Papillon -coterie-のハルカさん宅で開催中の2周年記念の7月企画。
リク受付だけじゃなく、恐ろしい【トラップ de 2周年フリーマンガ】も仕掛けられていました。
嫌ん!逃げ損ねちゃったぁ!
まんまどドボンしちゃった魔人です。(ノ´▽`)ノ
*どこからトラップ? 1 / 2 / 3 / 4 / 5・完結
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「どこからトラップ?第3話」
「ううん、気にしないで。お仕事だもの、仕方がないわ。うん、うん。また今度ね?じゃあ、お仕事頑張って。うん、それじゃまた」
足をとめ、電話の向こうにいるであろう人物に向かって明るい声で応対する最上さん。
でも、その背中はシュンと寂しげだった。
(もしかして、仕事でドタキャン?)
数歩前にいる最上さんは電話を切ったあと、携帯電話を見つめて溜め息をついている。
俺の中で期待が広がるが、寂しそうな彼女に向かって、嬉々とした声をかけるわけにはいかない。
(それに……)
左右を見渡し、人影が途絶えているのを確認した俺はそっと両手を伸ばした。今すぐに抱きしめてあげたいという想いが押さえきれずに。
「最上さん……」
「え?え?つ、敦賀さん?!」
「うん」
後から彼女を抱きしめることに成功し、俺の中に満足感がひろがっていく。
(寂しかったのは、俺の方かも……)
俺の腕の中で振り返った彼女の顔には、先程感じた寂しげな雰囲気はなく、今はただ驚いた顔をしているだけ。
(ビックリした顔も可愛い……な。このまま家に連れて帰りたい……ああ、今ここが家の中ならいいのに……)
ポカンと開いたその可愛い口にキスを落としたくて堪らないが、残念ながらそれはまだ許されていない立ち場な俺。
それでも欲しくて堪らないので可愛い顔から目を逸らすことができない。
じっと顔を見つめていたら、先に我に返った彼女が腕の中からの逃亡を計りだした。
「えーと!なんでここに敦賀さんが?いや、その前に、離してください!人に見られます!誤解されます!!」
「嫌だ」
「ふざけてる場合じゃないですぅ!」
ふざけてないけど、この体勢がマズいのは俺にも理解できてる。
オフィス街からは少し離れた位置にあるスタジオ。
真夏の一番暑い時間帯ということもあり、付近には歩く人の姿も、通行する車も見えないが、万が一にでもスクープされるわけにはいかない。
されるなら、彼女を手に入れ、逃げられないようにしたあとでないと。←
「ふぅー、嫌だけど、仕方がないね。うん、ちょっとこっち来て」
「え?」
ということで、場所を変えるべく、腕の中から解放したばかりの最上さんの腰を攫い、自分の車に案内する。←逃がしません
「まずは乗って。移動しながら話すから」
有無を言わさず、彼女を助手席に押し込み、自分は運転席に向かう。
シートベルトをするように指示し、とりあえず車を走らせる。
逃げられない状況に持ち込んだ俺はやっと落ち着いて彼女と話すことができる。
「最上さん、さっきの電話は琴南さん?」
「え?は、はい」
「待ち合わせがキャンセルになったの?」
「えーと、そうです」
「じゃ、時間あるよね?代わりに俺とつきあってね」
(だめだ、顔がにやけるっ)
幸運にも、逃しかけていた最上さんのオフタイムを手に入れることに成功した俺はもう嬉しくて仕方が無い。
緩む顔を必死に引き締めて、最上さんの顔を見ずに前だけを見て会話する。
「え?」
「俺もね?午後からの仕事がひとつキャンセルになって時間が空いたから、最上さんを誘いに来たんだ。夕方までオフだって聞いたから、付き合ってもらおうと思って」
「そ、そうですか。でも、どうして私を?お疲れでしょうから、仮眠されるとか、どなたか会われたい方に……」
「うん、仮眠するより、会いたい人に逢う方がいいよね」
「そ、そうですね」
「だから、来たんだ、君のところへ」
「は?」
顔は前を向いたまま、チラリと視線を送ると、顔に大きく?マークを浮かべた最上さんと目があった。
(うん、伝わってないね、やっぱり)
しかし、ここで押し問答的会話をするのは時間の無駄というもの。
折角手に入れたデートの時間。
例え彼女がどう思っていようが、俺はデートらしい時間を過ごしたい。
「暑いよね。喉渇かない?」
「えーと……」
突然話題を変えた俺に彼女はついて来れないようだ。
「どこかにお茶しに行こうか?」
「は?」
「俺とデートしよう?」
「デートって!!」
運転中なのでそうそうよそ見はできないが、目の端に、顔を赤らめた彼女の姿が見えて、嬉しくなる。
「うん、デート。最上さんとしたいんだ」
「……私で良ければ、お茶位はお付き合いさせていただきますけど……」
「うん、有り難う」
嬉しい返事をもらい、顔のにやけが止まらなくなる。
最近の彼女は前ほど俺の誘いを固辞しない。
遠慮がちではあるが、それなりに自然に応じてくれるようになってきていて、俺はそれが嬉しくて堪らない。
(まだ先輩と後輩のままだけど……俺は特別だって思っていいよね?)
心の中でしか問えないけど、俺の中の最上さんはそれを否定しない。
これもまた進歩だ。
以前なら否定的な応えしか想像できなかったのだから。
「こないだ最上さん好みの店を見つけたんだけど……そこでいい?」
「は、はい」
最上さんの好きそうな店は常にチェックしている。
頭の中にあるそのリストの中からティータイム利用ができる店を探し出して、そこに目的地を定める。
「最上さんの仕事は何時から、どこ?」
「夕方の6時からTTBテレビです」
「そう……じゃあ余裕見て5時までとしても……3時間程あるね」
「敦賀さんは何時からお仕事ですか?」
「俺は6時から……事務所で雑誌のインタビューかな」
夜に家まで食事を作りに来てもらうことはあっても、会話できる時間は2時間もあればいいほうだ。しかも、彼女の忙しさが増した去年位から、その機会自体が激減している。
(今日は本当についてる!)
第4話に続く
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リク受付だけじゃなく、恐ろしい【トラップ de 2周年フリーマンガ】も仕掛けられていました。
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*どこからトラップ? 1 / 2 / 3 / 4 / 5・完結
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「どこからトラップ?第3話」
「ううん、気にしないで。お仕事だもの、仕方がないわ。うん、うん。また今度ね?じゃあ、お仕事頑張って。うん、それじゃまた」
足をとめ、電話の向こうにいるであろう人物に向かって明るい声で応対する最上さん。
でも、その背中はシュンと寂しげだった。
(もしかして、仕事でドタキャン?)
数歩前にいる最上さんは電話を切ったあと、携帯電話を見つめて溜め息をついている。
俺の中で期待が広がるが、寂しそうな彼女に向かって、嬉々とした声をかけるわけにはいかない。
(それに……)
左右を見渡し、人影が途絶えているのを確認した俺はそっと両手を伸ばした。今すぐに抱きしめてあげたいという想いが押さえきれずに。
「最上さん……」
「え?え?つ、敦賀さん?!」
「うん」
後から彼女を抱きしめることに成功し、俺の中に満足感がひろがっていく。
(寂しかったのは、俺の方かも……)
俺の腕の中で振り返った彼女の顔には、先程感じた寂しげな雰囲気はなく、今はただ驚いた顔をしているだけ。
(ビックリした顔も可愛い……な。このまま家に連れて帰りたい……ああ、今ここが家の中ならいいのに……)
ポカンと開いたその可愛い口にキスを落としたくて堪らないが、残念ながらそれはまだ許されていない立ち場な俺。
それでも欲しくて堪らないので可愛い顔から目を逸らすことができない。
じっと顔を見つめていたら、先に我に返った彼女が腕の中からの逃亡を計りだした。
「えーと!なんでここに敦賀さんが?いや、その前に、離してください!人に見られます!誤解されます!!」
「嫌だ」
「ふざけてる場合じゃないですぅ!」
ふざけてないけど、この体勢がマズいのは俺にも理解できてる。
オフィス街からは少し離れた位置にあるスタジオ。
真夏の一番暑い時間帯ということもあり、付近には歩く人の姿も、通行する車も見えないが、万が一にでもスクープされるわけにはいかない。
されるなら、彼女を手に入れ、逃げられないようにしたあとでないと。←
「ふぅー、嫌だけど、仕方がないね。うん、ちょっとこっち来て」
「え?」
ということで、場所を変えるべく、腕の中から解放したばかりの最上さんの腰を攫い、自分の車に案内する。←逃がしません
「まずは乗って。移動しながら話すから」
有無を言わさず、彼女を助手席に押し込み、自分は運転席に向かう。
シートベルトをするように指示し、とりあえず車を走らせる。
逃げられない状況に持ち込んだ俺はやっと落ち着いて彼女と話すことができる。
「最上さん、さっきの電話は琴南さん?」
「え?は、はい」
「待ち合わせがキャンセルになったの?」
「えーと、そうです」
「じゃ、時間あるよね?代わりに俺とつきあってね」
(だめだ、顔がにやけるっ)
幸運にも、逃しかけていた最上さんのオフタイムを手に入れることに成功した俺はもう嬉しくて仕方が無い。
緩む顔を必死に引き締めて、最上さんの顔を見ずに前だけを見て会話する。
「え?」
「俺もね?午後からの仕事がひとつキャンセルになって時間が空いたから、最上さんを誘いに来たんだ。夕方までオフだって聞いたから、付き合ってもらおうと思って」
「そ、そうですか。でも、どうして私を?お疲れでしょうから、仮眠されるとか、どなたか会われたい方に……」
「うん、仮眠するより、会いたい人に逢う方がいいよね」
「そ、そうですね」
「だから、来たんだ、君のところへ」
「は?」
顔は前を向いたまま、チラリと視線を送ると、顔に大きく?マークを浮かべた最上さんと目があった。
(うん、伝わってないね、やっぱり)
しかし、ここで押し問答的会話をするのは時間の無駄というもの。
折角手に入れたデートの時間。
例え彼女がどう思っていようが、俺はデートらしい時間を過ごしたい。
「暑いよね。喉渇かない?」
「えーと……」
突然話題を変えた俺に彼女はついて来れないようだ。
「どこかにお茶しに行こうか?」
「は?」
「俺とデートしよう?」
「デートって!!」
運転中なのでそうそうよそ見はできないが、目の端に、顔を赤らめた彼女の姿が見えて、嬉しくなる。
「うん、デート。最上さんとしたいんだ」
「……私で良ければ、お茶位はお付き合いさせていただきますけど……」
「うん、有り難う」
嬉しい返事をもらい、顔のにやけが止まらなくなる。
最近の彼女は前ほど俺の誘いを固辞しない。
遠慮がちではあるが、それなりに自然に応じてくれるようになってきていて、俺はそれが嬉しくて堪らない。
(まだ先輩と後輩のままだけど……俺は特別だって思っていいよね?)
心の中でしか問えないけど、俺の中の最上さんはそれを否定しない。
これもまた進歩だ。
以前なら否定的な応えしか想像できなかったのだから。
「こないだ最上さん好みの店を見つけたんだけど……そこでいい?」
「は、はい」
最上さんの好きそうな店は常にチェックしている。
頭の中にあるそのリストの中からティータイム利用ができる店を探し出して、そこに目的地を定める。
「最上さんの仕事は何時から、どこ?」
「夕方の6時からTTBテレビです」
「そう……じゃあ余裕見て5時までとしても……3時間程あるね」
「敦賀さんは何時からお仕事ですか?」
「俺は6時から……事務所で雑誌のインタビューかな」
夜に家まで食事を作りに来てもらうことはあっても、会話できる時間は2時間もあればいいほうだ。しかも、彼女の忙しさが増した去年位から、その機会自体が激減している。
(今日は本当についてる!)
第4話に続く
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