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乙女心と秋雨前線 前編 / 中編
「乙女心と秋雨前線 後編」
「うん……帰るよ」
珍しく素直に頷いてもらえたことに安心したのも束の間。
何故か、キョーコの身体は蓮の車の助手席にあった。
───上半身はかなり運転席寄りになってはいたが。
「帰ろうね。でも、その前に少し補給させて」
「いやだから、帰るのは敦賀さんだけで、私は学校にっ!」
「雨だし送ってあげたかったけど、やっぱり無理……ごめんね?」
「送ってくださらなくて結構ですので!!というか、私の家はこのマンションですぅ!帰るの意味がわかりません!」
「ヤダ……一緒に帰るっ」
大きな仔犬の容赦のない抱擁に、呼吸が苦しくなって来る。
(く、くるしい!!放してぇ~!!!)
必死に抱き込まれた上半身を捻ってみるも、その拘束は緩まず。
キョーコが抵抗出来なくなる程、グッタリ疲れきるまで、それは続いた。
そして。
結局学校には遅刻確実な時間となり。
卒業までの単位をすでに修得済みなことを把握している悪い先輩により、キョーコの本日の登校は阻止されることになった。
「雨っていいよね。この世界に二人きりっぽく思えるし」
数十分後。
リビングに響くのは、欲しいものを出張確保して、家に帰ってきた男の甘い声であった。
(雨音もほとんど聞こえない防音バッチリなこの広いリビングでそんなこと言われても!!)
不良少女の様に、学校をサボらされた少女は、入れてもらったカフェオレを飲みながら、再び身を拘束されていた。
ソファーの上で、頬を上気させた蓮によって。
しかし、少女も慣れたもの。
それには構わず会話を続ける。ここから脱出する為に。
「いえ、雨は移動も大変ですし、洗濯物も乾きませんし、災害も心配ですし……」
「ねぇ、今日は学校に行かないんだし、もう着替えたら?」
纏わり付く様な甘い視線に負けそうになるが、心を鬼にしてそれに対抗する。
「(確かに今日は着替えも持ってますけど)仕事に行く前に一度荷物を置きに帰りますから、そのときに着替えます」
「……最上さんに似合いそうな服があるんだけど……」
その台詞により、キョーコの頭にニョキッと角が生えた。
先程までの “心を鬼” にする為の努力など最早必要なかった。
「まさか、また……ロケ先で買って……」
「そんな顔しないで?可愛い顔が台無しだよ?凄く可愛い服なんだ。最上さんに絶対似合うと思って、ね?」
コテンと首をかしげ、可愛らしく微笑んでみせる蓮の姿を前に、キョーコは眩暈を感じた。
その端正な顔をポッと赤く染めながら、手練た甘い台詞を吐きまくるこの男の凶悪さは相当なものだった。
───付き合うのを拒否してる間でもこれなら、付き合ったらどうなっちゃうの?
そう。
蓮の告白から3か月。
そのときにキッパリ「お付き合いなど、できない」と断ったにもかかわらず!!
あれから3か月。
ずっと、この頭に花が咲いたような乙女な蓮を見せつけられ続けているのだ。
どう考えてもカップル同士としか思えない行動をとらされながら。
活発な秋雨前線以上に、発達している様子の蓮の凶悪な乙女心全開の攻めにキョーコが白旗を上げるのは、もう時間の問題であった。
数日後。
見事な秋晴れの中、キョーコの引っ越しは強行された。
冬には、日本中に蓮とキョーコ婚約のニュースが駆け巡ることになるのだが、それはまだ別のお話。
fin
蓮さん、愛する少女に絞め技? ←危険
キョコさんに交際を断られても、(キョーコの気持ちも駄々漏れだったので)めげない蓮さん。
スッカリ、彼氏気分です!
心が乙女だったのは、キョーコではなく、蓮さんなのでしたw
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「うん……帰るよ」
珍しく素直に頷いてもらえたことに安心したのも束の間。
何故か、キョーコの身体は蓮の車の助手席にあった。
───上半身はかなり運転席寄りになってはいたが。
「帰ろうね。でも、その前に少し補給させて」
「いやだから、帰るのは敦賀さんだけで、私は学校にっ!」
「雨だし送ってあげたかったけど、やっぱり無理……ごめんね?」
「送ってくださらなくて結構ですので!!というか、私の家はこのマンションですぅ!帰るの意味がわかりません!」
「ヤダ……一緒に帰るっ」
大きな仔犬の容赦のない抱擁に、呼吸が苦しくなって来る。
(く、くるしい!!放してぇ~!!!)
必死に抱き込まれた上半身を捻ってみるも、その拘束は緩まず。
キョーコが抵抗出来なくなる程、グッタリ疲れきるまで、それは続いた。
そして。
結局学校には遅刻確実な時間となり。
卒業までの単位をすでに修得済みなことを把握している悪い先輩により、キョーコの本日の登校は阻止されることになった。
「雨っていいよね。この世界に二人きりっぽく思えるし」
数十分後。
リビングに響くのは、欲しいものを出張確保して、家に帰ってきた男の甘い声であった。
(雨音もほとんど聞こえない防音バッチリなこの広いリビングでそんなこと言われても!!)
不良少女の様に、学校をサボらされた少女は、入れてもらったカフェオレを飲みながら、再び身を拘束されていた。
ソファーの上で、頬を上気させた蓮によって。
しかし、少女も慣れたもの。
それには構わず会話を続ける。ここから脱出する為に。
「いえ、雨は移動も大変ですし、洗濯物も乾きませんし、災害も心配ですし……」
「ねぇ、今日は学校に行かないんだし、もう着替えたら?」
纏わり付く様な甘い視線に負けそうになるが、心を鬼にしてそれに対抗する。
「(確かに今日は着替えも持ってますけど)仕事に行く前に一度荷物を置きに帰りますから、そのときに着替えます」
「……最上さんに似合いそうな服があるんだけど……」
その台詞により、キョーコの頭にニョキッと角が生えた。
先程までの “心を鬼” にする為の努力など最早必要なかった。
「まさか、また……ロケ先で買って……」
「そんな顔しないで?可愛い顔が台無しだよ?凄く可愛い服なんだ。最上さんに絶対似合うと思って、ね?」
コテンと首をかしげ、可愛らしく微笑んでみせる蓮の姿を前に、キョーコは眩暈を感じた。
その端正な顔をポッと赤く染めながら、手練た甘い台詞を吐きまくるこの男の凶悪さは相当なものだった。
───付き合うのを拒否してる間でもこれなら、付き合ったらどうなっちゃうの?
そう。
蓮の告白から3か月。
そのときにキッパリ「お付き合いなど、できない」と断ったにもかかわらず!!
あれから3か月。
ずっと、この頭に花が咲いたような乙女な蓮を見せつけられ続けているのだ。
どう考えてもカップル同士としか思えない行動をとらされながら。
活発な秋雨前線以上に、発達している様子の蓮の凶悪な乙女心全開の攻めにキョーコが白旗を上げるのは、もう時間の問題であった。
数日後。
見事な秋晴れの中、キョーコの引っ越しは強行された。
冬には、日本中に蓮とキョーコ婚約のニュースが駆け巡ることになるのだが、それはまだ別のお話。
fin
蓮さん、愛する少女に絞め技? ←危険
キョコさんに交際を断られても、(キョーコの気持ちも駄々漏れだったので)めげない蓮さん。
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心が乙女だったのは、キョーコではなく、蓮さんなのでしたw
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