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愛の言葉は難しい 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13

「愛の言葉は難しい 14-side Ren-」

冷凍庫の中には、店名らしきものが印刷された帯で包まれた容器が2つ。

ポツンと……それだけが存在を主張しながら、保存されていた。

それ以外のものは何も無い。

ほぼ冷凍庫の備品と化している氷以外は、何も。

今朝まであったあのキノコのリゾットはひとつも食べていない筈なのに、全てが消え失せていた。

今日の昼間、この部屋で作ってくれた筈の「最上さん手作りの料理」も入っていない。

「え?どうして?」

もしかして、キノコのリゾットは古くなったから片付けた?

いやでも。

確かあの真空パックはかなり長期間持つ保存方法だと……聞いた……筈…?

「え?え?」

バタン。

数分間冷凍庫の扉を開けたまま考え込んでしまったが、一度閉めてリセットしてみることにする。

何かの間違いかもしれない。

今日は最上さんが食事を作りに来てくれた筈なんだから!

社さんからそう聞いたんだ、俺は。

もう一度、今度はそっと扉を開いて中を確認する。

「やっぱり……ない?」

瞬きして見ても、当然現れてはくれない、ある筈だと思っていたもの。

仕方が無く、唯一残されていた、いや、新たに入れられていた容器を取り出してみた。

重ねられた2つの容器には色違いの帯がついていた。

どうやらこのままレンジ加熱すれば食べられるものらしい。

背後のカウンターにそれを2つ並べて置いたところで、間にメモが挟まれていることに気がついた。

「最上さんから?」

四つ折りにされていたメモ用紙を開くと、中には見慣れている最上さんの奇麗な字が並んでいた。

「手紙?」

宛名は俺になっているし、最後には最上さんの名前もある。

俺宛の手紙で間違いないと思う。

だが、内容はサッパリ理解できないものであった。


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敦賀さんへ

いつもお世話になっております。

先日はお口に合わないものを大量に押し付けてしまい申し訳ありませんでした。

食事の際にも、きっと無理に召し上がっていただいたのですよね。

もしかしてこれまでにも、ご迷惑をおかけしていたのではと思うと、情けない思いで一杯になります。

本当に申し訳ありませんでした。慎んでお詫び申し上げます。

優しい先輩の迷惑も考えずお口に合わない素人の料理をご用意しつづけていた馬鹿な後輩ではございますが、どうかお許しくださいます様、お願い申し上げます。

勝手ながら、保存食が何もないという点が気になりましたので、最近人気があるという総菜専門店さんの商品を少しだけご用意させていただきました。

食通の方も太鼓判を押されていた商品です。

きっと美味しいと思いますので、できれば召し上がってくださいね。

最上キョーコ

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15に続く

まだ失敗に気付かない蓮さんでした!


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