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意味不明な話です。そんな話は嫌ん!な方はバックプリーズ!!
Y(>_<、)Y

夢幻 前編


なんとなくな小話
「夢幻 後編」


私の最後の出演作となった映画は、国内だけでなく海外でも高評価を得た。

外国の映画祭での評判があまりにもヨカッタ為、記者会見まで開く羽目になるほどに。


「京子さん、女優賞受賞が濃厚だとお聞きしていますが、これについてどう思われていますか?」

「女優として演じさせていただいた私個人の評価ではないと思っておりますが、参加させていただいた作品を褒めていただけるのは嬉しいです。監督や共演者、スタッフ、すべての関係者が一丸となって作り上げた作品ですから、それを評価していただけるのは、この上ない幸せだと思っております」

一年前から始まったこの夢の世界では、こんな私でさえ、こうして褒め讃えてもらえるのだ。

なんて滑稽な自画自賛行為であろう。

無意識に、無遠慮に作り出す、自分の希望満載の夢にこのまま溺れ、そこで朽ち果ててしまいたいという誘惑に駆られるが、その夢だけは叶わぬことを知っている私はその甘美なる誘惑を振り切った。

今後はテレビの中でしかお目にかからないであろう数のフラッシュを浴びながら、夢の世界の入り口へ向かって突き進む。

「京子さんは、これからしばらく休業されて、外国語の習得に集中されるとか。どちらかに留学されるのですか?他のタレントさんなどでは半年留学というのが多いと思いますけど、京子さんはどのぐらいの期間を考えてらっしゃるのですか?」

「期間は未定です。出来損ないな頭では半年ではとてもじゃないですけど、何もマスターできないと思います」

会場に笑いが満ちたことで、この夢の世界でも “私のレベル” を正確に理解している人がこんなに大勢いたのかと、内心驚いてしまったのは内緒の話。

(私が奈落に落とされるのは時間の問題だったわね。それが明日だと言われても納得しちゃいそう。今日この日を最後にしておいて本当にヨカッタ!)

「今、休業なんて勿体ないとは思わないのですか?」

「他の方ならそうでしょけど、私ですからね。ふふ」

「えーと??あの、オファーも殺到しているのでは?」

「いいえ。まったく」

これは本当だ。

殺到もなにも、どんな話なのかを聞く気さえない窓口しかなかったのだ。

どんなオファーも正式なものになる前に全部消していたから、今日このあとからの “京子” のスケジュールは見事な空白振り、真っ白けなのである。

「早く帰ってきてくださいね!京子さんの復帰をファンも私達も待ってますので!」

そんなお世辞サービスに見送られ、私は芸能界という夢の世界をあとにした。

夢の世界の住人である敦賀さんは、私の願望通り、休業を反対してくれた。
そして、これまた私の希望通りの結論へと転じてくれた。

「君がそんなに勉強したいのならもう反対はしない。考えてみたら、しばらくゆっくりするのもいいかもしれないよね。俺も一緒に休みたいぐらいだ。そしたらずっと君とくっついていられるし」

敦賀さんには最後まで甘い言葉を大奮発してもらった。



事務所への挨拶は朝のうちに済ませてある。

敦賀さんは都合がいいことに、仕事で地方にいっている。

モー子さんには、海外での撮影で半年会っていないが、彼女は一生親友の位置に居続けてもらうことに決めて居るから、寂しくない。

それが、私の中でだけであったとしても、そこは許してもらおうと思う。

そして。


リアル世界の扉を開けた私は、“努力と根性” だけを武器に戦いを始めた。

飛行機を降りた先にある場所で。



だが、しかし。



それは予想外の出来事により見事に中断された。

あの夢の世界から横やりが入ったのだ。

夢の世界にいる間は私の希望通りに物事が起こっていたというのに!

外に出た人間には容赦がないのだろうか?



「敦賀蓮暴走中!至急帰れ!いや、帰ってきてください!by LMEプロダクション一同」


国際電報で届いたこのメッセージを皮切りに、電話、メールと続いた帰国嘆願、いや、命令の数は凄いことになった。

最後には人まで届いた。

敦賀さんの父親であるクー・ヒズリ自らが私の前に現れ、泣き落としという最低最悪最凶の武器をお見舞いしてくださったのだ。

私は緊急帰国と言う名の拉致誘拐移動を果たし、様々な人々の気持ちと言う名の綱で簀巻きにされた状態で、敦賀さんの前にそっと置かれてしまったのだった。

ドナドナドナドーーナ、ドーーナ。
声楽隊の衣装を纏ったピュアキョ合唱団の脳内音響サービスを受けながら。



夢から覚めた私が問答無用で放り込まれたのは、元の甘い夢の中ではなかったのは、よかったのか悪かったのか。


私は今、ハリウッドに(ある外国語学校に)語学留学しながら、ヒズリ家で嫁活動(敦賀蓮改め久遠さんの世話と、先生の胃袋のお世話)に精を出す毎日である。



fin


続きを御所望いただいた、しあるさ~んに捧ぐ!

「夢幻 おまけ」

「キョーコ!今晩はデートに出かけるよ!19時には帰れるから、お洒落して待っていて。こないだ話してた店にディナーに行こう!」

「ごめんなさい、久遠さん……私、今日は仕事で帰れないの」

弾んだ声で電話してきた夫に、私はなかなか言いだせなかった予定を告げた。

本当は、ハウスキーパー(補佐)兼ボディーガードのデイジーに伝言を頼み、あちらについてから改めて電話連絡しようと思っていたのだが。

「え!仕事?何、それ……」

「こないだパーティでお会いしたドレイク監督がお困りなそうなの。出演女優が骨折で撮影に参加できなくなったとかで。クーパパとも親しくされている方だし、今は語学学校も休暇中でしょ?10日程度の撮影ならお手伝いできそうだと思って」

「そ、そんなっっ!10日も!?」←“も”を強調してます

「そうなんです。なので、今日からしばらく、NYに行ってきますね!食事は作り置きしてありますし、ちゃんと毎日キッチリ召し上がってくださいね?デイジーに見張りを頼んでいますからね?お酒だけ飲んで寝ちゃうなんてことしたら……」

「ゴクっ……したら?どうなるの?」

「悲しくて、帰り道を忘れちゃいそうです」

夫に10日間の食事をキッチリ摂ることを約束させ、私は久々となる仕事に向かった。

───新しい、夢のように幸せな、現実の世界で。

未来へと続く、仕事を再開するために。


(久遠さんにはまだ内緒だけど)


fin

おまけのおまけ。
魔人事典【暴走中の敦賀蓮】:真っ黒大魔王オーラ全開で仕事場を「地獄の1丁目」にしつつ、マネージャーに「早く仕事をキャンセルしてください!俺、キョーコを迎えに行かないといけないんですから!!」と脅しをかける毎日。

この【暴走中の敦賀蓮】さんが、「ついでにあっちで結婚式を…」「逃げられない船かなにかでそのままハネムーンってのも…」なんてことも呟きだし、ファンにまで大魔王振りを隠さなくなった頃に、LMEプロダクション一同からのキョーコへの帰国嘆願が激化した模様。

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