「不安な夜1」
「不安な夜2」
「不安な夜3」
「不安な夜4」
「不安な夜5」
「不安な夜6」
「不安な夜7」
「不安な夜8」
「不安な夜9」



只今「不安な夜1」をリク罠にした魔人的お祭り開催中!
始まりはひとつ、終わりは幾通りも!!な
パラレルエンディング★リク罠 「不安な夜」
続編お披露目特設お祭り会場はこちらо(ж>▽<)y ☆





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「不安な夜10」


蓮が仕事をこなしている間に、俺が椹さんに電話をして得た情報は「11時20分」という時間だけだったが、俺的にはそれだけで十分だった。

放送される局はTBKだとわかってるし、椹さんから聞いた「契約により内容は明かせない」という理由は、その発表がプライベートに関するものではなく、仕事の話だと告げているようなものだったから。

今回の発表が「記者会見」というカタチでないことも、別ルートで確認済みだ。交際発表が予定されているなら、あの社長が記者を集めない訳がない。

蓮は、「京子 貴島」というキーワードでネット検索したと言っていたが、俺はそれでは出てこないことだからこその「発表」だと思ってる。

なのでまずは「京子 TBK」で検索し、今現在の仕事がないことを確認した。

そして、「貴島 TBK」で再検索。テレビ欄をチェックしてすでにわかっていたことだが、この曜日に放送されている貴島の主演ドラマの名前が上がってきた。丁度今、ドラマの最終回を放送中で、チェックの為につけた控え室のテレビには、貴島が映っていた。

それに時折目を配りながら、テレビ局で借りたパソコンを操作する。最終回のドラマだけ観てもあらすじさえ掴めないから、それをネットで集めた情報で補完していく。

まずはTBKが作ったドラマの宣伝HPで。続いて視聴者がブログなどに載せているものも確認し、一人正体不明な役者が混ざっていることに気がついた。

最初に見たTBKのものには役者名が入っていたので見落としていたが、そこに書かれていたのは「登場人物」の名前だった。

(うーん。新人が初めての大役名を芸名にするのは珍しくないけど、視聴者の書き込みを読む限り、そのケースは外しても良さそうだな)

ドラマ制作上、意図的に隠してる、と思えるもの・・・・・・それが、このドラマの影の主役と言われている少女「桜木トーコ」の正体だった。

(これが、キョーコちゃんってわけ?)

それから俺は先程調べたあらすじを「桜木トーコ」に焦点を絞り、読み返したのだが・・・・・・・・。

(なんか、ヤバい気がするぞ、この役。ここんとこずっと、蓮が何も言わなかったから、キョーコちゃん出演のドラマのチェックもしてなかったけど・・・・・・・・いつのまに、こんな役がくる様になったんだ?)


今放送されてドラマは、過去と未来を織り交ぜたもので、現在編はもうすぐ公開する映画と次クールで放送が決まっているドラマで展開されるらしい。


ドラマ「虚ろな世界から」はホラーサスペンスだ。影の主役と言われてる「桜木トーコ」は幼少時より霊感が強く、その強すぎる霊感により「今生きている世界」と「彼女にだけ見えている世界」の境界が曖昧だった。そして、それを本人さえも理解できていなかった幼い頃に、気味が悪い子供だと、親に捨てられた。

その後に預けられた施設や学校でも不気味がられたが、トーコのあまりにも独特すぎる雰囲気から周囲の子供もなにかを察したのか、それとも、本能的に恐れを抱いたのか、イジメられたりするのではなく、トーコという存在は多くの場合、そこにいてもいないものとして扱われた。
恐れを含んだその対応は、「トーコからの呼びかけを無視」出来る程の勇気を伴ったものでなかったらしく、用事がある場合には双方の間に僅かな交流はあったから、トーコ本人はそれを苦にした事はなかった。それよりも、遥かに面倒で疲れる事態に、彼女は日々疲弊していたから。

彼女が抱え続けていた問題。それは、一人で過ごす「自分の部屋」という空間に、昼夜問わず押し掛け、話しかけてくる、あらゆる霊の存在だった。
その為、部屋で何か用事をすることが不可能となっていたのだ。無視できるのは寝ている間だけ。その間だけは何故か彼らは大人しくなった。

貴島演じる霊能者「柊 宣久」は、トーコの遠縁であり、現在と未来での恋人でもあった。トーコを常に「今生きている世界」に引き止められる唯一の存在であり、彼女が興味と愛情を抱く世界でただ一人の存在。それがトーコがひー君と呼ぶ、柊 宣久だった。

映像で観るトーコは何かが被さっているかの様に薄ぼやけている状態で、唯一存在がハッキリしている宣久と過ごす時間には、宣久の影になったり、部屋の小物で隠されたりして、どんな顔の女優が演じているのかわからないように細工されていた。

それでもその感情が伝わってくるところが凄いとネット上では賞賛されていたが。

トーコと、彼女にとって唯一の存在である宣久の関係は濃密だった。濡れ場こそないものの・・・・・・・・・・・俺が今観てる最終回の映像だけでも、かなりのものだった。

そして、その最後のカットで・・・・・・・・・・・未来編のトーコが、神秘的な微笑みを浮かべながら、宣久の首にその白い腕を回す・・・・・・・その美しすぎる姿がほんの一瞬、しかし観たものを魅了し、鮮烈な印象を与えるには十分な時間映し出され、消えた。


ガタンっ!!!

「え?蓮?」

時刻は23時18分。画面からはエンディングテーマが流れている。俺の背後にはそれを食い入るように見つめる蓮の姿があった。

「おまえ、いつから・・・・・・?」



続く。→「不安な夜11」

あれ?蓮さんの衝撃の瞬間を書ききれなかった!!!いや、まだあと2分あるか。でもなかなか「煽り」が終了しないわ!皆さん、魔人はこれでもコメディを目指してるんですよーー!



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