口から零れだす言葉も自然と否定的なものとなってしまう。彼を責めるなんてお門違いもいいとこなのに。

「まあな。でも、無理には聞けないだろう?今の忙しいキョーコちゃんに電話で晩ご飯の依頼をしたいから教えてくださいなんて言える訳がないし、してたことがバレたら、マズい展開になると思うぞ?」
「それは・・・・・・・・・そうですけど」


最上さんの携帯は、先週不幸な事故というか、特殊な事故でお釈迦となったそうだ。


「事務所の廊下で落としたところを社長が乗っていた象に踏まれ、壊れた」という大変特殊な事故で。

・・・・・・・・・・・そんな事情で携帯が壊れただなんて言っても普通の会社の人間はまず信用しないと思うが・・・・・・・・・LMEでは有り得ないことではないし、LME内ではたまにある事故らしい。踏まれはしなくても、「その手のモノとの遭遇」で驚いた拍子に手にもっていたものを落としてしまうというのは十分考えられるから納得だ。(最上さんは驚いて落としたわけじゃないそうだが)

「新しい携帯電話が、番号変更な上に電話契約オンリーなのは仕方がないと思うぞ?迷惑な電話やメールに対処するには番号を変えるのは有効だし、気軽に聞かれやすいメアドは持っていないと言う方が楽だからな」

「受信拒否じゃあ駄目なんですか?」
「それじゃあ、相手に避けてるのが丸わかりでマズいだろ。上の立ち場の奴もいるわけだし」
「番号を変えるのはいいんですか?」
「そりゃそうだろ。会社から別の携帯を支給されたって言えば納得してもらえるし、今後は私用電話は一切禁止の会社直通電話になりましたっていえば済むんだからな」

「番号が変わった理由はそれでいいとして、前から会社の電話だったのに私用禁止は断る理由になるんですか?」
「前の番号は新人時代に仕事で聞かれて知られてしまったみたいだしな。今度のは、お前とか琴南さんとかとも電話できない会社直通電話なんだから聞けないだろ」
「・・・・・・・・・・・」

「で、かわりに聞かれるのがプライベート用の携帯番号な訳だけど」
「まだ用意してないんですよね?でもそれが手に入ったら同じことなんじゃないんですか?」

「そりゃあ、当分は持ってないってことにする気だろう。実際、今のキョーコちゃんのスケジュールだと個人的接触でいろいろ言われても対処できないからな。今までは携帯メールで済ませることもあったスケジュールの変更も、直接電話し合って確認しないと危険なレベルの詰まり具合になってたらしいし。スケジュール管理表をタブレットに一覧表のカタチで送信ってのは、俺以外のマネージャーと同じやり方だし、キョーコちゃんも椹さんもスケジュールのやりとりがしやすくなるんじゃないかな」

「・・・・・・・・・・・プライベートの携帯って、俺がプレゼントしちゃマズいですか?」
「つきあってもいない男からそんなもん受け取るわけがないだろ・・・・・・・・この話は終わり!仕事行くぞ、仕事!キョーコちゃんへの連絡手段は俺が考えておくから、仕事に集中しろ!」

「・・・・・・・・・・・よろしくお願いします」


今度はいつ彼女に会えるのだろうか。

もう二度と、昨日の様な不安な想いを抱えて夜を過ごしたくはない。

次に会ったら、ちゃんと・・・・・・・・・・・


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その後何度か最上さんを見かけたが、俺は彼女に話しかけることができなかった。


「敦賀さんには会いたくありませんでした」


なんて言われたら立ち直れないから。




その代わりに・・・・・・・・・・





続く。「不安な夜5」



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