いつから放置してるんだかもう記憶にない、ブログ開設3日目に仕掛けた罠への自爆ドボン作。読み直すだけでは書けない気がしてきたので、修正しながら1話から順にアップしていきます。

素敵な獲物さん作でなくて、ほんと申し訳ないです。(´・ω・`)

魔人の作なんて、興味ないし!という99パーの方はバックプリーズ。

暇つぶしのために読んでやるぜ!という勇者さんのみ読んでくださいね。(;´▽`A``



逃げ足◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇逃げ足
逃げる彼女をつかまえろ!<1><2><3><4><5><6><7><8><9><10><11><12><13><14><15><16><17><18><19><20><21><22><23><24>


逃げる彼女をつかまえろ!第25話


周囲に支えられ、順調に勤労少女兼受験生な生活を送っているかの様に見える最上キョーコには、気になることがあった。

社に何度も頼まれているにも関わらず、一向に果たすことのできない約束があったのだ。

マネージャーである彼が受け持つ俳優、キョーコの大先輩にあたる敦賀蓮の為にと頼まれた、それ。

「お願い、キョーコちゃん!本当に簡単なものでいいから!ほら、おかずなしのお握り弁当とかさ!とにかく、なんでもいいから作ってほしいんだ!」

今では挨拶以外の言葉を交わすことが珍しくなった社。

それでも、俳優である先輩とより、言葉を交わす機会は多い。

自分の担当でもないのに、親切な社は、現場が同じだからと、事務所からの伝言を伝えてくれるからだ。

お弁当の依頼もその際に行われることが多い。

それも、何故か必死な顔で。

お握り弁当をわざわざ自分に頼む理由はわからないが、それなら出来るかもと、頼まれた時には思った。

「いつになるかはわかりませんが……」

毎回そうとしか返事を返すことが出来なかったが、お世話になっている社からの頼みであり、それが大先輩の求めでもあるのならば、実現しないわけにはいかないと思っていた。

しかし、そう思い、朝ご飯を多めに作ったりしてみても、それは余ることなくすべて同居している少女達のお腹に収まることになり、残った分を……などという作戦は成功した試しがなかった。

それはお握りしか作らなかったときにも同様で。

「わぁー、お握りだー!!」

と、朝食を食べたあとにも関わらず、ウキウキと手を伸ばす彼女達の姿を見れば、食べないでほしいなどと言える訳もなく。

例え余ったとしても、

「これ、お昼に食べて良い?」

と、すでに己の分をそれぞれの懐に抱え中(確保済み)なキラキラした瞳の軍団に囲まれて「否」と言える神経も持ち合わせていなかった。

その時点で追加で作ることもあるが、それはその軍団全員に行き渡らなかったときのことで、それで余分を生むなど有り得なかった。

よくよく考えれば、他にも問題はあった。

今のキョーコはお弁当を2人分用意できない身の上だった。

お弁当作り程度のことは、キョーコにとっては負担でもなんでもないこと。

簡単に作ることが出来る。

しかし、立ち場的にはそれが出来ないのだ。

受験生生活と仕事との両立を全面的にサポートしてくれている人間は、お弁当など作る暇があるなら睡眠を取りなさい!と心配してくれる。

今の寮生活での食事作りも、キョーコには負担でもなんでもないが、知られれば何か言ってくる人がいるだろう。

そんな中、キョーコから手作りのお弁当を渡された人間は周囲にどう思われるだろうか。

ーー当然社はこっそり受け取り、こっそり蓮に食べさせる気だったので、そういう問題は起こらないのだが、そこまでする意味がわからない少女には伝わる筈もないことだった。

おまけに、あの大先輩は、100パーセントの確立で、そのお握り弁当のみを食べる人なのだ。

追加で「おかず」を用意して食べている姿など、想像すらできない人なのだ。

自分はおかずのある、ちゃんとしたお弁当を食べさせてもらうのに、大先輩には「お握り」だけのお弁当を届ける。

そう思ったらもう、頼まれたこととはいえ、お弁当など用意できなくなった。

(やっぱり、渡すならちゃんとしたお弁当でないと!!)

結論はこうだった。

(敦賀さんの食事事情が気になるぅううううう!)

おまけにこんな心配も再熱しはじめた。

気になっていた。

かなり気になっていた。

もの凄く気にはなってはいたが、しかしそれでも……どうしようもないまま時は流れていった。

そんなときに、事務所から伝えられたのが、ラブミー部室での待機要請だった。

午前中は学校に行き、午後1時から仕事の筈だった本日。その仕事が1つ……この日最初に組まれていたものが流れたらしいのだ。

不意に出来た、1時間半程の短いオフ。

それが社の緊急要請により実現した、事務所が一丸となっての工作の結果とは知らぬ少女は、ついでの様に聞かされた情報に心踊らせた。

「寮に帰る程の時間はないし、ラブミー部室でゆっくり昼飯でも食べて、待機していてくれ。あ、さっき社から連絡が入ったんだが、昼頃あいつらも事務所に寄る用事があるらしくてな。よければ蓮に昼飯食べさせてほしいとか言ってたぞ」

運が良いことにここは自分達が所属する事務所である。

椹に頼んで、事務所内にあるカフェで食材を分けてもらい、そのキッチンの隅を借りることができた。

久々に作る蓮の為の食事。

彼からの自立を目指してはいたが、キョーコの蓮への想いが消えたわけではない。

心を込めて、しかし手早く、相変わらずな職人技豪華(ミニ)弁当をつくるキョーコ。

部室であの男が「すでに」待ち構えているなどとは想像もせず、調理に励んでいたのだった。



<26>に続く

犯罪者になる前にご飯!!実現まであと少し?




web拍手 by FC2



スキビ☆ランキング  ←応援よろしくおねがいします。