2周年企画第1弾「不憫なヘタレ脱出!?R様応援祭り」に、一応自爆ドボン。

罠に添えた例文に書き足してみました。
なんとか、完結。(;´Д`)ノ!

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ラストチャンス side R 後編」

───彼にはいつも背中を押して貰ってばかりだな。

偶然ではあるけれど、いつも俺が悩みを抱えているときには、アドバイスをくれる鶏くん。

いや、偶然だったのは最初だけで。

あとは、彼に会えるのを期待してた、かも。

「僕に礼がしたいって?そんなこと無理に決まってるだろ?僕は食事にも付き合えないし、鶏が人間のモノを貰ってもどうしようもないだろう?え?着ぐるみを脱いだらいいって?……ふーー。君はこの姿の僕だから相談ごとができているんじゃないの?こうやって僕が君に話しかけられるのも、今の姿だからでもあるんだよ。この姿で君と話したことは普段の僕には関係ないことだ。だから、御礼なんかいらない。そんなことより、君は彼女のことに集中すべきだ。そのどうしようもないヘタレを克服して、彼女と特別なXmasを過ごすことだけを考えるといいよ」

今回も辛口だった彼。

沢山怒られた。

付き合ってもいないのに、そんな誘い文句はおかしいとか。

───ま、おかしいのはわかってたけど。

まずは告白が先だろ?とか。

───うん、それもわかってる。卑怯だって。

彼女に好きな男がいないなら、そしてその3日間に予定がなさそうなら、ラストチャンスだと思って死にものぐるいでぶつかれ、とか。

───うん。頑張るよ、俺。

ぶつかるつもりが全然会えなくて。

今日はもう12月24日になっちゃったけどね。

「最上さん、お疲れ様」

久し振りに会った君はやっぱり可愛くて。姿を見た瞬間抱きしめたくなった。

───え?ど、どこに行くの?

俺の顔を見た途端、顔をしかめた君。

その場で奇麗にお辞儀したあと、進路を変え、俺のいない方向に歩きだした。

───そんなに嫌われたのか?

諦めそうになった俺の背中を押してくれたのは、やはり鶏くんの言葉だった。

「食事を作ってくれたりしてるって言ってたじゃないか。そんなこと嫌いな男にはしないだろう?諦める前に自分の気持ちをちゃんと曝けだしなよ。格好つけてたら、君の見た目からして女性の扱いに慣れまくってて、他の人にも同じようなこと言ってるんだと思うんじゃないかな。あ、君はフェミニストらしいけど、どうでもいい女性と親し気にしてるとこも、見られることは致命的だと思ったほうがいい。本命に誤解されない為にも、彼女に会いそうな場所では他の女性と親し気にしないこと!本気なら、彼女だけを真っ直ぐに見つめて、ぶつかるしかないよ!」

───うん、そうだね。

彼女が今日の仕事を全て終えたことも、琴南さんたちとこのあと会う約束がないこともわかっている。

時間がないわけじゃない。都合が悪い訳でもない。

俺の気持ちをまずは伝える。すべてはそれから。

出来れば受け入れてもらいたいし、一緒に特別な時間を過ごしたいけど。

まずは!!

───頑張るよ。

「最上さん!待って!」

「…こんばんは、敦賀さん。どなたかと待ち合わせでは?そういうときには他の女性には軽い挨拶だけにしておいたほうがいいですよ?」

立ち止まり、振り向いてはくれたけど、最上さんの表情は見えない。

マフラーに埋めるようにして顔を隠している君。

その顔が見たくて。でも、見るのが怖くて。

俺もまた下を向いて、只君の靴を目指して歩きだした。

「待ち合わせはしてないけど…君を待ってたんだ」

情けないことに、緊張して上手く歩けない。

震える足を叱咤して、君の前に辿り着いて、必死に訴える。

「も、最上キョーコさん、貴女を愛してます。どうか…どうか、俺と結婚を前提にお付き合いをしてください。おねがい、します」

縋るように君に向かって伸ばした腕も、声も、どうしようもなく震えてしまう。

───本当の俺はこんなに情けない男だけど、どうか受け入れて。YESと言って!!

「お願いだ、最上さん。24日から26日までのオフを一緒に過ごさせて?君と二人きりで特別な誕生日を過ごしたいんだ。お願いだ、YESと言ってくれないか!」

勇気を振り絞っての告白。

華奢な足に送っていた視線を上げて彼女の顔を見つめる。

彼女の視線は、俺の震える腕を捉え、驚いたような顔で…

「…どうして泣いてるの?俺のことがそんなに嫌い?」

ポロポロと奇麗な雫を落とす君の身体が消えてしまいそうな気がして、泣く程嫌われているかもしれないのに、思わず抱きしめてしまった。

「…私は最上キョーコですよ?間違えていませんか?」

腕の中に閉じ込めた最上さんの口から出たのが拒否の言葉でなかったことに安堵した俺は、鶏くんのアドバイス通り、彼女だけを真っ直ぐに見つめて、気持ちをぶつけることにした。

「俺が愛してるのは、世界で一人だけの最上…キョーコちゃんだよ。俺のことをコーンって呼ぶ、俺だけのお姫様、どうか俺の愛を受け入れて?」

「う、そ?コーン?え?キョーコちゃんは私じゃない…」

「俺のキョーコちゃんは君しかいない。愛してる」

そのあと、いっぱい泣かれた。

いっぱい、怒られたし。

いっぱい、謝られた。

そして、精一杯、愛に応えてくれた。


俺も、ちょっと泣いて。

ちょっと、反省して。

凄く、恥ずかしくなって。

もの凄く…いろいろ、止まらなくなってしまった。


───二人きりの3日間か。本当に特別な時間になったよな。

───でも、まさか、鶏くんが彼女だっただなんて。
───あれ?てことは?そうだ、うん、そうしよう!

26日。

腕の中に彼女を閉じ込めながら、眠る夜。

幸せが溢れすぎて、じっとしていることを辛く感じてしまうほどだった。

もっともっと愛したい。

世の中の人におすそ分けしても減りそうにないぐらい、今の俺は愛に満ちている。

一番お世話になった鶏くんに報告出来ないことが残念な位だ。

彼には、本当に御礼をしたかったのに。

ふと、鶏くんに受け取らないと言われてしまった御礼は彼女にすればいいんだと思いついた俺は、今日今からすることの御礼もあとですることにし、残り少ないオフを最後まで満喫する為、スヤスヤと眠る愛しい彼女の安眠を妨害したのだった。

fin

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