拍手御礼からの移動のパラレルファンタジーです。

下書きと間違えて記事を捨ててしまいましたが、このとき幸いにも別窓で開いていた「あの森を目指して 1」からコピペして新しく記事を作りなおすことができました。←あぶなっ!Σ( Д ) ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙

前の記事に「いいね」していただいた7名様、有難うございました。51の拍手も有難うございました!(記事はなくなりましたが、履歴は残っています。)




拍手御礼「あの森を目指して 1」

───ああ、身体が重い。

腹部に巣食った毒により、歩くことさえ辛くなってきていた。

しかし、心は過去ない程軽やかであった。





キョーコ・モガミ、18歳。

5歳になるころから遠い親戚にあたる商家で住込の手伝いを始め、18歳で成人した今では店を丸ごと任せても大丈夫だと雇い主や取引相手に太鼓判を押されるほど、商品の売買で必要なあらゆる知識を身につけていた。←18歳で男女共成人する世界です

それでももう少し幼い頃の主な仕事は馬鹿な跡取り息子のお守りであり、その彼に「女の子達を呼んで遊ぶ部屋」から邪魔だと追い出されることが常ともなれば、彼女が出来たことはひたすら暇つぶしになるものを探すことであり、結構長かったその時期は彼女にとって結果的に絶好の学びの時間となった。

そんなこんなで、屋敷内に出入りしていた様々な業種の大人達から学んだ数多くの“技術”を彼女は身に付けた。

勉強熱心だったのもあるが、才能もあったのだろう。

料理人より美味しい料理を作るし、人気のお店のお針子より針仕事が上手だった。おまけに語学や歴史学、薬学や護身術にまで秀でていた。最近では街中にまで学びの場を移し、医術や攻撃を主とする剣術にも手を出し始めていたが、その新たな学びの場でも特別なきらめきを見せつけていた。

こうして、それぞれのジャンルでトップを走る者達が秘かに彼女はオールマイティの天才だと称していたのだが、それは故郷でのこと。

その故郷でも彼女の才能を見知っていた者は数少ない。

年中無休所構わずで「キョーコは役立たず」だと触れ散らして歩く男がいたせいで、故郷の街では、いや旅先に置いても彼女は「なんの役にも立たないお付」だと認識されていた。

だが彼女はそれを否定しなかったし、真実を知っている人間も否定はしなかった。

あの男…世話になってる商家の馬鹿な跡取り息子が何故にそんな嘘を吹聴してまわっていたのかは明白であり、いずれは親のあとを継いで故郷の名士なるであろうあの男が「出来損ない」であることを認めることは簡単ではあるが必要ではないことであったのだ。

キョーコがついていれば大丈夫。馬鹿息子を上手く操縦して、街も家も勢いを維持してくれる筈だ。

そんな安心感が、万能なキョーコと馬鹿息子のコンビにはあったのだ。

10になった頃から大人に同行し、去年からは行き先の治安に応じ数人の護衛は雇うにしても、主には商談の表の責任者である馬鹿息子ショータローと二人だけで商品売買の為の旅に向かう様になったが、どこへ行っても遊び歩くだけで仕事をしない彼を尻目にキョーコは期待以上の結果を残し続け、故郷の一部の者達の彼女への信頼は不動のもととなろうとしていた。

しかし、ここに来て彼女の事情が変わった。

馬鹿息子の事情も。



色々あって二人は旅先で離れることとなった。

キョーコは手紙でではあるが雇い主に今生の別れを告げ、もう戻る気のない故郷との決別も果たした。

彼女の計画通りに…。

第2話につづく


感想コメントをいただくと魔人が小躍りします。٩̋(ˊ•͈ ꇴ •͈ˋ)و
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