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愛の言葉は難しい 1 / 2 / 3 / 4 / 5

「愛の言葉は難しい 6-side Ren-」

指にキスを落とす行為は、先輩後輩の親愛の情を表すようなものではないと思う。

熱い眼差しをした男が女性の可愛い指を愛撫しながら、好きだと伝えれば、それは愛の告白になると思う。

……例え、男の口から出たものが「キノコリゾット」への愛情を示す言葉だったとしても。

そう。

相手がラブミー部のラスボスでさえなければ。


俺のしつこいお強請りを聞いている間、可愛らしく頬を染めていた最上さんは、困ったように眉を下げたあと、逡巡する様子を見せながらも俺を喜ばす返事を返してくれた。

「わ、わかりました!普段お食事に関心のない敦賀さんが毎日食べたいとまで言って下さっているのですものね。いつもお世話になっている後輩としては、こんなときこそお役に立たないといけませんよね!ワタクシ最上キョーコ!敦賀さんにこれから毎日キノコリゾットを召し上がっていただけるよう、頑張らせていただきます!」

真っ直ぐな愛の言葉は見事に曲解し、曲げた言葉は何故か真っ直ぐに受け取ってしまう恐ろしく手強い相手、最上さんの強者振りは今日も絶好調だ。

残念なことに。

しかし、俺の遠回しな告白が通じないのは予想どおりであるからして、問題はない。本当に残念だが!


だが、彼女のこの返事は想定外である。

「ほ、ほんと?」
「はい!」

無理難題を吹っかけていたのに、それが何故か通ってしまい、俺は動揺していた。

どう考えても叶えられないお願いは、妥協という形で未来の約束を取り付けるための方便でしかなかったのに……動揺の余り、情けなくも上擦る声。

だが、確認しておかねばならない。

「でも、明日からロケだって…」

そう。明日から最上さんは都内にいない。

毎日俺の家に通うのは不可能だと思うのだが。

「ご安心ください!!あ、もうこんな時間!!すみません、リゾットは明日からちゃんと召し上がっていただけるようにしますので!!急いでいますので、失礼します!」

いつのまにかスルリと俺の手の中から抜け出していた指で、いつのまにやら鞄を握りしめていた最上さんは、俺があっけにとられている間にいなくなっていた。


「……え?」

7に続く

キョコさん早業脱出!

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