只今開催中の企画に魔人も自爆ドボンしちゃいました!

*単行本未収録(2013年9月時点)のネタバレを含みますので、コミック派の方でネタバレNGな方はバックプリーズです!


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そこには決して流すことの出来ない刻(トキ)がある。
ACT.203~204の間に何があったのか。
その答えはここに……

隙間ウメウメ妄想祭り!『ACT.203.5X 空白の刻』


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ACT.203.5X 空白の刻 開幕 

『ACT.203.5X 空白の刻 開幕-2-』

コンコン

丁度ナッちゃんのメイクを終えたところだった私は、大急ぎでメイク道具を片づけ、訪問者を出迎える為にドアへと向かった。

「キョーコちゃん、社です」

「はい、只今開けますので」

カチャ

「おはよう」

「おはようございます、社さん。どうぞ?」

扉を開けると、申し訳なさそうな顔の社さんが待っていた。

「うん、お邪魔するね。ごめんよ、キョーコちゃん、移動前に引き止めちゃって」

控え室に招き入れると、早速という感じで謝られてしまう。こんなペーペー女優相手にこういう気遣いをしてくださるところが社さんらしくはあるけれども、なんだか申し訳ないと思ってしまう。

「いえ、BOX"R"の現場には役作りしてから入ることの方は多いですし、丁度良かったです」

気にしないでください、と手を左右に振りながら応えると、今度は優しい瞳で微笑んでもらえた。

うん。カイン兄さんとは違うタイプだけど、一般的には社さんみたいなタイプが理想のお兄ちゃんっていうのかも。

カイン兄さんが実際に兄だったら、ごく普通のオジョーサンは大変かもしれない。

自分の想像に内心笑いながらも、社さんとの会話を進める。

「そうなんだ。ナツちゃんだっけ?俺会うの2回目だけど、格好いい美人さんだねぇ」

「有り難うございます!ナッちゃんはカリスマ女子高生なので、そう言っていただけると嬉しいです!」

ドラマの撮影は順調に進んでいるが、BOX"R"は4月期の連続ドラマなのでまだ放送は始まっていない。

例えナッちゃんとすれ違ったとしても、ほとんどの人が誰が演じているのかも知らない為、京子として声をかけられることもほとんどない。

なので、こうして知り合いに褒めてもらえるのは非常に嬉しかった。

「うんうん、そんな感じだよ!蓮も会いたかっただろうなぁ、ナツなキョーコちゃんに!!ああ、惜しい!!」

何故か本格的に嘆き出した、社さんがおかしくて、メイクと着替えを終えたことで前面に出やすくなったナッちゃんで対応してみる。

「ふふ、有り難うございます。敦賀先輩にお会いできなくて残念です……けど、社さんにはお会い出来ましたから……ね?」

少しだけ距離を詰めて、社さんのスーツの上襟にスッと指を滑らせて、意味深な表情で見上げてみる。

「キョ、キョ、キョーコちゃん!!////」

敦賀さん程ではないにしろ、そこらの俳優よりずっと美形な敏腕マネージャーさんなのに、顔を赤らめ動揺していただけるなんて、嬉しい限り。

どうやらそれに満足したらしいナッちゃんが、スッと消える。

目の前の社さんは、赤から青へと顔色を変えながら、ブツブツ呟いていらっしゃる。

「ああ、闇の国の蓮さんが……ボソボソ

闇の国?蓮さん?常に敦賀さんと一緒にいる社さんだものね。

きっと闇を背負った大魔王クラスの敦賀さんとの謁見の体験もおありなんだわ。それを今思い出されているのは謎だけど。

「で、あのご用件は……」

「あ、ごめんね、時間ないのに」

身体を離し、キョーコに戻って尋ねてみれば、我に返ったかのような社さんがまたもや謝りながら敦賀さんから預かったという荷物を手渡してくださった。

「それ、蓮からのバレンタインデーのお返し。ホワイトデー過ぎまくってて申し訳ないけど」

「いえ、嬉しいです。わざわざ有り難うございます。先輩に気を遣っていただいて、社さんにはこんなお手間をかけて申し訳ないですけど」

「いや、手間とか全然だから!……蓮は直接渡したがっていたんだけどね。キョーコちゃんが今日このスタジオにいるのはわかってたんだけど、15時までとは知らなくてさ。前の現場早めに出た俺しか間に合わなかったけど、なんとか渡せてヨカッタよ」

「敦賀さんは16時入りなんですよね?お会い出来なくて残念ですけど、あの、あとで御礼の電話をさせていただいても……?」

「うん、有り難う、喜ぶと思うからヨロシク頼むよ!そういえば。あの仕事はもう明日で日本での撮影はおしまいだし、帰国中の妹とはあっちで合流ってことになるんだよね?」

「そうなんです。試験後に戻れればヨカッタんですけど、BOX"R"の撮影スケジュールからすると、戻ったとしても結局ホテルに引き上げる時間位にしかあちらに居れないことになってしまって……不自然になっちゃうんです。なので、もう、あちらで合流の方が自然ってことになりまして」

「そっかー。じゃあ、蓮としてはもう当分会えないかもねぇ」

「……そうですね。でも、ホテルに荷物を置きっぱなしなので、もし時間が取れればコッソリ引き上げに行くかもしれません。この姿では行けないので、社長さんにお伺いしてみないとわかりませんが」

「そっかぁ……でも、お互いのスケジュールからすれば部屋で会える可能性も低いし、本国に戻ってる筈の人間が行くのは不味いかもしれないよ。引き上げなんてアイツに頼むか、社長に手配を任せたほうがいいんじゃない?キョーコちゃんも忙しい時期だしさ」

「いえ、あの……実際のところ、自分で取りに行く時間が取れるかどうか微妙ですし、社長さんの手配なら問題ないと思うのですけど……あの……あの方はちょっと……困ります///」

「え?どうして?」

「いえあの、エロカワ下着とかゴニョゴニョ……

「そ、そか。うん、そうだよね。(あいつにそんなもん触らせるのは確かに危険だ!)」

「は、はい///」

恥ずかしくて小さな声でしか答えられなかったけど、社さんにはちゃんと納得してもらえたみたいで、ホッとする。

「それなら、やっぱり、社長に任せたほうがいいよ。行けるかどうか確実じゃないならさ。言いにくいだろうから、俺から連絡しておいてあげるし」

「そうですね。お願いしてもいいですか?」

「うん、お兄ちゃんに任せなさい!」

自分の胸を叩きながら、快くこんな頼み事まで引き受けてくださる社さんは、本当にお兄ちゃんみたいだと思った。

カイン兄さんなら、セツの下着位気にしないで触るだろうし、下手したら買い足されてしまうかもしれない。

敦賀さんにとっては、こんな対象外の子供の下着なんて、男物と変わらないかもしれないけど、きっと人の下着に触れるのは不愉快だと思う。

(セッちゃんは、カインな兄さんのおパンツは洗ってたけど!あれは兄さんのだし!)

それに。

貧相なサイズはバレバレとは言え、日本女子たるもの、異性に下着を晒すなんてとんでもないと思う!

やっぱり、社長に手配していただくのが一番安全で、安心ね!←多分動くのは異性の執事さんですがそこは考えないキョコさん

そんなことを考えながら、社さんに御礼を言って、私は次の現場へと向かった。

社さんに無理やり乗せられたタクシーで。


3に続く

明日は本誌発売日だそうですので、なんとか本日中にフィニッシュを迎えたいと思います。魔人のいる地域は今日買えるそうですが、今回はすでにアップされているネタバレ読み歩きはせずにコレを仕上げます!(っていうか、本誌読むまでネタバレ見るの我慢しよーかしらん)


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